2022年10月29日土曜日、名古屋ダイアモンドホールにて、『DRAGON DELUXE 2022』(以下『ドラデラ』)が開催された。フラワーカンパニーズが、地元名古屋で毎年この時期に、ゲスト・アクトを招いて行っているイベントで、今年で11回目。
コロナ禍以降の『ドラデラ』は、2020年はワンマン(座席あり)、2021年はORGINAL LOVE田島貴男の「ひとりソウルショウ」との対バン(座席あり)、という形で開催してきた。
ピーズとの対バンは、東京では1年前に行っているが(2021年11月11日、新代田FEVER)、この『DRAGON DELUXE』では10年ぶり。さらに言うと、約1年前にミニアルバム『2021』をリリースし、大木温之(Vo&Gt/以下はる)・安孫子義一(Gt/以下アビさん)・岡田光史(Ba)・茂木左(Ds)の4人で本格的に動き始めた「Theピーズ」改め「ピーズ」になって以降の、名古屋でのライブは、これが初めてである。
ということもあってか、チケットはソールドアウト。スケジュールを切った段階では先が読めなかったため、今年も座席ありにしたことを後悔しただろうな、興行主(=グレートマエカワ)。などと思ってしまうほどの大盛況で、開演前から期待に満ちた空気が、ホールに充満している。
そんな空気の中、フラカンの4人が登場。毎年『ドラデラ』は、このように最初にフラカンが挨拶をしてから始まることになっている。で、普段はしゃべり担当じゃない方のふたり=ギター竹安堅一とドラムミスター小西がマイクを持つ、というルールにもなっている。
というわけで、ファンはまず、竹安&小西の素朴なMCを楽しむのが恒例なのだが、今年はそのぎこちなさにしびれを切らしたのか、しゃべっている途中で、はるが匍匐前進でステージに出て来る。そして、竹安&小西が恒例のお客さんとの掛け合い「ドラゴン!」「デラックス!(心で)」をやったその瞬間に、腕を挙げて立ち上がり、そしてまた床に転がる。
ピーズ
「OK、俺たちがピーズ、ヨロシク。名古屋のみなさんに、お久しぶりで、うれしいですぅ。ほないこかー?」というはるの挨拶からの「焼めし」で、ピーズのライブがスタート……が、冒頭のギターと歌のタイミングが合わなくなって、一回止めてリスタートする。
大木温之(ピーズ)
「焼めし」「プリリヤン」の頭2曲が終わったところで、アビさん、「名古屋に来たかったよ、俺は!」と唸るように言う。そして、脈絡なくMCを続けるのが楽しくなっちゃったのか、なかなか次の曲に入ろうとしないはるに、「行こうよ、はる!」と叫び、「ドロ舟」で再開。
安孫子義一(ピーズ)
以降、「サバーイ」「さらばボディ」「新型コアラ」等の、この4人になってからの曲が2/3、それ以前の曲が1/3、くらいの割合で、全13曲をプレイ。「アビリフ」と「ミサイル畑で雇われて」と「ドサクサ」、近頃ライブでよくやっている、音源化未定の2曲「アビリフ」と「ドサクサ」も披露した。
5曲目にやった「アビリフ」を終えたところで、「我ながら、かっちょいい曲じゃないか!俺がもっといい人だったら売れてるんだけど」と、はる。「さっきから楽屋でひとりブツブツ言ってんだよ。『いい曲作っちゃったよなあ。これがよお、俺が歌わなきゃ売れるのにな』って。
岡田光史(ピーズ)
その次のMCでは、はる、ドラム茂木左が、明後日と明々後日は東京ガーデンシアター2デイズであることに触れ(※渋谷すばるのツアーに参加している)、「この差は何?」。
茂木左(ピーズ)
ラストは「生きのばし」「ブラボー」の二連発。明日の大阪のライブ、大丈夫なんだろうか、と心配になるほどの声の絞り出しっぷりで「ブラボー」を歌いきったはるは、「サンキュー名古屋! サンキュードラデラ! サンキューフラカン!」とアウトロにのせて叫び、ステージを下りた。
後攻フラワーカンパニーズは、鈴木圭介が1曲目のタイトル「行ってきまーす!」を叫んでスタート。その曲を含め、9月7日にリリースされたニューアルバム『ネイキッド!』からの曲は4曲(他は「私に流れる69」「借りもの競走」「人は人」)。
フラワーカンパニーズ
それから「永遠の田舎者」や「揺れる火」や「永遠の田舎者」などの近年のライブの定番曲を中心にしつつ、「東京ヌードポエム」あたりのちょっとめずらしい曲も混じってくるセットリストだった。
鈴木圭介(フラワーカンパニーズ)
特に、6曲目にやった「冬の陽」は、相当レアだったのではないか。1999年発売の5thアルバム『Prunes & Custard』収録曲。フラカンのライブ、けっこう観ているつもりの自分でも、前にライブで観たのはいつなのか、思い出せないほどである。
ミスター小西(フラワーカンパニーズ)
最初のMCで、出てくれたピーズにお礼を言い、「あれだけ自由な人は、今後見ることはないだろうな」「自由度、増しとるね」と言い合う鈴木圭介とグレートマエカワ。グレート、圭介に「いいよ、もっと自由にやってもいいよ、きみも」。
グレートマエカワ(フラワーカンパニーズ)
NHK名古屋の音楽番組『Uta-Tube』に出演したこと、雑誌FLASHの「40代、50代視聴者に聞いた『紅白歌合戦』で見たい歌手」という記事でなぜかフラカンが9位に入っていたことなどを話したMCを経ての後半は、「人は人」「恋をしましょう」「最後にゃなんとかなるだろう」と、ハードな3曲を畳み掛ける。
竹安堅一(フラワーカンパニーズ)
そして、いつもはアンコールの最後にやるが、今日はここに持ってきたか、「サヨナラBABY」。アカペラで圭介が歌い始めると大きなハンドクラップが起こり、アウトロの「♪ラーラーラーララーララー」に合わせてオーディエンスの腕が左右に大きく降られ、本編が終了する。
2バンドの機材を入れ替えるのでなく、最初から2バンド分の機材がぎっしりと並んでいるステージを見た時点で、ここにいた誰もが察したとおり、アンコールは2バンド全員によるセッション。アビさんはアダム&ジ・アンツのTシャツ姿で登場、グレート「そのTシャツ、岡山の打ち上げで俺と交換したやつじゃん!」と驚く。アビさん「大切に着てるよ」。後で調べたところ、Theピーズとフラカンのカップリング・ツアーとして数度行われた『ヨサホイツアー』、岡山公演は2010年5月13日でした。
1曲目は、「はるさんと言えば永ちゃん」(圭介)ということで、矢沢永吉「トラベリン・バス」のカバー。曲中で、はるも圭介もみったんもオーディエンスも、矢沢のライブよろしく、タオルを投げまくる。
そして2曲目は、この2バンドならやっぱりこの曲、「真冬の盆踊り」。曲の前にグレート「声、25%出せるから。
このあとフラワーカンパニーズは、11月5日(土) 水戸ライトハウスから、(結成33年なので)全33本のアルバムのリリースツアー『いつだってネイキッド’22/’23』が始まる。ピーズは、6月8日に東京・豊洲PITで行った結成35周年ライブの大阪編と名古屋編=11月20日(日) なんばHatchと12月14日(水) 名古屋E.L.L.等が、控えている。
Text:兵庫慎司 Photo:三浦知也
<公演情報>
フラワーカンパニーズ presents 「DRAGON DELUXE 2022」
2022年10月29日(土) 名古屋 DIAMOND HALL
出演:フラワーカンパニーズ / ピーズ
<ピーズライブ情報>
ピーズワンマン2022 ありがとう35周年♪ドサクサForever大阪編
2022年11月20日(日) 大阪・なんばHatch
横浜晩秋 ピーズワンマン
2022年11月25日(金) 神奈川・横浜 FAD
ピーズワンマン2022 ありがとう35周年♪ドサクサForever名古屋編
2022年12月14日(水) 愛知・名古屋Electric Lady Land
ピーズ公式サイト:
http://thepees.com/
<フラワーカンパニーズライブ情報>
フラワーカンパニーズ・ワンマンツアー『いつだってネイキッド'22/'23』
※終了分は割愛
11月5日(土) 茨城県 mito LIGHT HOUSE
11月6日(日) 栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya
11月17日(木) 大阪府 FANDANGO
11月19日(土) 広島県 Live space Reed
11月20日(日) 香川県 DIME
11月27日(日) 北海道 PLANT
12月3日(土) 神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
12月9日(金) 京都府 磔磔
12月10日(土) 京都府 磔磔
チケット料金:前売4,400円(整理番号付 / ドリンク代別途必要)
チケット購入リンク:
https://t.pia.jp/pia/artist/artists.do?artistsCd=11011925
※2023年のツアー、そのほかライブ情報、リリース情報は公式サイトでご確認ください。
https://flowercompanyz.com/
ぴあアプリではフラワーカンパニーズ presents 「DRAGON DELUXE 2022」のアプリ限定カットをご覧いただけます。ぴあアプリを ダウンロード(dpia-app://contentAll?contentId=26fd672c-5dd5-477b-b989-76ce8d72f9ff&contentTypeId=2) すると、この記事内に掲載されています。