
1920年代以降、多くの建築家によって探求された機能的で快適な戸建て住宅に焦点をあて、その革新的で実験的なモダン・ハウスを多角的に紹介する展覧会が、3月19日(水)から6月30日(月)まで、東京・六本木の国立新美術館で開催される。
居間やキッチンを間取りの中心に据え、快適な衛生設備と家族の個室を備えた個人住宅は、今日からすれば、普遍的な住まいに見える。

リナ・ボ・バルディ ガラスの家 1951年
同展では、こうした住宅をめぐる革新的な試みを、「衛生」「素材」「窓」「キッチン」「調度」「ランドスケープ」「メディア」という、モダン・ハウスを特徴づける7つの観点から再考していく。写真や図面、建築家自らのドローイングやスケッチ、模型、今もなお新しい家具や照明器具、テキスタイル、食器、雑誌、グラフィック、映像など、多彩な出品作品と洗練された会場構成を通じて、モダンな住まいを多角的に見られるのが同展の見どころのひとつである。

フランク・ゲーリー フランク&ベルタ・ゲーリー邸 1978年 Ⓒ Frank O. Gehry. Getty Research Institute, Los Angeles(2017.M.66)
もうひとつ注目したいのは、ミース・ファン・デル・ローエの未完のプロジェクトである「ロー・ハウス」の原寸大で実現したこと。今回は、1階の展覧会会場とは別に、天井高が8メートルある2階の企画展示室で、この大スケールの展示や名作家具の体験コーナーを楽しめる。入場無料のこちらの展示室では、VR体験ができるイベントなども行われる予定だ。
今から100年ほど前に実験的な試みとして始まった住まいのモダニティは、人々の日常へと浸透し、現代の私たちの暮らしの礎として、今もなお息づいている。今日の暮らしそのものを見つめ直す機会になるという点でも、意義深い展覧会である。
<開催概要>
『リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s-1970s』
会期:2025年3月19日(水)~6月30日(月)
会場:国立新美術館 企画展示室1E / 2E
休館日:火曜(4月29日、5月6日は開館)、5月7日(水)
時間:10:00~18:00、金土は20:00まで(入場は閉館30分前まで)
料金:一般1,800円、大学1,000円、高校500円
※2階企画展示室2Eの展示は無料
公式サイト:
https://living-modernity.jp/