横浜美術館リニューアルオープン記念展『佐藤雅彦展 新しい×(作り方+分かり方)』6月28日から 「だんご3兄弟」「ピタゴラスイッチ」などのヒット作を生み出した創作のプロセスを紹介
[左]だんご3兄弟(NHK「おかあさんといっしょ」 より)[上]フレーミー[下]ぼてじん(上下ともにNHK「ピタゴラスイッチ」より)、画像提供:横浜美術館

2025年2月に、大規模な改修を終えて再オープンした神奈川県の横浜美術館。リニューアルオープン記念展『佐藤雅彦展 新しい×(作り方+分かり方)』が、6月28日(土)から11月3日(月・祝)まで開催される。

1954年生まれの佐藤雅彦は、広告代理店・電通で、湖池屋「スコーン」「ポリンキー」、NEC「バザールでござーる」、サントリー「モルツ」などの斬新なCMを手がけ、また1994年に企画事務所を設立してからは、プレイステーションソフト「I.Q」や「だんご3兄弟」など、ジャンルを横断したコンテンツを次々とヒットさせた。2002年には、教鞭をとっていた慶應義塾大学の佐藤雅彦研究室でNHKの教育番組「ピタゴラスイッチ」を立ち上げ、国民的幼児教育番組として高い評価を受けている。

横浜美術館リニューアルオープン記念展『佐藤雅彦展 新しい×(作り方+分かり方)』6月28日から 「だんご3兄弟」「ピタゴラスイッチ」などのヒット作を生み出した創作のプロセスを紹介

ピタゴラ装置(NHK「ピタゴラスイッチ」より)、画像提供:横浜美術館

話題作やヒット作を連発してきた佐藤はまた、ヴィジュアルデザインやコピーライティング、漫画、ゲーム、楽曲、映画、教科書、膨大な著書まで、表現ジャンルが多岐にわたることでも特筆される。今回の展覧会は、表現者・教育者としての佐藤が生み出した多彩なコンテンツを一堂に紹介し、40年にわたる創作活動の軌跡をたどる世界初の大規模個展となる。

同展が特に注目するのは、佐藤の創作の根幹にある「作り方」と「分かり方」についての独自のアイデアや方法論だ。「作り方」とは、世界の観察の仕方、ものごとの解釈の仕方、考えの整頓の仕方など、あらゆる思考をめぐる佐藤流のメソッドとも言えるというが、佐藤はそこから出発して、いかに伝えるかを考え、それを分かるように、あるいはもっと分かりたくなるように「表現」へと転化させていく。同展は、佐藤の創作プロセスを紹介しながら、その独創的な「作り方」を紐解き、コミュニケーションデザインの方法論を明らかにするものだ。

横浜美術館リニューアルオープン記念展『佐藤雅彦展 新しい×(作り方+分かり方)』6月28日から 「だんご3兄弟」「ピタゴラスイッチ」などのヒット作を生み出した創作のプロセスを紹介

計算の庭(桐山孝司との共作)森美術館『六本木クロッシング2007』展示風景

会場には、記憶に残るテレビ番組やCM、キャラクター、知的好奇心を刺激する映像作品やメディアアートなど、多彩な作品が並ぶ。ピタゴラ装置の実物が4台も特別展示されるのも楽しみなところだ。多様なジャンルで活躍するひとりの表現者の「作家性」を浮き彫りにする同展はまた、リニューアル後の同館が標榜する「テーマとジャンルの多様性」を象徴する展覧会としても興味深い。



<開催概要>
横浜美術館リニューアルオープン記念展『佐藤雅彦展 新しい×(作り方+分かり方)』



会期:2025年6月28日(土)~11月3日(月・祝)
会場:横浜美術館
時間:10:00~18:00(入館は17:30まで)
休館日:木曜
料金:一般2,000円、大学1,600円、高中1,000円
公式サイト:
https://yokohama.art.museum/

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