Text:兵庫慎司 Photo:三浦憲治、永井峰穂(ライトサム)
『SMA 50th Anniversary presents「SMA50&Uc300祭~横浜ユニパラ團~」』というイベントが、2024年8月28日(水)・29日(木) に、神奈川県民ホールで行われた。出演は、28日がユニコーンと氣志團で、29日がユニコーンと東京スカパラダイスオーケストラ、つまりユニコーンが対バンを迎えて行う2デイズライブである。
この3バンドの所属事務所であるSMA(株式会社ソニー・ミュージックアーティスツ)が、会社創立50周年を記念して、4月30日から11月3日まで、数々のライブイベント等を行っている、その中の1本として(いや、2本か)開催された。
ちなみに、神奈川県民ホールは、2025年1月17日に開館50周年を迎えることと、老朽化により2025年3月31日をもって休館に入ることが発表されている。というのも、SMAがこの企画をこの会場でも行うことにした理由のひとつなのかもしれない。
なお、1日目も2日目も、開場時や転換時のBGMは、いしだあゆみ「ブルー・ライト・ヨコハマ」、石原裕次郎「サヨナラ横浜」、原田芳雄「横浜ホンキー・トンク・ブルース」、木之内みどり「横浜いれぶん」、五木ひろし「よこはま・たそがれ」、ポルノグラフィティ「横浜リリー」、「男の勲章」(嶋大輔ではなくてT.C.R.横浜銀蝿R.S.のバージョン)等々の、いわゆる「横浜縛り」の曲で統一されていた。あと、『SMA50』は分かるけど、『Uc300』って何? という件に関しては、後述します。
氣志團
先攻は氣志團。おなじみのバイクのエキゾーストノイズがリズムを刻むSEに合わせて、叶 亜樹良がドラムを叩き始め、他のメンバーたちと微熱DANJIが登場。「俺達には土曜日しかない」「房総魂」と、氣志團必勝パターンの選曲でライブが始まる。早乙女 光が大太鼓を打ち鳴らす「房総魂」の間奏では、綾小路 翔(以下團長)、「2024年8月28日、カナケンで今夜、生涯忘れられないようにしようぜ!」と叫ぶ。
続いて、亜樹良&ランマ(星グランマニエ)のふたりが次曲のイントロを始めるや否や、オーディエンスが「おおお!!」と湧き立った。ユニコーン「服部」のカバーである。團長&光&微熱がこの曲に施した振付に倣って、オーディエンスみんな、踊る踊る。
「今日は俺たちが世界でいちばん愛してるユニコーン先輩との対バンだ! みんな、もっともっといけるか!? もっともっといけるよなあ!?」という煽りからの「スウィンギン・ニッポン」では、光&微熱がランマとトミー(西園寺 瞳)を光る台車に乗せ、ふたりがガラガラ移動しながらソロを弾きまくるおなじみの光景も。團長がオーディエンスに振付を教えた「萌え萌えROCK’N’ROLL」では、亜樹良を除くメンバー全員も楽器を置いて踊った。
続いてのMCで團長、SMAと同期(創立50年)の企業を並べていく。餃子の王将、スタジオアリス、アルソックとアフラック、戸塚ヨットスクール、ツクダオリジナル、ドラムのTAMAとベースのTama(元ポルノグラフティのTama)。なおアミューズは創業47年だそうで、團長「桑田さんとか福山さん、うちの3個下」。
そして、今年から時期を11月9日・10日、場所を幕張メッセに移して開催する『氣志團万博』を宣伝。ステージにQRコードのプラカードを出して、チケット購入を呼びかける。
それを読み込むために、オーディエンスが出したスマホのライトを点けるよう要請し、その光が会場を明るくする中、「愛 羅 武 勇」を演奏&歌唱した。
次は、対バン及びイベント時の氣志團の恒例パフォーマンス、「「One Night Carnival」と相手の曲をマッシュアップ」のコーナー。ユニコーンの最新曲「マチュリー」とのマッシュアップ「ワンナイト・マチュリー」で拍手喝采を浴びる。さらにメンバー5人の着ぐるみが登場する「One Night Jamboree」で、全員で歌い踊っていったん終了。
そしてユニコーンの5人、リーゼント&サングラス&学ラン(長ラン2名、短ラン3名)でオンステージ。湧き立つ客席。改めて5人に目をやった團長、「俺たちが想像してるより、似合いすぎててちょっと引いてる。すげぇ怖いんだけど。やっぱ、広島はハンパない」。
で、「本当の意味での「One Night Carnival」、聴いてくれ!」と、三度目の「One Night Carnival」へ。ユニコーンのメンバーも順にボーカルをとり、OT(奥田民生)はなぜか吉川晃司調で歌う。曲後半のブレイクでオーディエンスに歌を任せてから、團長、「先輩方にもう一個だけお甘えしたいことがございます」。現在ツアー中の氣志團、9月16日の熊本市民会館のチケットだけが全然売れてないそうで、ユニコーンにQRコードを持ってもらう。何回出すんだ、QRコード。
後攻のユニコーンのSEは、一発録りしたと思しき「CSA」の新バージョン「SMA」。「Ah―つわものどもに愛されて50年」という歌詞に、「この曲が出た時は『愛されて15年』だった。35年も経ったのか……」と、改めて気がつく。おそらくこの場にいた全員が、そう思ったのではないか。
メンバーが登場、川西幸一のドラムにOTが叩くカウベルが加わり、「WAO!」でスタート。2曲目=この季節だから選曲したと思われる「あなたが太陽」(リリース時、資生堂アネッサのCMソングだった)と、3曲目=EBIがセンターに出て来てスタンドマイクで歌うさまが、今も昔も変わらない「ペケペケ」の並びに、オーディエンス、大いに湧き立つ。
ユニコーン 左から)奥田民生、EBI、手島いさむ
一回目のMCで、OTが「Uc300ってなんすか、テッシー(手島いさむ)?」と、説明を求めた。テッシー「昨日、私が61歳になって。そうなることにより、EBIさんの10月2日の誕生日までの間、5人足して300歳、ということですね」。なるほど。
そして、最新アルバムからの「ネイビーオレンジ」とセカンドアルバムからの「おかしな2人」。
OTがクイーカでイントロを奏でる「チラーRhythm」では、四つ打ちのダンスビートに合わせ、天井で回るミラーボールの光が降り注ぐ。曲中でOT、何度も「ヨコハマー!」「ありがとー!」とシャウト。川西幸一は二回目の「ちらちらー!」のところを「氣志團!」に変えて歌った。
川西幸一(ユニコーン)
打ち込みのバックトラックが響き、ABEDONがリードボーカルをとり、光るうちわを手に前に出てオーディエンスを煽る川西&EBIが、全力疾走で持ち場に戻るや否やバンド演奏に切り替わる「ZERO」では、オーディエンスみんな、大きく腕を左右に振って、バンドのはりきりっぷりに応じた。
続く「大迷惑」で、ステージの左右まで移動しながら歌い、後半では右手でチョイチョイと煽ってオーディエンスにシンガロングをうながすOTを観ていて、気がついた。OT、「ネイビーオレンジ」から「大迷惑」まで、5曲続けてハンドマイク、もしくはスタンドマイクである。通常のワンマンを含めても、ギターを持たない曲がこれだけ続くのは、めずらしい気がする。
そして、ABEDONがセンターに出て、スタンドマイクで歌う「SAMURAI 5」で、“いちばん熱狂”の意味でも“いちばんグダグダ”の意味でも、ライブがクライマックスを迎える。ユニコーン特有のピークタイムである。
サビで、ホールいっぱいにフラッグが振られた後の「あいつが言ったんだ」「なんて言った?」のコーナーでABEDON、氣志團をステージに呼び、團長から「思ったより台風のスピード遅くない?」などの回答を引き出したり、でもバンドは演奏に入らなかったり、氣志團に「整列!」と号令をかけて師弟関係を見せつけたり──などと、楽しいグダグダを、思う存分展開する。
氣志團がはけた後は「アルカセ」。
アンコールの「マチュリー」では、氣志團が再登場。ハッピにタスキという出で立ちで、ユニコーンと共に、この日いちばんのテンションにオーディエンスを導く。客席をバックに記念撮影をし、ABEDONが吹くホイッスルの号令で退場した後、終演SEで再び一発録りの「SMA」がかかる。最初のSEとは違う、ブルージーなバージョンだった。
★ 翌日のレポ(https://lp.p.pia.jp/article/news/381722/index.html) に続く
<公演情報>
『SMA 50th Anniversary presents「SMA50&Uc300祭~横浜ユニパラ團~」』
2024年8月28日(水)・29日(木) 神奈川県民ホール
■8月28日(水)
出演:ユニコーン/氣志團
セットリスト
■氣志團
OP. アクセルコール×ドラムソロ
01. 俺達には土曜日しかない
02. 房総魂
03. 服部
04. スウィンギン・ニッポン
05. 萌え萌えROCK'N'ROLL
06. 愛 羅 武 勇
07. ワンナイト・マチュリー
08. One Night Jamboree
EN. One Night Carnival
■ユニコーン
01. WAO!
02. あなたが太陽
03. ペケペケ
04. ネイビーオレンジ
05. おかしな2人
06. チラーRhythm
07. ZERO
08. 大迷惑
09. SAMURAI 5(with 氣志團)
10. アルカセ
En. マチュリー(with 氣志團)
ユニコーン公式サイト:
https://www.unicorn.jp/index.html
氣志團公式サイト:
https://www.kishidan.com/