
2023年5月から2024年6月まで「ぴあ」で連載され、昨年10月に発売された大槻ケンヂの書籍“限りなくエッセイに近い幻想小説”『今のことしか書かないで』が、好評につき重版されることが決定した。
出版記念では小説家・燃え殻との対談をお送りしたが、今回は大槻ケンヂと親交のあるガールズバンド・Gacharic Spinのマイクパフォーマー、アンジェリーナ1/3を迎え、重版記念スペシャル対談が実現。
Gacharic Spinの活動に加え、ラジオのレギュラー2本、自身もエッセイ『すばらしい!! 日々!』を出版するなど、多岐に渡り活躍するアンジェリーナ1/3との出会いやラジオこと、そして『今のことしか書かないで』を読んだ感想など、盛りだくさんの内容となった大槻ケンヂ×アンジェリーナ1/3のスペシャル対談をお送りします。
大槻ケンヂ「今のことしか書かないで」重版記念対談/ゲスト:アンジェリーナ1/3
「かっこいい女の子が歌ってるなと思って、それがあとでアンジーだと知るんだけど」

大槻ケンヂ アンジー、お久しぶりです。今日はよろしくお願いします。
アンジェリーナ1/3 よろしくお願いします!
大槻ケンヂ アンジーとの出会いは、そもそも僕がGacharic Spinを前から知ってたんだけど、新しい歌の子が入ったって話を聞いていて、その頃に『NAONのYAON』の映像か何かですごいかっこいい女の子が歌ってるなと思って、それがあとでアンジーだと知るんだけど。しばらくしてGacharic Spinと僕が「innocent eye」って曲でコラボするってことになって。
アンジェリーナ1/3 はい。「innocent eye」のデモを歌わせていただきました。
大槻ケンヂ そうそう。デモで誰か女の子が歌ってくれてたの。それがアンジーだったんだよね。
アンジェリーナ1/3 はい、私です。
大槻ケンヂ で、アンジーはレコーディングには来なくて会ってなかったんだけど、そのあと新宿のReNYだっけ?
アンジェリーナ1/3 ReNYですね。
大槻ケンヂ あそこで会って、「アンジェリーナ1/3です」って自己紹介されて。「あ! 爆笑問題の太田さんが(ラジオで)言ってた子だ」って。
アンジェリーナ1/3 うれしい。『JUNK』(TBSラジオ『火曜JUNK 爆笑問題カーボーイ』)でよく名前を聞くって言ってくださいましたもんね。

大槻ケンヂ そうそう。だからあのアンジェリーナ1/3って子がGacharic Spinに入ったってことかと思って。そのぐらいからアンジーのラジオを聴き始めたのかな。
アンジェリーナ1/3 そうですよね。ちょうど大槻さんに出会ったぐらいから TBSラジオで自分の番組が始まってるから、ほんと初期からずっと聴いてくださってます。
大槻ケンヂ ところで、アンジーはGacharic Spinのマイクパフォーマーですが、ボーカルじゃなくてマイクパフォーマーなんですよね。これって理由があるの?
アンジェリーナ1/3 これを話すと結構長くなるんですけど。私、2019年にバンドに加入したんですけど、そのタイミングで私ともうひとりセンターボーカルの子が入る予定だったんですね。センターボーカルがいて、その周りでいろいろマイクを使ってパフォーマンスできるという立ち位置が私だったんですけど、発表の5日前にセンターボーカルの子が辞退してしまいまして......。
大槻ケンヂ そこは深掘りしていい話なの?
アンジェリーナ1/3 大丈夫です!
大槻ケンヂ なんで辞めたの?
アンジェリーナ1/3 リハーサルとかも一緒に入っていたんですけど、ご家族ともいろんなことがあったみたいで。活動するのが厳しいという話をベースのKOGAさんと事務所の社長に連絡がありまして、うちのバンドは結構ドサ回りバンドで家を空けることも多いから、ご家族に不安な要素があったみたいで、それならお互いのためにもって。
大槻ケンヂ ふたりでやるはずがひとりになって、それでマイクパフォーマーという名前が残ったってこと?
アンジェリーナ1/3 はい。予備のほうだけ残ったっていう状態で......。もともとセンターボーカルで入る予定だった子はギターもできる、ダンスもできる、歌も上手いみたいな子で。その反面で、音楽未経験の女子高校生との対比も面白いよねっていう感じで私が加入したんですけど、当時はセンターボーカルができる技量もなかったし、それならマイクパフォーマーという新しい形をバンドで作っていこうと。

「物語の描写がリアル過ぎてなんかもう、どこが現実の狭間か分からなくなるみたいな」

大槻ケンヂ そうなんだ、と今話を聞いていますが、アンジーの情報は大体知ってます。僕はアンジーの(ラジオ)番組のリスナーですから。
アンジェリーナ1/3 ありがとうございます! たぶん大槻さんが一番詳しいと思います(笑)。
大槻ケンヂ 今、TOKYO FMの『SCHOOL OF LOCK!』もレギュラーでやっているよね?
アンジェリーナ1/3 はい、アンジー教頭をやらせてもらっています。
大槻ケンヂ 他の番組では年配向けが多い印象だけど、『SCHOOL OF LOCK!』でのアンジーは今どきの子っていう感じだし、若い世代に向けて話してますよね。
アンジェリーナ1/3 そうですね。『SCHOOL OF LOCK!』は、未来の鍵を握る子たちと一緒に会話をしていく番組だし、教頭という立ち位置なので、10代の子たちと向き合うっていう感じですね。普通のラジオだと「ラジオネーム何々さん、お便りいただきましてありがとうございます」って会話をするところを、「何年生? 今ちょうど受験終わったところなんだ!へー!」とか、そういう会話が『SCHOOL OF LOCK!』ではメインになっていて。なので他のレギュラー番組とは対比がありますね。
大槻ケンヂ 最初にアンジーが出た回を聴いたんだけど、初回だからアンジーがどんなもんなのかってあるじゃない? でも、そんな中でさすがのアンジーはリスナーからの人生相談を明確にスパパッと答えていて。でも、相談したリスナーがアンジーに対して「熱いですね」って言ってたんだよね。それを聞いたアンジーが、「これはなんかすごい現場来たぞ」って雰囲気になっていたのがピリッとしていて面白かった。
アンジェリーナ1/3 あの子は他のレギュラー番組も聴いてくれていて、他では今どきじゃないことを話しているくせに、『SCHOOL OF LOCK!』になった瞬間に、「急に熱いこと言い出すじゃん」って、たぶんいじりもあったんじゃないですかね。今までの私を知ってくれている子だったからこそ、あの「熱いっすねー」って言葉が出てきて。そう言われたら私も「おー、おまえバカにすんなよ」って(笑)。
大槻ケンヂ なるほどね(笑)。『SCHOOL OF LOCK!』は何曜日だっけ?
アンジェリーナ1/3 今までは水・木・金の担当だったんですけど、今は月曜日から金曜日の担当になりました。
大槻ケンヂ そうなんだ、すごいすごい。もうライムスター・宇多丸さんとか若き永六輔だよね。
アンジェリーナ1/3 (笑)。そんな風に言っていただけて本当にありがたいです。ちなみに、大槻さんはどのタイミングでどのラジオを聴いているんですか? ほとんど押さえていますよね、ラジオ。
大槻ケンヂ 聴いてるのは、アンジーの番組と爆笑問題の『火曜JUNK 爆笑問題カーボーイ』とかは今も聴いてる。アンジーのラジオの話で言うとね、文化放送の『アンジェリーナ1/3のA世代!ラジオ』かな。山之内すずちゃんがゲストの回があったでしょ? あれはすごく面白かった。
アンジェリーナ1/3 本当ですか!?
大槻ケンヂ すずちゃんがアンジーのこと大好きでアンジーもすずちゃんが大好きで、ふたりでお互いが好きだっていうことをずっと語り合うだけっていう。
アンジェリーナ1/3 しかも2週に渡って(笑)。
大槻ケンヂ そうそう。あんな放送聴いたことないよ(笑)。神回。
アンジェリーナ1/3 うれしいです。一部の人からは「あんなのラジオじゃない」みたいな感じで言われたりもしたんですけどね。好きにさせてよって。
大槻ケンヂ いや、あんなラジオなかったよ。素晴らしいと思った。
アンジェリーナ1/3 ずっとふたりでデレデレしてるだけっていう(笑)。
大槻ケンヂ あと、もうひとつ。日比谷野音でGacharic Spinがライブをやったでしょ?
アンジェリーナ1/3 はい、やりました。2023年11月なので2年ちょっと前ですね。

大槻ケンヂ あのときに、アンジーがおじいちゃんと慕っているアナウンサーの野村邦丸さんに盛んに「野音に来い」って誘っててさ。もういいお歳なのに、冬の夜音に。でも、アンジーがスパルタだから実際来てくれたんでしょ?
アンジェリーナ1/3 はい、来てくれましたね。でもずっと寒い寒い言ってました(笑)。
大槻ケンヂ よほど慕われているんですよ。
アンジェリーナ1/3 ありがたいですよね。なんかもう本当におじいちゃんたちが優しい。みなさん「なんか悪い気しねえな」みたいな感じみたいで。本当にありがたいです。もう全国民の孫でいようと思っています。
大槻ケンヂ おじさん以降の男性っていうのは蔑ろにされているんですよ、この世界において。でも、ラジオの中でのアンジーただひとりは、「もしかしておじさんを相手にしてくれるんじゃないか」という一縷の望みを感じるんじゃない?
アンジェリーナ1/3 それでおじさんたちが来てくれているってことですか?
大槻ケンヂ 実際に漫画家の江口寿史さんとか仲良いでしょ? 爆笑の太田さんも。太田さんのことなんて呼んでるの?
アンジェリーナ1/3 太田さんはおじきです。
大槻ケンヂ おじきかぁ。あと、ユニコーンの(奥田)民生さんをお父さんって呼んでいるんだよね。
アンジェリーナ1/3 はい、お父さんって呼ばせていただいています。
大槻ケンヂ 呼ばれた民生さんはどういう表情するの?
アンジェリーナ1/3 ちょっとなんかこうニヤっとしながら。
大槻ケンヂ やっぱりおじさんの転がし方が上手いよ。これからすべてのおじさんをお父さんって呼んだら世の中丸く収まるよ。
アンジェリーナ1/3 でも、それこそ『今のことしか書かないで』にも書いてありましたけど。
大槻ケンヂ ありがとう、本の話にしてくれて(笑)。
アンジェリーナ1/3 パパ活から話がスタートするじゃないですか。それこそ、今お父さんって呼ぶのは際どい世の中になってきている中で、大槻さんの本を読み始めて、それこそ「フィクションとノンフィクションの狭間を書いてます」みたいに謳ってらっしゃって、パパ活のリアリティなところからスタートするから 「えっ、大槻さん本当にご飯行ったのかな」って思いながら読んでいて。そのあとに燃え殻さんとの対談で、「あれは行ってないよ」って言ってたけど、物語の描写がリアル過ぎてなんかもう、どこが現実の狭間か分からなくなるみたいな。
大槻ケンヂ 今回は「限りなくエッセイに近い幻想小説」って謳っているんだけど、これまでエッセイって書き倒してきたんですよ。だから、エッセイから遠くにあるものとして取り組んだら面白いんじゃないかと思って、じゃあエッセイに一番遠い書き物ってなんだろうって考えたら、幻想小説だろうと。で、エッセイに幻想小説を混ぜるっていうのをやっていくうちに、えっとまあ僕が主人公で、僕は来年60歳なのでまあおじさんですわ。で、おじさんが一番縁遠いものって何かって言ったら少女だろうと。それで、おじさんと少女とのパパ活っぽい話から話を広げていったんです。
アンジェリーナ1/3 幻想小説とは謳っているけど、エッセイであり幻想小説っていうところからスタートしているから、読み手の人にあんまり想像力がない人だったら、「大槻ケンヂ、パパ活してんじゃん」ってなりそうなのに、そこをあえて導入するっていうのが、今まで生きてきたロックみたいなものがあるんですよね。詩的な表現だし、それこそそういうワードが入ってくるから私もすっごく読みやすかったです。
大槻ケンヂ ちゃんと読んでくれているのね。
アンジェリーナ1/3 もちろん! それこそ、本の中で少女が言ってる、今のことしか書かないでまでの流れがあるじゃないですか? あれは私も納得しながら読んでいました。大人の人たちが書く本って、どうしても私たち世代では分からないことが多くて、それはラジオを聴いていても思う瞬間があるんですけど、そこをあえて「今のことしか書かないで」って提示するところからこのエッセイがスタートするってことが、自分もこの物語の一部であっていいんだって感じたんです。読者側を置いていかない感じというか、どの世代でもおじさんが読んでも、おじさんの視点で思うこともあるだろうし、20代が読んでもどこかリンクする。大槻さんが今まで歩んできたことをリアルにエッセイとして書かれている部分もあるじゃないですか? リアルに経験してきたところにもスッと入っていけるなっていうのがなんか今までのエッセイにはないものでした。

「少女がロックボーカリストになるっていう部分があるけど、実写にするならアンジーがやったらいいだろうなって」
大槻ケンヂ すごくちゃんと読んでくれているんですね、ありがとう。本はそもそも読むんですか?
アンジェリーナ1/3 学生の頃は好きで読んでいたんですけど、大人になるにつれて読まなくなっちゃいましたね。
大槻ケンヂ ジャンルは何を読んでいたの?
アンジェリーナ1/3 岡本太郎さんがすごく好きで、岡本太郎さんが残した作品に綴られていた言葉とか好きです。あと、漫画が大好きで、楳図かずおさんの作品とかで育っているから、久々にエッセイって聞くと、ちょっと身構えちゃうというか、その人の人生にどこまで自分が対応できるのかなって思っちゃうんです。
大槻ケンヂ そんなことを考えてエッセイを読んでいる人いないよ!
アンジェリーナ1/3 いないですかね(笑)。自分も昨年の12月に『すばらしい!! 日々!』という自伝的エッセイを出させてもらって、なんかこう自分のことを綴るんだけど、読み手がこういう人生もあったんだって思いながら、読んでいる人と自分がリンクできるように描きたいなって思っていたんです。じゃないと、自分は読み切れなかったので、そういうことを意識しながら本を作っていったんですけど、大槻さんの『今のことしか書かないで』は絶妙なバランスというか。ふと気を抜くと、これがリアルなのかそうじゃないのかが分からなくなるというか。なんか久々にこんなに没入感のある本を読んだ感覚でした。
大槻ケンヂ ありがとう。ドキュメントとフェイクを混ぜるっていうのは『ほんとにあった!呪いのビデオ』とか、ああいうフェイクドキュメンタリーってあるじゃない? 『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』とか、ああいうのが好きだから、エッセイにフェイクを盛り込んでいったらどうなるんだろうという、試みでもあったんだよね。でも、あのアンジーのラジオはさ、ラジオの話に戻っちゃうんだけど、すごくエッセイっぽいんだよね。なんだろう。うん。毎回毎回ちょっとしたエピソードがあって、そこにトッピングしたり、ピックアップの仕方がすごいなって。大変でしょ?
アンジェリーナ1/3 過去のことを話すってなると、どうしても限界が来るじゃないですか? 歌詞を書くにしても自分の経験の中から絞り出すだけだと限界がきちゃう。だから新しくいろいろインプットしなきゃいけなくて、インプットもしながら、今まで思い出せなかったことを投影しています。あと、話のオチを探しちゃう癖はすごくついていますね。

大槻ケンヂ ライブのMCでもそうなの?
アンジェリーナ1/3 MCもタイム感とかあるじゃないですか? バンドのMCってダラダラ長くなっちゃったりとか。それも良さなんですけど、ラジオをやっているから6人で喋っていてもダラダラしてきたなって思ったらバンって切っちゃいます。
大槻ケンヂ たまたまMCの話題が次の曲のタイトルとかに引っかかっていたりするとパッていけるんだけどね。
アンジェリーナ1/3 分かります。うまく引っかかるとうれしいですよね。逆にこれ言おうって準備するとだめだったり。
大槻ケンヂ 分かる。用意していたMCってまったくウケないときあるよね。あれなんだろうね。
アンジェリーナ1/3 本当にそうなんですよ。 まだ6年しかステージに立たせてもらってないんですけど、決めていったMCに面白いのはあんまりないなって思っています。
大槻ケンヂ そうね。ドカンとくると思ったらざわつきもしない。
アンジェリーナ1/3 おもろいと思って組んだのに! みたいな。 あと意外とメンバーに「こうやって振るんで、こっからバーンと入ってきてください」って言っても、打ち合わせしたときのテンションと違うし、ローな感じで入ってきたら全部構成し直しになる。
大槻ケンヂ それ、あとでメンバーに言うの?
アンジェリーナ1/3 いや、MCだし、しょうがないから自分でどう処理するかしか考えてないです。それこそ、この『今のことしか書かないで』に書いてあった大槻さんが途中で歌詞を飛ばすみたいなことってすっごく分かるんです。私も曲中に別のことを考えているんですよ、大体。もう歌い慣れている曲とかだと練習もたまにしないときあるじゃないですか。いつもセットリストに入っているから、歌い慣れているし、これ飛ばして別の曲を練習した方がいいかみたいなって。で、その定番の曲を歌っている最中にいろんなことを考えちゃって、「次の構成はこれでこうで」みたいな。うちのバンドは立ち位置とかすごくシビアで、「次の曲でこういうきっかけでこういう照明にするから」って決まりごとがいろいろあって、「次、Aメロ終わったらここ行かなきゃ」とか色々考えていると、バンって歌詞が飛んじゃうときがあって。歌詞のことを考えながら歌っているって、認識している人が多いと思うけど、あくまでも口ではずっと発しているけど全然違うことをいつも考えてる。
大槻ケンヂ 分かります。
アンジェリーナ1/3 大槻さんの本を読んだときに私も「めっちゃ分かる!」って声出ましたもん。私がすごく悩んでいたことを大槻さんが全部文章にしてくれているって。
大槻ケンヂ ミュージシャンが思っていても、あえて口に出さないようなことを書くっていうのもエッセイのポイントのひとつですね。
アンジェリーナ1/3 本当に「これだよこれ」って思いました。
大槻ケンヂ 本とかまた書こうとかはあるんですか?
アンジェリーナ1/3 漠然とした自分が、いつか小説を書いてみたいなとは思っています。
大槻ケンヂ まじか! ぜひぜひぜひ、すぐ書こうよ。そういうのはすぐ書いたほうがいいよ。
アンジェリーナ1/3 書けますかね。歌詞にしてることって、自分の実体験が落とし込まれているし、ラジオでは自分の経験してきたことや見てきたことしか喋っていないので自分の頭の中で描いていることを書き出したことがないんですよ、経験として。
大槻ケンヂ いやー、それはもうすぐでも! もうぴあで出してもらおう。
アンジェリーナ1/3 えー、いいんですか(笑)?
大槻ケンヂ でもね、僕いろいろ仕事をやってきたけど、一番きつかった仕事は小説です。泥沼を這うかのような感じでしたね。
アンジェリーナ1/3 うわー、じゃあもうやりたくないかも(笑)。小説を書くときってどういう心境なんですか? だって全部自分の頭の中で想像したことを文章にしなきゃいけないんじゃないですか? それって実体験より生々しいなって私は思っているんですよ。
大槻ケンヂ 歌うことにも言えるかもしれないけど、本当に自分が書きたいことを書くことさえできればできる気がする。本当に書きたいことは何かっていうことを見つけたら、それを登場人物に置き換えて、今まで自分が体験してきたことや観てきた映画や聴いてきた音楽とかですべて再構築していくっていうか。それがいいような気もするけどね。
アンジェリーナ1/3 なるほど!
大槻ケンヂ でも、小説は辛いよ。小説を最初に書いたときにね、昔あったんですよ、ミュージシャンに小説を書かせましょうブームがあって、それに引っかかっちゃったんだけど、最初書いた一行目の一文字目が「僕」だったんだけど、編集者さんに「まず「僕」って漢字間違えてます」って言われてさ。
アンジェリーナ1/3 そっか、当時は手書きですよね。
大槻ケンヂ 今も手書き。
アンジェリーナ1/3 え!? 『今のことしか書かないで』も?
大槻ケンヂ うん。
アンジェリーナ1/3 すごい!
大槻ケンヂ 原稿用紙に手書きで書いて、それを写メして送るの。で、必ず読めますか?って書いて送る。字下手だからね。
アンジェリーナ1/3 僕から間違えていたのか、大槻さん(笑)。

大槻ケンヂ 始めの一文字からつまづいたからね(笑)。いやだからさ、もうとにかく書いてみるでいいと思う。書きたいジャンルとかある?
アンジェリーナ1/3 書きたいジャンルですか? そうですね、今の時代のことは書きたくないですね。
大槻ケンヂ 異世界転生者とか?
アンジェリーナ1/3 落語が大好きなので、あの時代の自分の幻想みたいなものを書きたいですね。江戸とか。
大槻ケンヂ そっち? 時代考証系?
アンジェリーナ1/3 小説だから好きにしていいんですもんね。だから「ありえねえだろ、それ」っていうのを小説だからこそ理解してもらえるみたいなことを、その時代がすごく好きなので自分の想像をもっと膨らましていろんなことを書きたいですね。
大槻ケンヂ アンジーが戦国時代にタイムスリップして、信長家康とかをお父さん扱いして翻弄して、天下統一しちゃうとか。「戦国アンジェリーナ1/3」
アンジェリーナ1/3 めちゃくちゃ面白い(笑)。確かにおじさん転がしを戦国でやるっていいですね。あと、『慶安太平記』もすごく好きで由井正雪って人物が大好きなんです。
大槻ケンヂ アンジー、変わってるよね。やっぱり変だよ(笑)。
アンジェリーナ1/3 変かもしれないです。でも、大槻さんに言われたくないです(笑)。
大槻ケンヂ あ、そうか。ごめん、すまなかった。
アンジェリーナ1/3 由井正雪がアンジーだったらみたいなやつとか書きたいですね。由井正雪って超頭良くて、めちゃくちゃ頭が切れて、水面下で自分の手を汚さずに自分のやりたいこととか目標を全部達成していくんですよね。でも、周りの人たちはぐちゃぐちゃになっていくみたいな。私はめっちゃバカなんだけど、バカなりになんかこう目標達成したいときに、血みどろになれることって絶対あると思うんですよ。賢くないからできる、地べた這いつくばるみたいなもの。だから「由井正雪がアンジーだったら」みたいな物語は書きたいですね。
大槻ケンヂ やっぱ小説ってこの人が書いたこういう本を読みたいっていうのがあると思うんですよ。だからアンジーが書く百合小説とかむちゃくちゃ読みたいし、アンジーが書くラジオパーソナリティの話はなんか腑に落ちちゃうから、個人的にはそういう感じがいいかな。
アンジェリーナ1/3 作品って出会いだと思うので、自分の中でもこれからいろんなものに出会っていこうと思います、小説も含めて。
大槻ケンヂ あと、ひとつだけ最後に言わせてもらうと、『今のことしか書かないで』の中である少女がロックボーカリストになるっていう部分があるんですけど、実写にすることがあればこれはアンジーがやったらいいだろうなってことは思いました。
アンジェリーナ1/3 あ、ちょっと私っぽいなって思いました。
大槻ケンヂ でしょ? これ読者の方からも指摘を受けたんです。そのあたりでアンジーと会ったりとかしているし、アンジーのパフォーマンスとかもなんかいろんなものをDVDとかで観たりして、ちょっとあったんだと思う。
アンジェリーナ1/3 そんな風に言っていただけてありがとうございます。
大槻ケンヂ だからぜひアンジーに興味を持った人は 『今のことしか書かないで』を読んでいただきたいなと思いますし、そしてアンジーの著書『すばらしい!! 日々!』もぜひ読んでください。アンジー、今日はありがとうございました。
アンジェリーナ1/3 ありがとうございました!

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<アンジェリーナ1/3 情報>
◼︎ラジオ レギュラー
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毎週日曜 12:00~12:55
番組HP: https://www.tbsradio.jp/kanau/
TOKYO FM『SCHOOL OF LOCK!』
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