金属バットが感じたM-1とTHE SECONDの違い。「おっさん、おばはんばっかりでM-1ほどのピリピリはなかったけど、1人だけM-1の顔してる芸人がおって…」
金属バットが感じたM-1とTHE SECONDの違い。「おっさん、おばはんばっかりでM-1ほどのピリピリはなかったけど、1人だけM-1の顔してる芸人がおって…」

M-1ラストイヤーの敗北からTHE SECOND出場を決め、そして本日5月20日放送のグランプリファイナルへと駒を進めた金属バット。有楽町の居酒屋で、彼らの胸の内を聞く。

(全8回の7回目)

もしもTHE SECONDで金属バットが優勝したら…

――1回戦の対戦相手がマシンガンズさんです。いい組み合わせですね。

友保
 いや、いきなりよくないですよね、しょっぱな「誰やお前ら」対決。何にもわかんないですからね、どういうもんかわからんから。まぁ元気に前向いて大きい声出します。笑顔で。

――NSC(吉本総合芸能学院)で習ったことを。



友保
 腹から声出して、それしかないもんな。

小林 みんな僕らを見て考えだすんでしょう(笑)。

――もし優勝したら……翌日、同局のいろんな番組を回ったりするじゃないですか。

友保
 全部断りますよ。嫌でしょ、見られへんでしょ。じゃんけんしたくないですよ。



――『めざましテレビ』で優勝ネタやって、めざましじゃんけんする金属バット。

小林
 それ入らんように集英社オンラインが終日取材で抑えといてくれたら。

――12時間耐久、朝から飲み食い放題みたいなのでいいですか?

金属バット
 やるしかないですね。

――その飲みの席に順番に報道陣を呼ぶスタイルで。

友保
 最後喧嘩になるんじゃないですか?

小林 でもメンズノンノも同じこと言うてきたらそっち受けちゃうと思う。

友保 俺ら見て世の中のちびっ子達は喜んでくれますかね? 俺らは子供の笑顔が見たいから漫才やってるだけで…。


――「子供の笑顔が見たいから…」は私が最初に取材した時から一貫して言ってますね。

友保
 そうなんですよ。本心なんで。

――金属バットの漫才が夜7時台に見れてちびっ子たちもうれしいでしょう。

友保
 ただ俺は子供には7時には寝てほしいねん。日が沈んだら寝るのよ、子供は。



小林 深夜2時に起きてまうて。

友保 2時に起きたらまた寝たらいいねん。そもそも今の子供はテレビなんか見ないでしょ。YouTube見てるでしょ。

――子供に圧倒的に人気なのが『逃走中』だと思うのですが、優勝したらそのオファーもくるかもしれません。

友保
 俺は光の速さで捕まりますよ、走りたくないんで。
そもそも俺らが『逃走中』出たらマジで犯罪者じゃないですか。『Grand Theft Auto』みたいな。あんまりテレビ出たくないんですよ。

ユニットでM-1に出ようと思っていた

――優勝したらいろいろお声がかかりますよね。

友保
 まぁまぁどっかで犯罪犯して。

小林 ギリギリの、それはまぁ許せるかみたいな。

友保 自転車パクる、チャリ泥棒。



小林 やむを得ず。

――編集部としては、お二人がTHE SECONDへの出場を決めてくれたことで、こうしてまた取材ができて本当に嬉しいです。

小林
 アレで終わりやと(笑)。

友保 今生の別れやおもて。一瞬終わったおっさんが。まぁよかったですよ、これ始まらんやったら今年の夏誰かとユニット組んでM-1出ようと思ってましたもん。

――候補がいらっしゃったんですか?

友保
 近所によくしゃべるインコがいてるんで、インコと一緒に「おもしろ出っ歯おじさん」ってのが第1候補でしたね。もう1個は「インコ人間」。

小林 インコがメインやん。

友保 俺はあんましゃべらへん、インコがしゃべる。

小林 やっぱインコがメインやん。

友保 おもしろ出っ歯おじさんがボケを取ると思いきやインコがボケをとるという、で、いざ「おもしろいのはどっちだ」言うて客に投げかけてる。

小林 仲悪なるて。

友保 お前は俺とインコの仲を知らんから。

――大会があった方が日常に刺激がありますか?

友保
 スパイスね。どうなんですかね、頭は使う。

――ドキドキしてる方が楽しい。

友保
 それがおもろいもんでTHE SECONDに関してはあまりドキドキしない。そんな気を張ることもなくて、なんたって僕ら劇場単価が上がったんですよ。マネージャーがTHE SECONDのベスト8を決める時に楽屋来て「金属さんの劇場単価が上がりました」と。試合前に言うてくれたんで、俺らはもう負けてもいいと言うてて。ほんとナイスマネジメント。勝っても負けても。マネージャーが吉本一強い男なんで。

吉本一強い男

――THE SECONDの決勝が決まった瞬間、集英社オンラインの担当さんはマネージャー(車谷尚彦)さんに鬼電したそうです。

友保
 なんでやねん(笑)。

――取材の依頼で。でも、マネージャーさんがちょうどお休み中だったそうで、めっちゃ小さい声で電話に出られたとのことでした。

小林
 たぶんメンズノンノが電話してたら機嫌よく受けてくれてたでしょうね。

――マネージャーさんそんな強いんですか?

友保
 めっちゃ強いっす。

小林 (総合格闘技の)修斗やったかな。

友保 よぅ呑んだりした時にマネージャーさんに「向かいの席の人どうやって倒しますか?」って聴いたら全部答えてくれますよ。まず首掴んで膝入れてとか。「じゃあ刃物持ってたらどうします?」って言ったら「まず手を払って……」とかね。俺なんて2回くらい殺されてますからね。

――強いって、そっちの強いだったんですね。発言権があるとかではなく。

友保
 いつでも人を殺せる。

小林 だから集英社オンラインの鬼電をどう思ってるかどうか。

友保 強いからこそ優しいからね。いつでも壊せるから。

――THE SECOND、決勝の審査はどなたがされるんでしょうか。

友保
 予選はお客さんでしたけど、決勝はまた変わるみたいな。言葉がわかるイルカがおるらしいんですよ。俺が聞いたんはイルカです。話がわかるイルカ。ただ生き物としてはシャチの方が賢いのにイルカを選ぶ、そのフジテレビのセンスを俺はどうかと思う。

――シャチも哺乳類ですね。予選の時はお客さんも指名で感想を言わなきゃいけなかったみたいですね。

友保
 あんなねぇ矢面立たされて。なんかえぇかげんなことせんように、緊張感保つようにみたいですけど、そのせいでみんな死んだ。まぁでもね、全ては子供の笑顔のためなんで。

――THE SECONDの楽屋はどんな雰囲気でしたか?

友保
 楽屋もバラバラなんですよ。一回戦は大部屋やったんですけど、おっさん、おばはんばっかりだったんでちょっと臭かった。なんかスーパー銭湯みたいな、みんな衣装脱いだり着たりしてるから。

THE SECONDとM-1の違い

――みなさん、リラックスされていたということですか?

友保
 いや、みんなピリピリはしてたんですけど、おっさん、おばはんはスーパー銭湯でもピリピリしてるから。

小林 常にしてんねやろな。

友保 でもM-1のあの感じではなかったかな。みんな無限にタバコ吸うてるやつ。THE SECONDはなんかダラーっとして。正月みたいな。親戚集まったみたいな。

小林 スーパーマラドーナの武智さんだけM-1みたいな顔してました。

友保 ピリピリしてたなぁ。見に来てたなぁ。

小林 自分ら別の日やったのに見に来てました。

友保 関係ない日に見にきて、ギャロップのネタ見て「モーリー(毛利)走ってる」って。モーリーのツッコミがちょっと早いな~言うて。盛り上がりすぎて負けてましたね、武智さん。時間オーバーで、最後暗闇でツッコんでた。

小林 絶対(途中で)やめれたよな(笑)

友保 手前でやめれてんけどな(笑)

――M-1だったら最年長に近いと思うんですけど、THE SECONDだと下から数えた方が早い。

友保
 小学校から中学校に上がった感じ。

――緊張しますか?

友保
 楽勝ですよ。みんな先輩ですけど。せやからピリピリはないですね。裏でも表でも。もうみんなある程度、昔っから知ってるし

――とは言え、やっぱ勝ち残りたいですよね

友保
 いや1人でも多くの子供の笑顔が見たいだけ、その結果勝てればいいんじゃないかなとと僕は思ってますけど。このビッグKと。

小林 ビギーKで。

――ビッグK、THE SECONDの目標は?

ビッグK(小林)
 絶対に優勝して見せます。取り戻す!

友保 晋三さんですか?

ビッグK 安倍晋三さんです。イタコ芸です。

友保 小林圭輔、イニシャルKKやねんから、お前はKから逃がれられへんねん。

#8へつづく

取材・文/西澤千央 撮影/高木陽春