【君に届け展レポ】300点以上の直筆原画や創作資料から振り返る、爽子とみんなが歩んだ11年。人を「すき」になることが教えてくれるたくさんのこと

2006年から2017年まで「別冊マーガレット」で連載された『君に届け』(椎名軽穂著/集英社刊)。本作の展覧会「君に届け展 ❝すき❞のちから」が、9月20日から東京・松屋銀座にて開催中。

繊細で美しいカラーイラストや名シーンの直筆原画、貴重な創作資料の数々など、総数300点以上の展示が楽しめる本イベントの見どころと、初日に行なわれたオープニングイベントの模様をお届けする。

爽子の高校生活をひもとく、
圧倒的ボリュームの直筆原画

シリーズ累計発行部数は3600万部(※2023年3月時点)を超える大ヒット少女漫画『君に届け』。陰気な見た目から周囲と打ち解けることができない主人公・黒沼爽子と、クラスメイトの風早翔太とを中心に、友情や恋愛を通して登場人物たちが成長していく姿を丁寧に描いた、平成を代表する王道の青春ラブストーリーだ。

【君に届け展レポ】300点以上の直筆原画や創作資料から振り返る、爽子とみんなが歩んだ11年。人を「すき」になることが教えてくれるたくさんのこと

椎名先生から語られる、知られざる各キャラの“裏話”も ©椎名軽穂 / 集英社

「君に届け展 ❝すき❞のちから」ではまず、本展のため制作されたスペシャル映像が来場者をお出迎え。続いて「プロローグ」として、爽子と同じ1年D組の登場人物のプロフィールと相関図が展示される。椎名軽穂先生から寄せられた各キャラクターへのメッセージは必見だ。

【君に届け展レポ】300点以上の直筆原画や創作資料から振り返る、爽子とみんなが歩んだ11年。人を「すき」になることが教えてくれるたくさんのこと

3年間でいろいろあった、1年D組の相関図。

思わず「自分もこのクラスにいたら……」と妄想してしまう ©椎名軽穂 / 集英社

直筆原画&カラーイラストが300点以上

そしてお待ちかね、爽子と風早の出会いから卒業までを名シーンで振り返る直筆原画の数々。椎名先生の息づかいまで感じられるかのような貴重な資料を目の前で楽しむことができる。

【君に届け展レポ】300点以上の直筆原画や創作資料から振り返る、爽子とみんなが歩んだ11年。人を「すき」になることが教えてくれるたくさんのこと

最終話を読んだ後では感慨もひとしおの、爽子と風早の出会いのシーン ©椎名軽穂 / 集英社

【君に届け展レポ】300点以上の直筆原画や創作資料から振り返る、爽子とみんなが歩んだ11年。人を「すき」になることが教えてくれるたくさんのこと

修学旅行、年越し、クリスマス……本当に3年間でいろいろありました ©椎名軽穂 / 集英社

【君に届け展レポ】300点以上の直筆原画や創作資料から振り返る、爽子とみんなが歩んだ11年。人を「すき」になることが教えてくれるたくさんのこと

美麗なカラーイラストも約90点展示 ©椎名軽穂 / 集英社

【君に届け展レポ】300点以上の直筆原画や創作資料から振り返る、爽子とみんなが歩んだ11年。人を「すき」になることが教えてくれるたくさんのこと

龍やくるみをはじめ、個性的なクラスメイトたち。彼らのさまざまな“すき”のかたち ©椎名軽穂 / 集英社

作品の創作過程を一挙公開!

「“すき”のうまれる場所」と銘打たれたコーナーでは、作品の構想メモやプロットなどの貴重な創作資料を公開。膨大なメモやノート、ネームから、ストーリーが誕生するまでの軌跡を追うことができる。アナログ画材ならではの下絵を見られるのもまたとない機会だ。


【君に届け展レポ】300点以上の直筆原画や創作資料から振り返る、爽子とみんなが歩んだ11年。人を「すき」になることが教えてくれるたくさんのこと

細かく書き込まれた創作ノート ©椎名軽穂 / 集英社

【君に届け展レポ】300点以上の直筆原画や創作資料から振り返る、爽子とみんなが歩んだ11年。人を「すき」になることが教えてくれるたくさんのこと

椎名先生の試行錯誤の跡が垣間見える貴重な資料だ ©椎名軽穂 / 集英社

“すき”を具現化した空間演出の数々

また本展では、作品の世界観を表現したこだわりの空間表現も見どころのひとつ。さまざまな名ぜりふを印字した布を天井から垂らした演出は、まるで登場人物の声がじかに響いてくるようだ。ぜひ、お気に入りの名言を探しながら楽しんでほしい。

【君に届け展レポ】300点以上の直筆原画や創作資料から振り返る、爽子とみんなが歩んだ11年。人を「すき」になることが教えてくれるたくさんのこと

順路脇に設置された巨大名言。キャラクターにエールを送られている気分に ©椎名軽穂 / 集英社

爽子、風早ら1年D組の生徒たちが、互いに影響を与え合い成長していく様子を空間全体で表現、プリズム状のプレートで名シーンを3次元的に構築したコーナーは、ドラマ版で爽子を演じた南沙良さんも「一番印象的でした」と語る幻想的な演出となっている。

【君に届け展レポ】300点以上の直筆原画や創作資料から振り返る、爽子とみんなが歩んだ11年。人を「すき」になることが教えてくれるたくさんのこと

南沙良さんもイチ押しのプリズム立体演出 ©椎名軽穂 / 集英社

「椎名先生と一緒に展覧会を見ている気持ちに」

本展のオープニングイベントでは、ドラマ版・アニメ版でそれぞれ爽子を演じた女優の南沙良さんと声優能登麻美子さんが登場。本展示を一足先に楽しんだ能登さんは、「椎名先生がたくさんメッセージを寄せてくださっていて、一緒に展覧会を回っているかのような気持ちになりました。

先生の言葉を追ってみて、より作品の世界観を感じていただけたら」とコメント。

【君に届け展レポ】300点以上の直筆原画や創作資料から振り返る、爽子とみんなが歩んだ11年。人を「すき」になることが教えてくれるたくさんのこと

南沙良さん(左)と能登麻美子さん(右)。キービジュアルは椎名軽穂先生描き下ろし ©椎名軽穂/集英社

学生時代から本作品を楽しんでいたという南さんは「展示を見て、学生時代の思い出がよみがえってきました。もう一度作品を読み直してからご来場いただくと、さらに楽しめると思います」と感慨深げな様子。

「君に届け展 ❝すき❞のちから」東京会場は、10月2日まで、松屋銀座にて開催中。また10月18日から30日まで、大丸梅田店にて大阪会場の開催も予定されている。



取材・文/結城紫雄
©椎名軽穂 / 集英社