東京・上野で焼肉店など飲食店を集中展開していた「サンエイ商事」社長の宝島龍太郎さん(55)と妻の幸子さん(56)が殺害され、栃木県那須町の河川敷に火をつけられて遺棄された事件で警視庁と栃木県警の合同捜査本部は4月29日、新たに住所不定、職業不詳、佐々木光容疑者(28)を死体損壊容疑で逮捕した。先に同容疑で逮捕・送検された平山綾拳容疑者(25)が「アニキ」と呼んでいた事件の指示役とみられる。
航空券を準備、国内逃亡の可能性も…
この事件では平山容疑者が結束バンドやガソリン、携行缶などを購入したうえで自身所有の黒色乗用車を犯行用に「提供」、車内からハンマーなどの凶器類とともに幸子さんのものとみられる血痕が見つかっていた。
平山容疑者はこれらの指示を「アニキから受けた。遺体を処理するため、飲み仲間2人を実行役に頼んで車を引き渡した。アニキからは自分と仲間2人の報酬として千数百万円を受け取った」と供述、実際に15日夜に品川区内のコンビニの駐車場で男2人に車を引き渡したことがわかっている。
捜査本部は「アニキ」を佐々木容疑者と特定、行方を追っていた警視庁の捜査員が28日夜に沖縄県内で発見して確保、死体損壊容疑で逮捕し、29日に身柄を捜査本部のある東京都品川区の大崎署に移送した。
「平山容疑者はコンビニで車を渡したあと都内の居酒屋に移動し、1時間以上待ったうえ、16日未明に佐々木が現れるとすぐに連れ立って店から出て行った。
大崎署に移送されてきた佐々木容疑者は短髪を金色に染め上げ、イカつい体にブランド物の黒いTシャツをまとったいかにも「アニキ」然とした風貌。しかし、平山容疑者とともに宝島さん夫妻との接点には乏しく、一連の事件の役割としては「遺棄チーム」に分類される従犯とみられる。
宝島さん夫妻について「面識がない」と話す佐々木容疑者
新たな容疑者逮捕を受け、宝島夫妻と親しい関係者の1人は事件の早期解決を願いなから、事件に巻き込まれるきっかけになった「物件探し」についてこう語った。
「15日の夜に2人(宝島夫妻)が不動産屋と同行したのかについては、深夜の不動産の内見は仕事柄それほどおかしくはないです。
平山容疑者が「アニキ」と恐れた佐々木容疑者について、大崎署に移送される際に撮影した写真を見てもらいながら心当たりがないか聞いてみた。
「まったくわからないですね、名前も含めて。上野近辺にいっぱいいそうな方ですけどね。コワモテというか、たくさんいすぎて逆にわからないというか。しかし、この事件自体謎が多すぎて、ニュースを見ながらずっと考えてるんですけど、疑問なところしかないから」(同前)
佐々木容疑者も、取り調べに対し宝島さん夫妻について「面識がない」と話しているという。
事件発生から間もなく2週間を迎える。だが、別の関係者によると宝島さん夫妻の葬儀の日程もまだ決まっていないという。「アニキ」の逮捕はまだ、事件解明の入り口にしか過ぎないようだ。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班