
結成16年以上のコンビが漫才で頂点を競う「THE SECOND」(フジテレビ系)で惜しくも3位となったお笑いコンビの金属バットが大会のやらせ疑惑を告発。大盛況に終わった大会の裏側で何が起きていたのかを語る。
―今日はこのあとお仕事があるということで、飲み屋ではなくスタジオでお茶飲みながらのインタビューです。暑いので冷たいお茶ご用意しました。
友保 ありがとうございます。でもわしこっち(常温の水)でいいです。
―常温のお水を選ぶなんて、ディーバみたいですね。
友保 いやぁ、前に(AV男優の)しみけんが「冷たいのやめとけ」言ってたんですよ。内臓を冷やすいうて。なんか勃起率に悪いらしいですわ。一番健康オタクやから、しみけんて。
―なるほど(笑)。まずは最遅のご挨拶かと思うのですが、改めましてTHE SECONDおつかれさまでした。担当編集が「3位」と言い張ってるのですが、3位という認識でよろしいでしょうか。
友保 3位じゃないです(笑)。
―「優勝したほうに負けたほうが3位」と言い張ってます。
小林 どういう理論(笑)
友保 まあまあ負けは負けですけどね。また負けたやん。
―でも一歩一歩上がっている。
友保 えええ、何本捨てなあかんねん、ネタ。おいおいおい、ざけんなよ(笑)。でもガクテンソクさん優勝して、よかったですよ。たぶん一番優勝したい人やったし、どう考えても。
小林 そうやな。
友保 とりあえず(ガクテンソク)奥田さんの予想では「来年には破産する」言ってたんで、高いとこ住んでるから。
小林 常に追われてるって言ってたな。
友保 家賃に食い殺されるから(笑)。ね、よかったよね。
―よく芸人さんがちょっとお値段の高いところに住んで自分を追い込むっておっしゃいますよね。
友保 その中でもちょっと奥田さん規格外のとこ住んでしまって、とんでもない……マジで単車新車で買えるぐらいの。いいとこに住んじゃって。一方(相方の)よじょうさんは家賃が大きめのブロッコリー1個で済む家に住んでるらしいと聞いております。なんや奥田さんのところは風水的にめっちゃいいらしいな。
小林 そうなんや。風水確認してるってこと?
友保 名だたる芸人が住んでたとこらしい。これあんま言うと大谷翔平みたいになっちゃいますから。
―集英社がガクテンソクさんに出禁だされちゃう(笑)。
友保 いかんいかんいかん。まあすごくいいとこ住んでますね。
まさに死闘だったTHE SECOND
―やはり皆さんTHE SECONDに賭けてらっしゃったんですね。
友保 そういう意味ではそうですね。みんな死ぬ気で戦って、何人か死にましたもんね。(ハンジロウ)たーにーさんは死んだよな?
小林 たーにーさん死んだの?
友保 弾け飛んだって聞いたよ。打ち上げ出た瞬間にパチンって。
小林 ええ? 俺見たけどな。たーにーさんが俺らのネタカバーしてYouTubeに上げてたの。
友保 やめて。怖い話しだしたやん。
小林 あれ、たーにーさんじゃないの?
友保 夏やけども。やめてよ。
―念がそうさせてるのかもしれないですね。
友保 (タモンズ)大波さんも体を壊したし。大会終わりに体調崩しちゃって、喉もね、体も潰れて。激しい戦いやったからな。
―みなさん何らか痛手を負ってらっしゃる。
友保 傷だらけですからね。僕も右目が見えないんで。
―え? そんな激しいことありましたっけ?
友保 あ、わかんなかったですか?
―テレビで見ていたかぎり、いつもの通りの金属バットさんだったので。
友保 ああ、でしょうね。白鳥と一緒なんです、僕たちは。水の下でもがいてたんですよ。
小林 俺はもう毎日オートミール食べてたから健康そのものです。
―オートミールですか?
小林 あれが効きましたね。オートミール。
友保 お前、最近「オートミール」ってよく言うな。
小林 最近覚えたよ。
友保 最近覚えたよな。なんか妙に言うよな。20 年ぐらい知ってるけど、最近まで一回も言うてこなかったよな。
小林 お前オートミール20年前から知ってんの!?
友保 お前のことや! なんならお前より先に俺オートミール食ってたからな。あの麦みたいなやつ、めっちゃ楽やから。
小林 なんで言わんのよ。
友保 まずいからや! 楽なだけで食ってたんよ。鍋の締めにあれを入れてたよ。
小林 貧困なんか、それは。
―意識の高い貧困。
友保 バカですねあなたたち。ラ・ムーで買うためっちゃ安いやつ。
小林 ラ・ムー……存在せえへんスーパー(笑)
―お二人にもTHE SECONDバブル的なものはあったのでしょうか。
友保 あるわけないでしょ。小銭集めてますよ。ボロボロですわ。小林だけ妙に元気ですけどね。
小林 僕は天下りで別の仕事に就きましたね。
友保 とんでもない大会でしたね。
THE SECONDで人生が変わったコンビ
―明暗が分かれてますね。
友保 そうですね。もうガクテンソクさんなんかね、バリバリ芸能人。それに比べて負けた俺たちよ。どうしようもないですね。変化といえば右折できひんようになったってくらい。左折ばっかでグルグル回ってますわ。
小林 勘で曲がれよ(笑)。
友保 ええなぁ健康なやつは! 感謝しいや!
―『あちこちオードリー』(テレビ東京)に出てらっしゃいましたよね。
友保 あれは偽物です、僕たちの。吉本がね、作ってたんですよ。仕上げてたんです。ゴム人間です、あれ。吉本はそういうのやってるんですよ。
―そういうテレビの仕事も増えているのかなと思いました。
友保 吉本にしてはよくやりましたよね。ほんとの僕らはただ上野の駅の前でオルガン弾いてますよ。悔しい。小林だけは元気ですけど。
小林 すこぶる。
―他の芸人さんたちはいかがですか。THE SECONDで人生が変わった方は?
友保 あ、パンチさん! 浜崎さんなんか、あのマッチョマンのポーズで固まったって聞いたよ。
小林 あああ、あのまま固まってるのか。
友保 あのまま固まって動いてるらしいよ。超兄貴みたいになって。「なんちゃってマッチョマ~ン」で固まってしもうて。マッチョマンのまま動いてるらしい。
―いろんなところでマッチョマンをやりすぎて……?
友保 いや、負けた瞬間だったらしいです。「はい、オッケーです」ってなった瞬間カチって固まってもうて。
―敗戦のショックで……なのかな。大変ですね。仕事にも支障をきたしますね。
友保 そうなんですよね。苛烈な戦いです、あれは。やっぱみんなジジイなんでね。無茶できないんですよ。
―以前インタビューでザ・パンチさんもお二人と同じく「(劇場出番の)単価を上げたい」とおっしゃっていましたが、今回のTHE SECONDでその目標は達成されたのでしょうか。
友保 単価は……上がるみたいです。ただそれも悪魔の契約なんで、何かを捧げたら単価が上がる。僕は右目です。で、来年1000円上がるらしいです(笑)。右目を捧げて来年1000円上がると聞いております!
小林 ああ。
「テレビなんか全部やらせ」
―今更掘り返すのもなんですけど、2回戦目のネタで「子どもというのは…生きるために必要がないものです」というボケを真に受けて1点をつけた方が何人かいらっしゃったと風の噂で聞きました。あれがなかったら……と。
友保 いや、俺ちょっと物申していいですか? あの1点付けたやつ! ちょっと物申さしてください。おい1点付けたやつ、お前はほんまに……心が綺麗や。もうお笑いなんか見ないで大丈夫や、あなたは。そんな心清い人間は。
小林 (笑)。
友保 1点付けたやつをそれこそラフ次元の梅村さんがずっと覚えてて。あれ座席表が出るんで、誰が何点つけたかわかる。梅さんがあれ全部見て。普通家帰ってやんねんな、あんなの。
小林 そやねん(笑)。
友保 梅さん、それ現場でやって、自分で出て、顔を覚えて、最後に教えてくれたから(笑)。前から何番目のあの人、あの人が1点。お互いリスク背負ったな。
―ライブ感ありますね(笑)。
友保 梅さんあれから人間を点数で言うようになったらしいよ(笑)。「ちょっと3点~?」って。息子を点数つけてるらしい。もう心がセカンドに囚われちゃったんですよ。
―でもステージ裏の様子とか楽しそうでしたよね。
友保 そう見えました? 見えてないところで全員銃つきつけられてたんですよ。
小林 「楽しいよな?」って言わされて。
友保 zoomで実家つなげられて。ほんまにアルジャジーラみたいな。うちのおとんとおかんに見たことないフジテレビの人が銃構えて。
―それはもうみんな楽しくするしかなかったですね。アイスおいし~とか。
友保 言わざるを得なかったです。テレビの世界ですよ。
―1点つけた人がいなければ、友保さんが右目を捧げなくてもよかったかもしれない。
小林 大丈夫、あの人らが全員3点付けてても全然足りてない。
友保 世の中がもう少し荒れてたらね、結果は違ったかもしれない。
―時代とともに求められる笑いも変わりますもんね。
友保 そうですね。変化するもんですから。ちょっと早かったかな~みんなには、へへへ。
―あ、でも、お二人の優勝(しなかった)コメントによれば、THE SECONDは全部やらせでしたね。
友保 そうでした。テレビなんか全部やらせですよ。すべてやらせです。R-1もやらせ。セカンドも交野市のお笑いもオリンピックも全部やらせ何もかもやらせ 。
小林 THE Wだけが真実。
取材・文/西澤千央 撮影/高木陽春