
物価高騰の影響で、全国各地の飲食店で値上げが続いている。そんな中、“激安”で話題になるあの店はどうなったのか。
ビッグマックがいつの間に480円… 一方モスバーガーは…
大手ファーストフードチェーン店の値上げが止まらない。マクドナルドはこの2年半で複数回にわたって値上げを行い、看板商品のビッグマックは390円から480円にまでアップ。「100円マック」商品の1つだったハンバーガーも、2019年に110円に値上げされて以降、値上がり続けて今は170円だ。
マクドナルドがこうして値上げするたび、ネット上では〈そんなに高いならモスバーガーに行くわ!〉という声が決まってあがってくるが、そのモスバーガーはさらに一段上の価格帯。看板商品のモスバーガーは単品で440円だが、ドリンクとポテトのセットにすると890円。お手頃にランチをすませる感じの価格ではなくなってきている。
ミスタードーナツ(以下、ミスド)もまた、値上げをしたことがよく話題になる店の1つだ。特に思い出されるのは“全品100円セール”。かつてはこのセールをよくやっていたが、2016年に廃止した。
以後、ドーナツの値段は上がり続けて、定番商品のポン・デ・リングやオールドファッション、フレンチクルーラーは162円(税込、テイクアウト価格、以下同)。さらに人気のゴールデンチョコ、エンゼルクリームは172円、期間限定商品に関しては200円台後半くらいとなっている。
ミスドの値上げは7月3日に実施されたばかり。
公式発表によると、“定番の人気商品に関しても常に、食感や味にこだわり、もっとおいしいドーナツをめざす”とのことで、ドーナツの改良にともなって値上げを実行したようだが、かつての安さを知っていた人からはやはり、〈ミスドの100円セールしてた頃の世界線に戻りたい〉〈ミスド値上がりして号泣してる。悔しい!〉〈一年ぶりにミスド買ったけどいい値段しますわね。100円セールの頃が安すぎた〉〈学生時代の値段に戻って欲しい〉といった悲鳴があがっている。
一方でミスドといえば、函館にある店舗だけやたら安いことでもおなじみだ。果たしてこの値上げラッシュの中、函館のミスドはどうなっているのだろうか。
オールドファッション64円 伝説のミスドの今…
函館市内にあるミスドは、かつてオールドファッションが64円、フレンチクルーラーが75円など、激安価格で販売していた。“100円セール”をゆうに超えるほどの安さで、この函館市のミスドを目当てに来る観光客もいるほど。SNSに商品棚が投稿されると、定期的にネット上でバズっている。
しかしどうやらそれも数年前の話だったようだ。現在、函館のミスドを訪れてみると、オールドファッションが97円で、これが唯一の二桁価格の商品だった。
ほかはフレンチクルーラー、ゴールデンチョコレート、チョコファッションなどが108円、ハニーディップが129円、チョコリングが140円といった並び。
確かにまだ他の店舗よりは数十円ほど安く、オールドファッションやゴールデンチョコは約70円もお得。ただ、“64円!”のような、かつての目を引くほどのインパクトはなくなっている。
また、ポン・デ・リングにいたっては162円で他の店舗と同じ値段。カレーパイなどのパイシリーズや、期間限定商品も他の店と同じ価格設定であった。
店にドーナツを買いに来ていた函館市在住の20代男性に、ミスドの値上げについてどう思っているのか話を聞いた。
「僕に限らず、函館に住んでいる人はミスドにいくと、いつも大量買いして持ち帰りしているイメージがありますね。値上げに関しては今回ちょっと久しぶりにきて驚きましたが、どこの店もそうだから仕方ないのかなと……。
オールドファッションが他と比べて特に安いんですか? それは知らなかったです。僕は特に気にせず、ポン・デ・リングとかも買ってますね。というか、函館市民からしたらこの値段が当たり前なので、どれがお得とか今まで考えたこともなかったです」
なぜ函館のミスタードーナツは安いのか
しかしそもそも、なぜ函館のミスタードーナツだけが価格が安いのだろうか。ミスタードーナツを運営するダスキンの広報担当者に話を聞いた。
「函館だけ価格が違うのはもともと、地域の加盟店様から『地域の実情に合わせて、お客様がお求めやすい価格でやりたい』というご相談があって、本部としてそれを承認したことがきっかけです。20年以上前からこのような価格でやっています。全国で値段が違うのは、この函館の店舗だけとなっております」
また、値上がりをしてしまったのはやはり、昨今の情勢が関係していて、原材料の高騰が要因にあるそうだ。
7月11日放送の『アメトーーーーーーク 家電+ミスド+沖縄3時間SP』(テレビ朝日系)では、ミスタードーナツ芸人が放送される。「1500円で何を買う?」というコーナーがあるが、函館にいけば、都内で買うよりも1.5倍くらい多く購入できるのは間違いないだろう。
取材・文・撮影/集英社オンライン編集部