
テレビ局で働く「会社員」にも関わらず、タレントと同等あるいはそれ以上の影響力を持つ女子アナ。彼女たちの評判ひとつでテレビ局のイメージも大きく左右されるため、常に世間の耳目を集めている。
号泣も平手打ちもできる朝の顔
いつの時代も人気アナウンサーになれるのは一握り。
厳しい世界だが、そんななかで「2024年を盛り上げた女子アナ」といえば誰が挙がるだろうか?今回は、女子アナ評論家の丸山大次郎氏に話を聞いた(以下、「」内は同氏のコメント)。
「すでに結果で出ているもので言えば、12月に『オリコンニュース』が発表した『好きな女性アナウンサーランキング』で1位を獲得したTBSの田村真子さんです。
同局のアナウンサーがこのランキングで首位を獲得したのは彼女が初めてであり、2000年代にTBSの看板を背負っていた小林麻耶さんでさえ成し遂げられませんでした」
同ランキングに選ばれるということは、男女問わず若者から高齢者まで幅広い層から支持されているということだ。
「彼女が1位に輝いた大きな理由は、やはり『ラヴィット!』(TBS系)を担当しているからでしょう。
この番組は芸人が中心となった情報バラエティで、アナウンサーも進行をしながらタレント的な役割が求められます。そんななかで、彼女は毎朝、芸人並みの面白さを発揮しているのです」
番組開始当初から田村アナはこのランキングに名を連ねており、2023年は4位、2022年は8位というように2年連続で上位に食い込んでいた。
朝の番組もとい『ラヴィット!』の影響力はさすがというべきだが、まさか1位になるとは誰も予想していなかっただろう。
「彼女の順位がアップした要因としては、ネットニュースで取り上げられる機会が増え、タレントと同じような扱いを受け始めたことが挙げられます。
例えば彼女は鑑賞したことがない映画『タイタニック』の映像を見て号泣するなど、涙もろいことで知られています。
『ラヴィット!』でもよく泣いており、罰ゲームでビリビリ椅子を受けて、目に涙を浮かべたこともネットニュースになりました」
さらに、田村アナは女性警官のコスプレをしてタイムマシーン3号の関太に思いっきり平手打ちを喰らわせたことも大きな話題を呼んだ。
「本気で泣き、笑い、痛がる…。昔ながらのバラエティ番組の手法を、彼女は気負いなくやり遂げることができるのです。
フジテレビの新エースは「持っている」
視聴者の記憶に残るためには、自分の努力だけではどうにもできないときもある。その一方で、最近人気の若手のホープは強運の持ち主でもあるという。
「フジテレビの佐久間みなみさんは持っています。2022年、『S-PARK』(フジテレビ系)のメインキャスターへの就任後、初めての取材で千葉ロッテマリーンズ(当時)の佐々木朗希が完全試合を達成。
また、初めてのMLB現地取材では、ロサンゼルス・エンゼルス(当時)の大谷翔平が『野球人生初』の満塁ホームランを打っています。そして、入社5年目の今年、パリオリンピックのメインキャスターに抜擢されました」
大会期間中には、男子バレー日本代表の高橋藍(※高=はしご高)と親密すぎる様子が批判を受けたこともあったが、ブレイキンやスケートボードなどさまざまな競技の取材で注目を集めた。
「今年はフォトブック『みなみから』(講談社)を出版し、ミュージシャンのmiwaさんとのコラボレーション曲『Our Time』を熱唱していたことからも、フジテレビ内での彼女の評価が高いことを改めて感じさせられました。
なぜなら、同局の女子アナでフォトブックを出版できるのは、宮司愛海さんや堤礼実さんなど、“スポーツ部門のエース”という風潮があるからです。
彼女は今、『めざましテレビ』(フジテレビ系)の井上清華さんと人気を二分している存在といえるでしょう」
忘れてはいけない“令和のあざと女王”
女子アナは前出の2人のようにテレビ局に所属する「局アナ」だけではない。この者を抜きにして今年の女子アナを語ることはできないだろう。
「フリーアナウンサーで言えば、2024年は森香澄さんの一年だったという印象があります。
2月にファースト写真集『すのかすみ。』(幻冬舎)を発売し、『第17回オリコン上半期“本”ランキング2024』で『写真集』部門の第9位にランクイン。
総合ではなく一部門の9位とはいえ、ほかのランクインした作品が坂道シリーズやSTARTO ENTERTAINMENT(旧・ジャニーズ事務所)の関連作品で占められていることを考えると、そのなかに入り込むのはかなり人気がある証拠です」
そして、今年は冠番組『森香澄の全部嘘テレビ』(テレビ朝日系)がスタート。
同番組は森アナがビールの売り子やメイド喫茶でコスプレしたり、居酒屋で酔っ払いに絡まれるなど、さまざまな職業を体験していくという内容だ。
「さらに『酒のツマミになる話』(フジテレビ系)や『上田と女がDEEPに吠える夜』(日本テレビ系)などのトーク番組にもたびたび出演。
恋愛ネタにとどまらず『男を落とすあざとい仕草』などセンセーショナルな発言をすることで、『令和のあざと女王』というキャッチコピーがつきました。
アナウンサーでキャッチコピーが付くというのは、売れている証拠…。というよりも、トップクラスの証です」
バラエティ番組のみならず、ドラマも今年だけで『オトナの授業』(TOKYO MX系)、『伝説の頭 翔』(テレビ朝日系)、『3年C組は不倫してます。』(日本テレビ系)、『栞ちゃん 心の声を聞かせてよ』(テレビ朝日系)などに出演。下半期にはポテトチップスの「わさビーフ」のCMにも抜擢された。
「ほかにも女性向け下着通信販売会社『ピーチ・ジョン』の冬コレクションのゲストモデルに起用されるなど、かつての田中みな実さんの活躍をなぞっているような印象です。
森さんはSNSを活用して、田中さんを上回るほどの売れ方をしているとも言えます」
元アイドルがアナウンサーの天下を獲る!?
今年のテレビ業界を盛り上げた3人の女子アナはそれぞれ、個性が違えばその人気の博し方も違う。
それでは、丸山氏が2025年を盛り上げてくれると思うのは、いったい誰だろうか?
「それは原田葵さんでしょう。櫻坂46(旧・欅坂46)の一期生で、フジテレビ入社2年目。
他局では入社初日からすぐにアナウンサーデビューするケースが多いのですが、フジテレビではしっかりと研修を受け、夏の『FNS27時間テレビ』での提供読みを経て初鳴き(新人アナウンサーが研修を終えてデビューすることを指す業界用語)し、9月の秋改変からレギュラー番組を持つというのが通常の流れでした。
しかし、彼女の場合は2023年に入社し、6月には『めざましテレビ』のレギュラーが決まりました。つまり、『フジテレビ最速デビュー』を果たしたのです」
櫻坂46時代にテレビ慣れしていたこともひとつの理由かもしれないが、大手企業のこれまでの慣習をぶち壊してまで、即戦力として迎え入れられたのだ。
「そして今年に入って、木曜日は『ぽかぽか』(フジテレビ系)の進行を、それ以外の平日は毎朝『めざましテレビ』(フジテレビ系)にレギュラー出演。
そして、火曜日の深夜には『MONDAY FOOTBALL みんなのJ』(フジテレビ系)のアシスタントを務めるなど、徐々に頭角を現してきました。
それに、『めざましテレビ』のTikTokで披露している『男子に物申す!』という動画がかわいいと人気です。
なによりも、元アイドルということで『身を切る』ことが求められる場面もありますが、そんなときは現役のメンバーに迷惑がかからない範囲で裏話を話してくれる…。
ブレイクは必至であり、将来的に『めざましテレビ』のメインを張る日も来ると思います」
来年も女子アナたちの活躍から目が離せない!
PROFILE 丸山大次郎(まるやま・だいじろう)●1977年、北海道生まれ。男性週刊誌を中心に、女子アナ評論家としてコメント提供や記事制作などの活動をしている。
取材・文/千駄木雄大