キーボード音に貧乏ゆすりに謎のジョリジョリ…職場で聞こえる異音が「音ハラ」になってしまう現実
キーボード音に貧乏ゆすりに謎のジョリジョリ…職場で聞こえる異音が「音ハラ」になってしまう現実

ノイズハラスメント、通称「音ハラ」の悩みを明かす人がSNSで続出している。「ハラスメントハラスメント」という表現すら出るほどに、現代ではハラスメント案件が増えているが、音ハラは日々の生活にリアルに直結するもので、切実に悩んでいる人が多いのが現状だ。

「音ハラ」で悩む現代人が増加? 

会社での音ハラで代表的なのはキーボードのタイピング音がうるさいというもの。ほかにも力強すぎるマウスのクリック音などもあるが、この程度は序の口。デスクまわりの引き出しを開く音やお菓子を食べる音など、その種類は多岐にわたる。音ハラが声高に言われるがゆえに対策を立てる人も増えてきている。

いまは、静音キーボードや静音マウスも販売されているため、会社側がこうしたアイテムを社員に支給することで、音ハラ対策をしているところもある。

だが難しいのは、注意する側が神経質でめんどくさい人だと思われるような、“微妙な音”だ。音自体は小さいのだが、気になり始めると自分の仕事に集中できず、小さい音ゆえに本人にも注意がしづらい。これこそが、職場で大きなストレスになっていると考えられる。

都内のWEB広告会社で働く20代の女性は、男性の同僚のとあるクセが気になり、本人にも注意したことがあると明かす。

「私の隣に座っている男性が、自分の髪の毛を頻繁に触るクセがありました。それだけなら見なければすむことですが、その人は髪の毛を撫でまわし、さらにジョリジョリとこすっているのです。静かなオフィスの中で、私にだけ聞こえるくらいの音で、横から『ジョリジョリジョリジョリ……』と聞こえ続けるのが本当に苦痛。

ある日、さすがに耐えられなくなって、『そのコスるの、音が気になるのでやめってもらっていいですか?』と声をかけました。

その男性は、あっ! という表情をして、無意識にやっていたことをそこで初めて自覚し、すみませんと謝ってくれました。

しかしその後も、無意識がゆえ、気がづくと『ジョリジョリジョリジョリ……』と音が。向こうが自分で気づいてやめてくれるときもあれば、私が注意するまでやめないときもあり、本当にストレスです」(20代・事務職女性)

おじさんの豪快すぎる生活音「誰か注意してくれ」 

社外での騒音なら、ノイズキャンセリングイヤホンをするなりして対処できるが、いつ誰が話しかけてくるかわからない職場では、イヤホンをして耳をふさぐことはできない。音による悩みが多いのは、そんなところも大きく関係しているだろう。

そしてネット上を見ると、“職場のおじさん”の生活音が大きくて気になるとの指摘が多い。

〈今の職場の唯一気になるのは向かいにいるおじさんの生活音が大きいこと。くしゃみにしろ食うにしろいちいち音デカすぎるねん〉

〈同じ職場のおじさん、ちょいちょい舌打ち、テーブルを指先で叩いて奏でる謎メロディ、水飲むたびに『あ゛ぁ゛』と出す声、独り言。おじさんの生活音って何でうるさいんだろ〉

〈床を貧乏ゆすりして革靴のカカトでずっと「太鼓」のように叩くおじさんが居て、気が狂いそうな私は、真夜中に床下に色々な物を詰めて「ミュート」してやりました〉

〈隣の席のガサツおじさんの飴カラコロくちゃくちゃ音が生理的に無理。しかもなくなったらまた次食べ始める。音ハラ。嫁か誰か注意してくれ〉

そのほかにも、ドアを閉める力が強すぎてガターンと音がする、椅子にドスーンと勢いよく座りすぎている、ドスドスとシンプルに歩く音が大きすぎるなどさまざまな声があがっている。

30代の営業職の女性は、“大きな音”系ではないが、面倒見のいい男性上司のとあるクセが気になって、鳥肌が立つほど気色が悪かったと話す。

「私が会社に入ってからしばらく、40代ベテラン社員の草野さん(仮名)が指導をしてくれることになりました。

草野さんは私だけでなく、たくさんの新人を指導していますが、優しくて行動もスマートで、新人からはかなり慕われていたと思います。

しかし草野さんには欠点があって。食べ物をくちゃくちゃと食べるいわゆる“クチャラー”だったのです。まあしかし、これだけならその手のタイプはたくさんいるでしょう。ですが、草野さんのクチャラー度合いはすさまじく、普通に話していてもなぜか“くちゃくちゃ”と聞こえるほど。裏では『くちゃのさん』なんてあだ名がつくほどでした」

“くちゃのさん”とのリモート打ち合わせで悲劇 

「ある日、リモートで草野さんと打ち合わせをすることがあったのですが、イヤホンをしたことで耳元にダイレクトに響く草野さんの“くちゃ声”が申し訳ないけど本当に気持ち悪くて、鳥肌がぞわっと立ちました。しかし本人に指摘することなど当然できず、草野さんとのリモート打ち合わせは本当に地獄です」(30代・営業職女性) 

ただでさえ人のよくないクセを注意するのはかなりハードルが高いというのに、上司とあれば、注意をするのは不可能と言い切ってもいいだろう。たとえ小さな音だったとしても、毎日横で鳴り続ければ精神を病むほどに気になってしまうこともある。音ハラは、音を出している側が気を付けるしかない。

もし自分が不要な音を出していると気づいた際には、どんな些細なことであったとしても、すぐにやめるほうがよさそうだ。

取材・文/集英社オンライン編集部

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