アーノルド・シュワルツェネッガーが高齢者こそボディビルを始めるべきという理由「もう年なんだから、やらないわけにはいかないだろう!」
アーノルド・シュワルツェネッガーが高齢者こそボディビルを始めるべきという理由「もう年なんだから、やらないわけにはいかないだろう!」

2003年から2011年まで第38代カリフォルニア州知事を務めた、“シュワちゃん”ことアーノルド・シュワルツェネッガー。彼はミスター・オリンピア・コンテストで7回優勝するなど、ボディビルダーとしても輝かしい実績を持つ。

そんなシュワルツネッガーの筋トレ術を解説したベストセラー書籍『王者の筋トレ』では、トレーニングプログラムや各エクササイズだけでなく、ボディビル大会での戦略、食事法が、自らの言葉で綴られている。

 

本稿では同著より、年齢とトレーニングの関連性について、一部抜粋・再構成してお届けする。

子どものウエイトトレーニングには要注意!

幼い子どもがウエイトを持ち上げているのを見るのは好きではない。子どもの体はウエイトトレーニングの負荷に耐えられるほど十分に発達しておらず、骨もまだやわらかい。

私は、親の意向で幼くしてウエイトトレーニングを始めた5~9歳の男の子たちが、ちびっこボディビルダーとしてテレビで取り上げられているのを見たことがある。体重60ポンド(27.2kg)ほどの幼い女の子がハックスクワットマシンで400ポンド(181.4kg)を「持ち上げた」(ほんの少し動かしただけだが)のも見た。

このようなことをしてケガをした子どもがいなければいいのだが。この種の体に負担をかける運動は、体が未完成で脆弱な子どもには適切ではないと思う。

13歳未満の子どもには、体のあらゆる可能性を発達させるために、トレーニングとして多様な運動をさせるべきだと思う。

ウエイトトレーニングではなく、自重を使ったエクササイズに重点を置くべきだ(たとえば、ベンチプレスの代わりに腕立て伏せ、スクワットの代わりに膝の屈伸など)。

体が成熟し始めたら、ウエイトトレーニングを始めてもいい。私は15歳で始めたが、だからといって、15、16歳の誰もが最初から自分が競技ボディビルダーを目指したいかどうかを決めなければならないわけではない。

さまざまなエクササイズを学び、トレーニング体験がどういうものかを理解し始めるだけでも数カ月、もしかしたら1年かかるかもしれない。

この段階ではまだ軽いウエイトを使い、レップ数を比較的多くすること。

本格的なトレーニングを始める時期が早ければ早いほど、ボディビルダーとして成功する可能性が高くなる。

歳をとってからボディビルを始めるメリットとは?

「ボディビルを始めるには年をとりすぎているでしょうか?」とよく聞かれる。「もう年なんだから、やらないわけにはいかないだろう!」というのが私の答えだ。

年をとるにつれて、筋肉はどんどん萎縮していく。それに対する理想的な治療法がボディビルなのだ。

しかし競技となると、始めるのがあまりに遅いと明らかに不利だ。

確かに、かなり遅くに始めてトップボディビルダーになった人もいる。たとえば、私の現役時代に活躍したポージングの名手、エド・コーニーがそうだ。

しかし一般的に、ミスターユニバースやプロチャンピオンになれる可能性は、スタートが遅ければ遅いほど少なくなる。

とはいえ、ボディビルで始めるのが遅いというのは、他のスポーツとは少し事情が違う。多くのチャンピオンは20代前半になってからトレーニングを始め、その後10年以内にアマやプロのチャンピオンになっている。

しかし、遅咲きで成功した選手の多くは、すでに別のスポーツで優れたアスリートであり、単にボディビルに転向してきただけだ。

彼らの体は、長年にわたるスポーツトレーニングによってあらかじめ鍛えられていたのだ。世界アマチュアチャンピオンのロニー・コールマンがその好例だ(彼は大学でアメフトをしていた)。

また、フランコ・コロンブはボクサーとしてスタートし、その後パワーリフターとなったが、ボディビルダーに転向したのは20代に入ってからである。

ボディビルは比較的遅くから始められるだけでなく、ほとんどのスポーツより高齢まで競技を続けられる(ゴルフには負けるが)。

もちろん、40代のボディビルダーは数年前なら可能だった肉体を手に入れることはできない。筋肉は劣化し、ホルモンは徐々に変化していく。また筋萎縮も生じる。

さらに、年配のボディビルダーはたいてい、ボディビルを始めたばかりの若者よりも、生活上の雑事が多い。責任(家庭、子ども、仕事など)をいろいろと抱えているので、トレーニングやダイエットに100%没頭するのは至難の業だ。

今では40代・50代以上のボディビルダーを対象としたマスターズ大会も数多く開かれるようになった。元トッププロたちもアーノルドクラシックのマスターズ部門やマスターズオリンピアでタイトルを競い合っている。

それにしても、かつてのチャンピオンの多くが、いまだにたくましい筋肉質な肉体を保っているのには驚かされる。

ボディビルは「若返りの泉」

先に述べたように、老化の主な症状のひとつに、筋肉量の減少がある。しかし、最近の研究では、必ずしも筋肉はこれまで信じられていたほど加齢とともに萎縮していくわけではないことが明らかになっている。

実際、筋肉量は、高齢者であっても適切なトレーニングによって驚くほど増加させることができる。

つまり、最近の科学的研究は、ボディビルが「若返りの泉」になりうることを示しているのだ。

もちろん、ボディビルを始めるにあたっては、年をとればとるほど注意が必要になってくる。60代や70代の人がボディビルを始める場合、「医師に相談すること」というのは単なる形式的な注意書きではない。

医師に相談し、よいトレーナーを見つけ、あらゆる予防措置をとっておくことが重要だ。

正しいテクニックを学び、ゆっくりとトレーニングに取り組むこと。年をとるとケガが治るのに時間がかかるので、問題が起きないようにできる限りの準備をしておこう。

しかし、その結果には目を見張るものがある。以前のような筋力がつき、体が若々しくなる。活力や運動能力がアップし、生活の質が向上する。自信がつき、他人に頼らずとも生活できるという自信も生まれる。

私たちが老化の必然だと考えていることの多くは、実際には、使わずに放っておいたという印にすぎないのだ。

必ずしも年をとるにつれて筋肉や骨の量が減るとは限らない。今ある量を維持することも、さらには増やすことさえできる。

文/アーノルド・シュワルツェネッガー

『王者の筋トレ』(マイナビ出版)

アーノルド・シュワルツェネッガー
アーノルド・シュワルツェネッガーが高齢者こそボディビルを始めるべきという理由「もう年なんだから、やらないわけにはいかないだろう!」
『王者の筋トレ』(マイナビ出版)
2025/2/277,997円(税込)832ページISBN: 978-4-8399-83802全米110万部突破の筋トレ解説書の金字塔、『王者の筋トレ』がついに日本初上陸!
オリンピア7回優勝を果たした”絶対王者”、アーノルド・シュワルツェネッガー。
ボディビルの歴史、筋トレ初心者~上級者のためのトレーニングプログラム、各エクササイズの解説、ボディビル大会での戦略から食事法まで、筋トレのすべてがここにある。
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