
2月28日にアクションゲーム『モンスターハンターワイルズ』が発売された。約4年ぶりのモンスターハンターシリーズのナンバリングタイトルということで、ファンが大いに盛り上がっているが、その一方で、オンラインプレイをめぐるマナー問題もS N S上では散見されている。
世界的な大ヒット! ゲーム史に残るタイトルに
発売からわずか3日間で、全世界販売本数が800万本に到達。これは開発メーカーのカプコン史上最速の記録で、日本のみならず、世界中で大ヒットをしていることがわかる。
PCゲーム配信プラットフォーム「Steam」の同時接続プレイヤー数は、発売初日に約138万人を記録して歴代5位に。国産タイトルに絞れば『ELDEN RING』を抜いて2位。1位の『Palworld / パルワールド』は約210万人で大きな差はあるものの、モンハンワイルズの定価は9900円と高額であることを考えると、かなり健闘していると言えそうだ。
モンハンワイルズの発売日から数日間は、ゲームをやるために会社を休む“モンハン休暇”なる言葉もSNSで話題になった。ゲームメディア「電ファミニコゲーマー」を運営する株式会社マレは有給取得推奨日に設定し、パルワールドを開発したポケットペアは2月28日を特別休暇にすると発表していた。
まさに社会現象という言葉がふさわしいモンハンワイルズの大ヒット。肝心のゲーム内容も、相変わらずやりこみ要素がとにかく多く、早くもプレイ時間が100時間超えをしているユーザーもすでにちらほら出始めた。
モンハンシリーズは、プレイ時間が1000時間を超えるのは珍しくなく、タレントの後藤真希は2023年9月の時点で、シリーズのプレイ時間が累計8000時間を超えていると話していた。今作でも数十日後には、1000時間超えを報告するプレイヤーたちがでてくるだろう。
そしてモンハンといえば、オンラインでのマルチプレイが醍醐味であるが、現在このオンラインプレイをめぐって、ポツポツと問題を報告する声がSNS上であがっている。それは、プレイ中の“マナー問題”だ。
ほかのオンラインゲーム同様に挨拶をするといったマナーは最低限のこととして、ユーザーの中で物議を醸しているのが“傷口破壊マナー”だ。
「モンハンでマナーとかってなんやねん」
本作では、モンスターにできた“傷口”を破壊することで、モンスターが一定時間ひるんだり、自身を強化することができる。
だが、一回のクエストごとに限られた回数しか“傷口破壊”をすることができないので、誰がするのか、どのタイミングでするのかについて議論され、やがて“傷口破壊マナー(傷口マナー)”とまで呼ばれるようになったそうだ。
そしてこれについて、賛否両論の声が上がっている。
〈傷破壊マナー見て、モンハン世界にもマナー講師いるんだなって思いました〉
〈傷口マナーとか心底どうでもいい 倒せたらなんでもいいよ〉
〈傷口破壊マナーとか何言ってるんだって思ってたけど、実際にプレイすると変なタイミングでやるやつに対してピキッとしてしまう自分がいる〉
〈最初聞いたときは「は?」って思ったけど、マルチやりはじめるとちょっとわかってしまうのが複雑〉
ゲームくらい自由に楽しみたいという人もたくさんいるだろうが、効率のいい戦い方をすることで達成感を得ることもまた、楽しみ方の一つだ。
オンライン上で見知らぬ人とチームを組み、息のあったプレイでモンスターを倒しているときの気持ちよさを味わうのもモンハンならではなので、どれくらいマナーを守るべきかどうかは、人によって基準が大きく異なるだろう。
「傷口破壊マナーに限らず、マルチプレイではある程度効率のいい戦い方を求められるのは事実です。とはいえそこを強く求める人は少数派だと思いますし、最低限、仲間に迷惑をかけなければどこでもマルチプレイは楽しめるでしょう。
特に本作では、モンハン未経験の初心者が多く参入することを想定したのか、マルチプレイをやりやすくなる仕様変更がありました。味方への攻撃(フレンドリーファイア)の緩和はその一つです。以前はハンマーなどの攻撃を仲間に当ててしまうと、その仲間が吹き飛んでしまうことがありました。
しかし今作では、そんな攻撃を受けても少し転ぶ程度の仕様に。これによって、プレイヤー間でトラブルになるリスクは随分低くなりましたね。
ただその一方で、『そういったリスクを考えながら立ち回るのもマルチプレイの醍醐味だったのに……』と残念がる声もあります」(モンハンゲーマー)
「会社の先輩相手に接待モンハンやってる」
また、今回の大ヒットを受けて、会社の人と一緒にモンハンをしている人も多いようだが、そこでは“接待モンハン”も起こっているという。これは今作の「モンハンワイルズ」に限らず、モンハンシリーズを通してずっと言われ続けてきた問題だ。
接待の内容は、上司がいい攻撃をしたらチャットで「ナイスです!」「ナイス部位破壊!」とほめる。上司が忘れ物をしたときにも大丈夫なように、多めにアイテムをもってクエストに行く。
上司がやられてしまったら、自分もわざとやられて、“相手が強いからしょうがない感”をだしてあげるなどがあるという。
ネット上でもさっそく、同僚とモンハンをしていて疲れると嘆く声が上がっている。
〈会社の人との接待モンハンがしばらく続きそうで結構萎えてる 酒飲まずにいられない〉
〈会社の先輩相手に接待モンハンやってる 気を使うので疲れる…〉
〈貴重な平日のゲーム時間で会社の人とモンハンさせられてて鬱〉
ただその一方で、会社の人とモンハンをすることで仲が深まっているという声も非常に多い。
この数年でオンラインゲームは幅広く普及し、新たなコミュニケーションツールとなっている。そのため、ゲームの中でもある程度のマナーやスマートな立ち振る舞いのようなものが求められるようになっているのかもしれない。
取材・文/集英社オンライン編集部