自分のために好きなことをしている時間が短くても長すぎてもストレスになってしまう科学的根拠とは‥脳のリラックスに必要な3つの習慣
自分のために好きなことをしている時間が短くても長すぎてもストレスになってしまう科学的根拠とは‥脳のリラックスに必要な3つの習慣

「なんとなく毎日が楽しくない」「最近、イライラすることが増えた」…そうした悩みは必ずしもあなた自身が原因とは限らず、「脳」のコンディションのせいかもしれない。36歳の医師が自身の脳手術による後遺症に立ち向かうために世界のさまざまな脳科学のエビデンスからセレクト・実践して効果があった「脳にいいこと」とは?

 

『「脳にいいこと」すべて試して1冊にまとめてみた』より一部抜粋、再構成して、本当のストレス解消法をお届けする。

科学的に裏付けられたストレス解消法とは?

買い物やドカ食い、ゲームがストレス発散に役立たないといわれても、一体どんなストレスの解消法が本当に効果があるのでしょう。

アメリカ心理学会は、効果的なストレスの解消法として、

「散歩をすること」「エクササイズをすること」「読書や音楽を楽しむこと」「家族や友達と過ごすこと」「瞑想をすること」「絵画の制作や鑑賞などクリエイティブな趣味の時間を過ごすこと」

などを挙げています。

産業医にも聞いてみました。

燃え尽き症候群やその手前の症状で、まだ本格的な治療が必要ではないと思われる人には、次のことを勧めることが多いといいます。

●太陽が出ている間に散歩をすること
●寝る前にベッドの中でストレッチをすること
●入浴をすること

これらは、日常の中でも始めやすく、また効果が高い取り組みです。セロトニンをはじめとする癒やしのホルモンや、オキシトシンなどの気分をよくするホルモンを活性化させます。

すると、脳のストレス反応をシャットダウンし、体内のストレスホルモンを減らして、治癒反応やリラクゼーション反応を起こします。

逆に、効果が低いストレス発散方法としては、先ほどお話ししたドーパミンを分泌して興奮をもたらすお酒、ギャンブル、タバコ、ドカ食い、テレビゲームなどが挙げられます。

効果があるストレス解消法というのは、ドーパミンを放出して報酬を期待させるものではないのです。

セロトニンやオキシトシンに働きかけるストレス解消法をした場合には、ドーパミンが放出されたときのような興奮を覚えません。

そのため、やっている本人はすぐにはその効果を実感しないことが多いかもしれません。しかし、続けていくことでそれによる変化に気がつきます。

一日2時間超5時間未満の「自分時間」でストレスを回避

幸福度を考えるうえで、切っても切り離せないのが「自分時間」と呼ばれるものではないでしょうか。

その自分時間が少ないと、自分のために時間が取れないことにイライラしてしまいます。

とはいえ、まとまった休みを取ると、最初は時間がたくさんありワクワクするのですが、休みの最後の方になると少し退屈してきます。

みなさんも、きっと経験があるのではないでしょうか。

じつは、科学的に自分時間の最適な長さというのはすでに証明されています。

具体的には、一日2時間以内の自分時間はストレスをもたらします。
そして、自分時間が一日5時間以上あると、自分の人生に対する目的意識がもちにくくなり、幸福度を下げるといわれています。

自分時間とは、「自分がコントロールして、自分が好きなことをやっている時間」と認識することが大切です。

この自分時間として最適な長さを考えて、生活に組み込んで、ストレスをマネージメントしていくことが大切です。

時間割を作れば自主的な時間に変化する

私が長期入院していたとき、治療は合計でも一日2時間ほどしかなく、後は、病院にいるだけ、でした。

最初の1週間は、久しぶりに「何もしなくてもいい時間」にワクワクし、溜まったドラマを見たりしていました。しかし、2週目になると飽きも生じ、「病院にいさせられている時間」に変化していきました。

そんなときに、病棟の看護師に、「しばらく帰れないのだし、時間割を作ってフランス語でも勉強すれば?」と言われました。

セロトニンが不足していた私。言われたときには、「こっちは好きで病院にいるわけじゃないんだよ」とイライラしました。

ですが、言われてみればその通りです。

フランス語の勉強でなくとも、「時間割を作る」というのは一理あります。

それにより、「病院にいさせられている時間」が「自主的に何かをしている時間」に変化していくのです。

退院して、日常生活に戻ってからは、一日2、3時間、自分時間が取れるように生活しています。

そして、なるべくならセロトニンやオキシトシンの分泌を促すような行動をしています。ジムに行ったり、散歩に行ったり、友達と会ったり……などです。

さらに、8時間の睡眠時間、最低限の家事などにかかる時間、家族との時間。
ここから、仕事の時間を引くと、じつはそんなにダラダラしている時間は残らないのです。

文/平井麻依子 写真/Shutterstock

「脳にいいこと」すべて試して1冊にまとめてみた

平井麻依子
自分のために好きなことをしている時間が短くても長すぎてもストレスになってしまう科学的根拠とは‥脳のリラックスに必要な3つの習慣
「脳にいいこと」すべて試して1冊にまとめてみた
2025/1/301,650円(税込)224ページISBN: 978-4763141965

世界中の脳科学のエビデンスを自分の脳で実験。
医師が実践する脳のコンディションを整える方法。


「昔に比べ、仕事の処理能力が落ちた」
「なんとなく、毎日楽しくない」
「最近、イライラすることが増えた」

その悩みは、仕事のやり方に問題があるせいでも、
あなたが落ち込んでいるせいでも、
あなたを怒らせる人のせいでも、ありません。
ただ、「脳のコンディションが悪い」だけ。



この本では脳のコンディションを整えて
仕事のパフォーマンスや
日々の幸福度を上げる方法をお伝えします。

その方法はすべて医師である著者が
自分の脳で実験したものです。
きっかけは、自身の脳手術による後遺症に立ち向かうためでした。
医学知識、経験、ネットワークを総動員して
「脳のコンディションを整える」という100個ほどのエビデンスを集め
自分の脳を実験台にスタート。


◉科学的に裏付けられた「ストレス解消法」
◉脳を若返らせるのに効果的な「運動法」
◉やる気をもたらす“自分が主人公と思って過ごす”「マインド術」
◉幸せホルモンのオキシトシンを効果的に出す「人づき合いの方法」

など、本当に効果があった方法をこの1冊にまとめ上げました。
実践した結果、

◉判断がいままでよりも早くなった
◉週の半ばころには体が疲れてしまう……がなくなった
◉片頭痛が出なくなった
◉苦戦していた語学学習も新しい言葉がすんなりと入ってきた


という、“バージョンアップした自分”になって
見事、仕事復帰をかなえたのです。

特別付録として巻末に
脳のアンチエイジングや幸せホルモンを増やす方法
「2週間で脳のコンディションを改善する!」アクションシート付き。 

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