
タレント・モデルに加え、コスメやアパレルのプロデュースを手掛けるなどマルチに活躍する藤田ニコル。2月20日の誕生日で27歳になったばかりの彼女だが、2009年からキャリアをスタートしており、なんと芸能活動は15周年。
「私、モデルやってるのにブスだったんだ…」
「エゴサーチしたら、『藤田ニコル ブス』がトレンド入りしていたこともあった」――。
これは、3月12日に発売される、藤田ニコル初の美容本『私が垢抜けた82の方法』の冒頭に書かれた一文だ。
――10代で、自分への中傷を見るのはつらかったと思いますが、どのように乗り越えましたか?
藤田ニコル(以下、同) もうやばかったですよ。私、エゴサーチは大好きなんで、昔から日常的にしてたんです。でも、活動が雑誌のモデルだけだとそんなに出てこないんですよ。
それが、10年前くらいに初めてテレビに出ると、自分に対して興味がない人の目にも止まるので、良くも悪くもたくさんの声があって。その時はびっくりしましたね。
周りにいるみんなに可愛いって言われて育ってきたし、自分のことは可愛いと思って生きてきたから、テレビに出て、『私、モデルやってるのにブスだったんだ…』みたいな。
それがすごい衝撃的で。でも、いっぱい誹謗中傷されると麻痺するんだなって思いました。
――麻痺したということは、あまり傷つきはしなかった?
もちろん傷つきました。
でも、自分の見た目をもう1回見つめ直したら、たしかに『そんなに可愛くないかもしれない』と思えて。
メイクをよく見たら、たしかに雑誌(モデル)用のメイクだった。テレビ用のメイクなんて考えたことなかったんです。
初めてテレビに出た時はほんと失敗でしたね。オンエアを見てびっくりしました。チーク濃い、リップも濃い、前髪は重いみたいな(笑)。
それまで加工アプリでの自分しか見てなくて、ちゃんと鏡を見て意識したら、どんどんメイクの省いていい部分がわかりました。引き算を勉強しましたね。
そんな風に自分磨きといいますか、いっぱいメイクの勉強をし始めました。
みんなの可愛い基準が何かはわからないけど、自分といっぱい向き合って、ちょっとでも可愛くなれるように頑張ろうって思えたんです。
「可愛い」はマインド面も大事!
試行錯誤の上、身についたメイク術。だが、その根底にあるのは、「メイクは自分を好きになるための努力」という考え方だ。
藤田は「たくさん自分と向き合って、もがきながら『自分は可愛い』ってまた思えるようになるまでの物語」と著書で綴っている。
――「私は可愛い」と思うためには、自分なりの基準だけではなく、周りからの評価も大きく影響しますよね。
私が可愛いと思っていても、みんなはそう思わないことはたくさんあると思います。でも、みんなの可愛いに寄せすぎると、じゃあ個性って何?ってなっちゃう。
絶妙な加減ではあるんですけど、私は人気者になりたかったから、周りの評価も気にしながら、自分の可愛いを模索してました。
――今、藤田さんが考える「可愛い」とはどんなものですか?
見た目だけじゃないですよね。今はマインド面とかも大事なのかなって思う。
私の可愛いところって、見た目だけじゃないと思うんです。
正直に嘘をつかないところも、みんなから好きって言ってもらえる。だから、テレビや雑誌、いろんなところで嘘なく思った気持ちを言おうと心がけています。
「人気者になりたかったから、周りの評価も気にしていた」と語る藤田。書籍では「愛されようとしない」という言葉がある。
――芸能人は人気商売だと思うのですが、「愛されようとしない」と考えているのは意外でした。なぜそう思うのですか?
たしかに『愛されようとしない』だとそうですよね。でも、『愛されようとできない』というのを、なんかかっこよく言ってるだけなんです(笑)。
――愛されようとできない?
愛想がよかったり、愛されるように振る舞った生き方が私にはできない。
本当にいいなと思う時しか、いいって言えないし、嫌な時は嫌だって言っちゃう。
だから、相手を気遣って発言ができる人に憧れてた時もあります。
でも、それは私らしくないんですよ。自分が違和感のある生き方はしたくない、それは自分に嘘をつくことになっちゃうから。
「今のSNSが大っ嫌い」
インスタグラムの616万人を筆頭にSNSの総フォロワー数は1000万人超え。同世代の女性からも支持を集める藤田だが、SNSについてこう語る。
今のSNSが大っ嫌いなので、最近はX(のアカウントを)消してやろうかな、いつ辞めようかなって思ってます(笑)。
――Xだけでも270万人もフォロワーがいるのに?
おすすめを見ると『誰かと誰かを比べてなんちゃら』という内容だったり、デブとかブスとかいっぱい書かれてたりする…。それこそ自己肯定感が下がるような投稿がいっぱい。
私はちょっとでもみんなが自分のことも好きになってほしいし、本当に頑張ってる人には『頑張ってるね』とか、可愛い人には『可愛いね』って、周りの人を褒めてほしいと思う。
人のことをけなしたりする時代はもう終わろうよって思ってるんです。
藤田は「今の自分があるのは母の影響が大きい」と語り、著書のなかでもさまざまなパートで、母親との関係を言葉にしている。後編では、そんな藤田にとって大切な存在である、母親について話を聞いていく。
取材・文/羽田健治