
3月20日より前編が全国公開される映画『女神降臨』の主演・Kōki,。モデル、俳優と経験を積みつつ、芸能界で着実にキャリアを築いている。
私のメイクの先生は姉です!
——映画『女神降臨』は韓国のWEBマンガの実写化作品ですが、この作品の出演依頼があったときのこと、出演の決め手について教えてください。
Kōki,(以下、同) 私は高校生のときから、原作の『女神降臨』が大好きだったんです。韓国のドラマも見ていましたし、本当に大ファンだったので、出演依頼のお話をいただいたときは、とても嬉しかったです。
でも自分が原作のファンだからこそ「自分に務まるだろうか……」という不安もあって悩みましたが、こんなチャンス滅多にないので、思い切って「よろしくお願いします」とご返事しました。
——『女神降臨』の原作の魅力は? どういうところに惹かれたのでしょうか?
ヒロインの谷川麗奈は共感できて、かつ、読者に影響も与えるキャラクターなんです。私自身、原作のマンガを読みながら、麗奈メイクを真似したりしていました。
そういう女子が大好きな美容やコスメのエピソードがありつつ、神田俊(渡邊圭祐)と五十嵐悠(綱啓永)の男子ふたりとのキュンキュンな三角関係や、麗奈と仲よくなる女子ふたりとの友情など、麗奈と同世代はもちろん、いろいろな年代の方が共感できるリアルな青春エピソードが素敵な物語だと思いました。
——内向的な麗奈は美のカリスマのセレーナ(鈴木えみ)がきっかけでメイクに目覚め、人にメイクをしてあげるほどその腕を上げていきますが、メイクテクを披露するシーンは、どのような準備をしましたか?
私は姉にメイクを教えてもらったのですが、姉からのアドバイスなどを思い出しながらメイクシーンに取り組みました。
姉は「まず一度は自分が好きなようにメイクをしてみるといいよ」と言っていたので、お手本通りのメイクよりも、ルールに縛られず、自分が好きなメイクをしてみることが大事なのかなと思いました。
——Kōki,さんご自身のメイクのポイントは?
私は目元にポイントを置いています。目を強調したいと思っているので、少し強めにアイラインを入れてみたりして。アイメイクのオシャレを楽しんでいます。
スッピン姿のメイクをした自分の顔を見てびっくり!
——映画『女神降臨』では、地味目なスッピン麗奈とばっちりメイクでキラキラと輝きを放つ麗奈が描かれていますが、スッピン姿のメイクのリアリティがすごかったです。家でメイクを落としてスッピンになると、途端にダラダラした感じになるのも、フツーの女の子あるあるでよかったです。
スッピンで過ごしているときと、きれいにメイクをして出かけているときとのギャップが大切だと思いました。誰もいない部屋で脱力しているとき、どういう顔をするのかなと考えて、口は半開きでぼーっとして、目に力が入らない感じをイメージしながら演じました。
監督から「家でだらけている麗奈を振り切ってやった方がいいよ」とアドバイスをいただいたので、思い切りダラダラしました(笑)、あまり人に見せられない顔ですね(笑)。
あとポイントはメガネです。麗奈はいじめられていた過去があるので、自分の顔を隠すようにうつむき加減で、人と目を合わせず、下がったメガネをあげてみたり、内股気味で歩いたり、工夫して演じました。
コンプレックスを「好き」に変えてくれた人
——麗奈の「なりたい自分になることを諦めない」というのは物語のテーマとして軸になっていますが、Kōki,さんは、麗奈に共感するところはありましたか?
「なりたい自分になることを諦めない」ってすごく大切なことだと思うんです。
この映画は前編と後編の二部作なのですが、そのテーマは一貫していますし、通して観ていただければ、麗奈の意思がすごく強いメッセージとして伝わると思います。
私自身も心に響きましたし、この言葉はずっと忘れないでいようと思いました。
——地味で社交性のない麗奈はメイクで人生を一変させますが、Kōki,さんはコンプレックスや悩みから救われた経験はありますか?
私は小さい頃、体のホクロがコンプレックスだったんです。でも、ヘアメイクさんが「首の後ろのホクロかわいいね」と言ってくださって。
自分は気にしていたけれど、人から見るとかわいいんだと知ったとき、これも私の個性なのだと思いました。今はホクロが大好きなチャームポイントです。
——何気ない言葉に救われることはありますよね。
あと、私を救ってくれたのは親友です。デビューしたばかりの頃、海外での仕事が多く、学校を休みがちで悩んでいたんです。でも彼女が授業の内容を全部まとめて送ってくれて本当に助かりました。
その子は今、海外にいるのですが、私が仕事で海外撮影があるときは会いにきてくれますし、よく長電話もしています。親友は私にとって心の支え。いつも助けてくれて感謝です。
両親の活躍する姿が芸能界への扉を開いてくれた
——Kōki,さんのキャリアについてお伺いします。この世界に入るきっかけについて教えてください。
やはり小さな頃から父と母が活躍する背中を見てきたことが大きいです。
お仕事しているときの両親はとても輝いていましたし、その活躍が多くの方たちに勇気を与えたり、幸せを運んだりしていて、人の心を動かすなんてすごいな、素敵だなと思ったので。エンタテインメントの世界で生きていこうと思いました。
——モデルとしてデビューしたのは、なぜでしょうか?
俳優への憧れはすごく強かったのですが、同時に私は90年代に活躍していたモデルさんが好きで、そのかっこよさ、凛とした佇まいに憧れていたんです。
そんなモデルさんになりたい、挑戦したい気持ちもありまして、ファッションモデルの世界からスタートさせていただきました。
——今はモデルをしながら俳優としてもキャリアを積み重ねていらっしゃいます。日本映画だけでなく、アイスランド映画『TOUCH/タッチ』(2024)では、『女神降臨』とはまったく異なる、ある謎を抱えたヒロイン役に挑戦しています。作品選びはKōki,さんご自身なのでしょうか?
そうですね。出演する作品については、お仕事関係の方にご相談して、最終的には自分で決めています。
『TOUCH/タッチ』はオーディションを経ていただいた役なのですが、英語を勉強してきたのがとても役立ちました。今後も積極的に日本、海外問わずに演技の仕事をしていきたいです。
——演じることの醍醐味というか、楽しさ、喜びは?
お芝居の楽しさはたくさんあるのですが、まずは演じるキャラクターがどういう人生を歩んできたのかを考えたり、調べたり、監督と役や演技についてディスカッションしたり、撮影前の準備段階からとてもやりがいがあります。
撮影では共演者の方たちとお芝居をすることで、ケミストリーを感じたりするのも楽しいです。私は撮影現場が大好きなんです。
スタッフ、キャストみんなで一致団結して、意見交換をしながら、作品をコツコツ作り上げていくプロセスは大変なこともたくさんありますが、とても楽しい。
——ちなみにプライベートで夢中になっていることはありますか?
愛犬のルンルンですね。もう家ではずっと遊んでいて、イチャイチャしています。あまりにベタベタ可愛がりすぎるので、家族全員が私にドン引きしています(笑)。
撮影現場で話題になった「俊と悠どっちが好き?」
——完成した映画を見た感想を教えてください。
正直、あまり客観的に観られなかったんです。「あのシーンはどうなっただろう」など気になることもあり、映画が始まる前から緊張してドキドキしっぱなしでした。
でも自分が出ていないシーン、例えば俊と悠のシーンなどは新鮮で、観客として楽しむことができました。
——恋愛と友情がミックスされたような3人の関係はとてもよかったですね。Kōki,さんだったら、俊と悠、どちらを選びますか?
ふたりとも魅力的なので悩ましいですね(笑)。
実は撮影のときも女子の間で「俊と悠、どっち派?」と話題になったんです。私は、まっすぐで純粋な愛の持ち主の悠のほうに惹かれるかな(笑)。
でも俊と悠は、前編と後編では印象がガラリと変わります。どう変化していくのかも楽しみにしていただきたいです。
取材・文/斎藤香 撮影/恵原祐二