飲む前、飲みながら、飲んだあとに‥‥二日酔いを避けるためにできる対策は10もあった!
飲む前、飲みながら、飲んだあとに‥‥二日酔いを避けるためにできる対策は10もあった!
お酒を飲む人なら誰もが一度は苦しんだことがあるであろう、次の日の「二日酔い」。頭痛や胃もたれ、吐き気といった不調は、注意力や集中力、判断力を低下させし、仕事や日常生活に支障を来すことも。
お酒を飲んだ楽しい時間を後悔しないために、二日酔いを抑えるために役立つ対策を、日本ソムリエ協会の秋津壽男先生に聞いた。

本記事は大正健康ナビから記事提供を受け、一部を再構成しお届けします。

二日酔いとは? お酒を飲む前・中・後の二日酔い対策10選

新人歓迎会やお花見など、春の宴会シーズン到来。宴会といえばお酒だが、調子にのって飲み過ぎると翌日に待っているのが苦しい「二日酔い」。
頭痛、吐き気、倦怠感‥‥人によって症状はさまざまだが、生活の質を下げるはこのうえないもの。

「どうして昨日、2軒目で終わりにできなかったんだろう…」
「焼酎と日本酒をチャンポンしたのがよくなかったのかな…」

そんな後悔をしないために、まずは飲む前、できれば飲みながら、そしてもちろん飲んだ後にもできる対策を紹介しましょう。

「酒は飲んでも飲まれるな」をお忘れなく!

飲む前、飲みながら、飲んだあとに‥‥二日酔いを避けるためにできる対策は10もあった!

「二日酔い」の症状は時間と共に徐々に改善していきますが、時には丸1日以上つらい状態が続くこともあります。二日酔いになるかどうかには体質やその日の体調も影響しますが、大きな原因はアルコールの量、つまりお酒の飲み過ぎです。

「不純物が多いお酒は二日酔いになる」というのは粗悪なお酒が流通していた昔の話で、お酒の種類は関係ありません。

アルコールをたくさん摂取すると、頭痛や吐き気などの原因となるアセトアルデヒドが大量に発生し、肝臓での処理が追い付かなくなって二日酔いを引き起こします。

飲む前、飲みながら、飲んだあとに‥‥二日酔いを避けるためにできる対策は10もあった!

肝臓のアルコール処理能力は人それぞれですが、年齢を重ねると肝臓の機能も衰えるため、二日酔いになりやすくなります。

頭痛と胃もたれの原因は違う

二日酔いの症状は様々で、頭痛、胃もたれ、吐き気、胸焼け、眠気、口の渇きなどが多く、その他にも光や音に対する過敏症、血圧上昇が起こることがあります。

実は、頭痛と、胃もたれや吐き気は原因が異なります。頭痛はアルコールの利尿作用により体が脱水状態になって生じ、胃もたれや吐き気はアルコールによって胃などの粘膜がダメージを受けることで起こります。

症状は自然と解消されていきますが、時には24時間以上続いてしまう場合も。二日酔いに苦しまないためにも、飲む前、飲んでいる間、飲んだ後のそれぞれのシーンで適切な対策をとるようにしましょう。

二日酔いを抑えるために「飲む前にできること3選」

飲む前、飲みながら、飲んだあとに‥‥二日酔いを避けるためにできる対策は10もあった!

① 胃に食べ物や飲み物を入れておく

空腹の状態のままお酒を飲むと、アルコールが胃や腸で急速に吸収され、血中のアルコール濃度が急上昇します。食べ物でも飲み物でもよいので何かしら口にしておくと、お腹の中でアルコールが薄まり、吸収も穏やかになって、悪酔いや二日酔いを防ぐことができます。飲む予定がある日は昼食をしっかり摂ったり、飲む2~3時間前に小腹を満たしておいたりするとよいでしょう。水をコップ1杯飲んでおくだけでも有効です。

② 体調を整える

アルコールを代謝する肝臓の力は、体力や免疫力と同じで、寝不足や激しい運動によって低下してしまいます。飲む時は体調をできるだけ整えておくようにしましょう。

③ ルールや環境を整える

一人で家飲みなどをしていると、「何となく」「余っているから」などと理由を付けて、つい飲み過ぎてしまうことがあります。お酒の量や飲む時間をあらかじめ決めておく、お酒をビンごとテーブルに出さない、ビールを余計に冷やしておかないなど、飲む時のルールや環境を整えておくと飲み過ぎの抑制になります。ビール党の人は「もう少し飲みたい」という時にちょうどいい、少量サイズの缶を用意しておくのもおすすめです。「お酒は食事と一緒に」と決めておくと、だらだらと飲み続けるのも防げるでしょう。

二日酔いを抑えるために「飲みながらできること3選」

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① おしゃべりとチェイサーで飲む量を抑える

黙って飲むより楽しくおしゃべりをしながら飲むと、ペースやお酒の量が抑えられ、しかも代謝が上がるのでアルコールの分解も速くなります。また、チェイサーを用意しておくと、胃の中でアルコールが薄められるだけでなく、お酒を飲むペースも緩やかになります。

② おつまみでタンパク質、ビタミンB群を摂る

タンパク質は、肝臓やアルコールの分解酵素の働きを助けます。おつまみには、タンパク質が多く低カロリーの枝豆やチーズなどを選ぶとよいでしょう。また、豚肉や生ハム、ブリ、ウナギなどに豊富に含まれるビタミンB群は、アルコールの代謝を助けます。リコピンやクエン酸、グルタチオン、ビタミンCなど、アルコールの代謝を助ける様々な栄養素が含まれるトマトもおすすめです。

③ 時間を区切って遅くまで飲み続けない

遅い時間までお酒を飲んでいると、朝になってもアルコールの分解が済んでいない状態に。二日酔いというより酔っぱらったままということにもなりかねません。

二日酔いを抑えるために「飲んだ後にできること4選」

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① 不足している栄養を補う

お酒を飲む時には体調を整えておくことが必要なように、飲んだ後も体調を整える行動が二日酔いには有効です。飲み会では栄養バランスが偏りがちなので、締めはラーメン一択ではなく、おつまみで不足している栄養を意識して補うようにしましょう。

② 水分を摂る

翌日に脱水状態で頭痛が起こるのを避けるため、寝る前からアルコール以外の水分を十分に摂るようにしましょう。水はもちろん、水分を効率的に補給できるスポーツドリンクや経口補水液、ビタミンなどを補えるオレンジジュースなどもおすすめです。

③ 入浴は控える

脱水状態を避けるために、できるだけ入浴は避けましょう。入浴する場合はシャワーで済ませ、お湯に浸かるならぬるめの温度設定で時間は短めに。サウナでさっぱり……という人もいますが、決しておすすめできません。

④ 吐きたくなったら我慢をせずに吐く

吐くことによって胃の内容物が排出されるため、不快感は多少軽減できます。ただし無理に吐くと胃や食道にダメージを与え、出血を起こす「マロリーワイス症候群(※)」になることも。吐き気が軽い時は我慢しましょう。

※マロリーワイス症候群…激しい嘔吐を繰り返すことで腹腔内圧が上昇し、食道と胃の接合部付近の粘膜が破れて出血する疾患。

二日酔いに特効薬はない

二日酔いは、「飲み過ぎるな」という戒めのようなものです。残念ながら二日酔いにすぐに効く薬や即効性のある治し方はありません。以下のような対処で、症状が治まるのを待ちましょう。

・十分な水分を摂る。
・音や光などの刺激の少ない場所で、締め付けの少ない服装で安静にして過ごす。
・市販の胃薬、鎮痛剤、制吐剤などの薬で症状を軽減する。
・基本的に医療機関を受診する必要はありませんが、症状がひどい場合、いつまでも治まらない場合は内科や胃腸科に相談しましょう。

二日酔いの症状は、緊張や興奮で抑制されることもあります。二日酔いにならないことが大前提ですが、仕事などでどうしても急いで対処したい場合に備えて、「顔をたたいて気合を入れる」など、自分なりのルーティンを用意しておくのも一案です。

二日酔いの常識、ホント?ウソ?

飲む前、飲みながら、飲んだあとに‥‥二日酔いを避けるためにできる対策は10もあった!

迎え酒で二日酔いが治る=ウソ

二日酔いの不快感をお酒の力で麻痺させているだけであり、迎え酒で二日酔いはかえって悪化します。

ちゃんぽんは二日酔いのもと=ウソ

悪酔いや二日酔いはアルコールの量と吸収のスピードによるため、お酒の種類の多さは関係ありません。ただし、ちゃんぽんをするとどれだけ飲んだのか分からなくなりやすいため、飲み過ぎにつながることも。その結果二日酔いになることはあります。

貝のみそ汁は二日酔いに有効=ホント

シジミに含まれる「オルニチン」はアセトアルデヒドの分解に有効です。また、アサリやハマグリ、カキに含まれる「タウリン」も肝臓の解毒作用を助けます。アルコールの利尿作用で塩分が排出されることと、飲酒によってダメージを受けた胃腸を助けることからも、水分と塩分が摂れて温かいみそ汁は有効といえるでしょう。

ウコンは二日酔いに効く=ホント

ウコンに含まれる「クルクミン」には肝機能を高めたりアセトアルデヒドが体に残りにくくしたりする効果が期待されます。ただし、摂取によって肝機能障害が起こることもあるため、脂肪肝などのトラブルがある人は避けたほうがよいでしょう。

飲んだ翌日の朝は熱いシャワーでさっぱりするとよい=ウソ

眠気覚ましにはなりますが、熱過ぎると体の負担になってしまうので温度は控えめにしましょう。

お酒に対する強さは鍛えられる=ウソ

人には、アルコールを分解する酵素「ADH1B」とアセトアルデヒドを分解する酵素「ALDH2」のどちらももっていない人、片方しかもっていない人、両方共もっている人がいます。全くもっていない人はどんなに飲んでもお酒に強くなることはありません。

片方だけもっている人は飲み続けているうちに強くなる可能性があり、両方もっている人は基本的にお酒に強い体質です。とはいえ、お酒に強い体質の人も、肝臓の状態によっては注意が必要です。健康診断でγ-GTPの数値が基準値を超えていたら、まず2週間お酒を飲まずに過ごしてみましょう。その結果数値が元に戻らないようなら、お酒をやめることをおすすめします。

監修/秋津壽男(日本ソムリエ協会名誉ソムリエ)

本記事は、人には言いづらい悩みの原因、症状、改善や予防法など健康情報が豊富な大正健康ナビの記事を再編集し、お届けしています。
大正健康ナビ https://www.taisho-kenko.com/

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