
4月13日に開幕を迎える大阪・関西万博。開幕を間近に控えてなお、新たな課題が次から次へと出てきている。
「働くスタッフのこと考えてないですね」
大阪府・吉村洋文知事と大阪市・横山英幸市長は4月8日に会見を開き、万博に関する質疑応答を行なった。その中でまず、入場時の混雑緩和をする手立てに関する質問が飛んだ。
今回の万博では4月4~6日にかけてテストランをした結果、入場時の混雑に関する意見が一番多く寄せられていた。特にQRコードの用意や手荷物検査に時間がかかってしまうようで、中には入場するだけで1時間以上も待つ人が出ていたという。
この対策として、吉村知事は入場時間を早める「アーリーゲートオープン」の導入を運営側に求めた。今回の万博では“並ばない万博”を目指していることもあり、入場開始時間は9時と設定されているが、それにとらわれず柔軟な対応をする現場の判断が必要だとしている。
入場時の混雑を緩和するために、入場時間を早める方法に関しては東京ディズニーランドなどでも採用されている。だがこれを万博でも採用するのは現実的ではないと、現場から声があがっている。
「万博の会場である夢洲は非常にアクセスが悪い。入場時間が9時に設定されているのであればその1時間、あるいはそれ以上前から現場のスタッフが準備を始める必要があります。
ただでさえ、人によっては元の時間でも始発で出発してギリギリです。たとえ30分だけとしても、これ以上早めるのは無謀ともいえるのではないでしょうか」(大阪府・近隣住民)
ネット上でもこの方法には否定的な声が多い。
〈開場時間の繰り上げを要求するなら大阪メトロ中央線と乗り換えのある線も運行時間を大幅に繰り上げるぐらいのことしないと働くスタッフのこと考えてないですね〉
〈言うのは簡単ですが、最初のシフトに入るスタッフの早朝出勤時刻を早めるだけではすみません。
〈シャトルバスなどの交通手段または前泊用の宿泊施設を用意しないと不可能ですが、その費用は誰が負担するのでしょうか?〉
さらに困っているのは会場付近に住む住民だ。万博開催時は通勤ラッシュ問題が発生するため、その解消を求められてきたのだが……。
「万博期間は付近の会社が電車や車の混雑緩和のために、勤務時間を変えたり在宅勤務に変更したりなどの対策を強いられています。そしてその中では、出社時間が30分早まった会社などもあるのですが、こんな直前に万博側が開場時間の繰り上げを検討しているとなると、会社の対策が全部台なしにもなりかねません」(同)
仕切りゼロの子ども用トイレが波紋
そしてテストランに参加した人からは、衝撃的な内部の画像もあがってきた。プライベート空間ゼロの子ども用トイレだ。
〈ベビーセンターに授乳室やキッズトイレあり。でも仕切りもなくて丸見えすぎるのがいけてない。中国のトイレかよ〉
そうつづりながら投稿した写真は話題を呼び、大きな物議をかもしている。
投稿者によれば、このトイレにはベビーセンターの受付前を通らないと入れないため、誰でも簡単に入れるわけではない。受付のスタッフに案内されたうえで、ソファーや授乳室などのある部屋を進んでいき、トイレはさらにその奥にあったという。
また補足をすると、この仕切りのない幼児用トイレは万博だけの特異なものではなく、一般的にも広く流通している。
ただそれは保育園など、基本的には一人で多くの子どもを見なければならない施設や場所に設置されているため、それぞれの保護者が面倒を見る前提の公共のトイレをこのようなかたちにするのは意味がなく、なにかしらの仕切りが欲しいとの声があがっている。
この写真の投稿者も同様で、実際に現地で見た感想を聞いてみると、「トイレ自体は3歳の娘は使いやすそうだけど、他の親子が入ってきたら気まずいな」と思ったため、結局、別のトイレに行くことにしたという。
開催直前に多くの問題が浮き彫りになっている大阪・関西万博。オープン後には、さらなる問題が噴出していきそうだ。
取材・文/集英社オンライン編集部