
<沖縄をじーっと見つめたい>。かつて地元テレビ局の「顔」としてそんな思いを吐露していた女性の瞳にはいったい何が映っていたのか。
コンビニ前で同僚にドリンクを手渡して…
<Love the life you live,Live the life you love(自分の人生を愛しなさい、自分の愛する人生を生きなさい)>
その女性は、勤務していたローカル局のホームページ上(現在は削除)で、自身の「座右の銘」としてこんな言葉を紹介していた。
前向きに人生の歩みを進めようとする意思を感じさせる言葉をつづった、そのわずか2年後、彼女の輝かしいキャリアは突如、暗転した。
女性は、那覇地検が3月31日に傷害罪で起訴した大坪彩織被告(24)。かつては沖縄の地元放送局「RBC(琉球放送)」のアナウンサーとして活躍していた。
「事件があったのは2024年1月25日夕方のことでした。大坪被告は、那覇市内のコンビニ前で同僚にドリンクを手渡しているのですが、このドリンクに睡眠作用や抗うつ作用のある複数の薬物が混入されていました。
当時、二人は勤務を終えて帰宅途中だったようで、同僚は大坪被告から譲り受けたドリンクを飲むうちに次第に意識がもうろうとしていったようです。同僚は救急搬送され、『一過性意識障害』『急性薬物中毒』の診断を受け、2月になってから沖縄県警に被害申告したことで、大坪被告の犯行が明らかになりました」(地元メディア記者)
HPに記されたプロフィールによると、大坪被告は東京都出身で慶應義塾大学法学部を卒業後の2023年に入局している。そのわずか1年後に事件を起こしたことになるが、事件が公になったのは、それからさらに1年余りを経た2025年3月10日のことだった。
「大坪被告は事件後の25年1月にRBCを退社。沖縄県警は、そのさらに2ヶ月ほど後の3月10日に逮捕に踏み切っていますが、その直後の広報では、大坪被告の氏名を公表していませんでした。
そのため、事件が明るみに出ることはありませんでしたが、一部のメディアは事件の当事者が大坪被告であることをキャッチしていたようです。那覇地検に身柄が送検された後、起訴されたタイミングで各社が報じたというわけです」(同)
局内での人間関係のもつれがあったのでは
関係者によると、警察のみならず、地検も実名での広報を控えているという。事件を報じたメディアの中には、こうした当局の姿勢にならって実名での報道をしていないところもあるが、なぜ当局は実名での広報に踏み切らなかったのか。そこには事件を巡る複雑な背景が関係しているという。
「被害に遭ったのが、大坪被告の同僚だった点も当局が慎重になった理由のひとつになっているようです。大坪被告は逮捕直後の取り調べに容疑を否認しており、その動機は判然としませんが、事件の背景には局内での人間関係のもつれがあったのではないかとの憶測も広がっています。
とにかく、警察が逮捕までかなりの時間をかけていることから慎重に捜査を進めていたことは間違いなく、それほど犯行が悪質だとみていたといっていいでしょう」(地元関係者)
どんな事情があるにせよ、大坪被告は、越えてはならない一線を越えてしまった。いまは華やかなテレビの世界から離れて、拘置所でひとり、裁きの時を待つ身となった大坪被告。新人時代、前出の局のHPでは、一問一答式の自己紹介で、「どんな性格ですか?」との問いに《のんびりおおらか》と答えている。
また、「休日は何をして過ごしていますか?」の問いかけには、「動物と子どもの動画を見て癒されている 自家製味噌と塩麹のお世話」と回答、「一番印象に残っているお仕事は?」という問いかけには、《目の前にある一つ一つのお仕事とまっすぐ向き合っていきたいです》と初々しさも見せていた。
視聴者に《皆様と同じ目線で言葉を伝えたいです。沢山学ばせて下さい。よろしくお願いいたします!》と殊勝なメッセージを送っていたが、その願いは自らの過ちによって潰えてしまった。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班