
4月13日に開幕した大阪・関西万博。史上最多となる160以上の国・地域、国際機関が参加し、「万博の華」といわれるユニークな海外パビリオンが多数並んだ。
「大屋根リング」や「巨大ミャクミャク像」大人気
万博会場となる人工島・夢洲に降り立つと、開場時間の午前9時には、すでに入場口東口では長蛇の列ができていた。一方、入場券を持っていないものの、航空飛行隊「ブルーインパルス」(雨天中止)の雄姿を見るため、入場ゲート付近には多くの人だかりもできていた。
「今まで万博とか全く興味なかったんですけど、ここ数日たくさんのマスコミで取り上げられたことで職場で話題になり、みんなで仕事終わりに夜のチケットを購入して行きたいねって話してます。今日の事前予約のチケットは取れなかったんですけど、ブルーインパルス見たさに会場まで来ちゃいました」(大阪市在住、50代会社員女性)
「ブルーインパルスを見るために、三重県から始発の電車を乗り継いで夢洲まで来ました。これまで航空展示会とかにも行ったことはありますが、どうせ夢洲まで行くなら万博も行ってみようって思って開幕券も買いました」(三重県在住、50代女性)
長蛇の列をつくる入場ゲートをようやく潜り抜け、記者も会場に入ると、まずは巨大なミャクミャク像がお出迎えしてくれた。その背後には、今回の“万博のシンボル”でもある世界最大の木造建築物「大屋根リング」が広がっていた。
大屋根リングを前にした大阪府在住の60代女性も大はしゃぎ。
「想像以上に壮大で、近くで見ると圧巻ですね! 登ってみたら会場全体を見まわせるし、気持ちがいいです。余力があれば一周してみたいですね」
ブルーインパルス飛行中止に会場内は…
多くの人が記念撮影していた大人気の「大屋根リング」。正午ごろから会場上空でブルーインパルスが約15分間の展示飛行を披露する予定だったため、リング上から観覧しようと、エスカレーター前には長蛇の列ができていた。
実際に記者もリングに登り、傘を差しながらブルーインパルスを待つことに。しかし、雨天により無念の欠航となり、会場全体から「中止⁉」「なんや~、楽しみにしとったのに…」などため息が漏れていた。
中止のアナウンス後、会場に入ると、至る所に華やかで独創的なパビリオンが並んでいて、どれも目を奪われるほどだった。
兵庫県から来た30代の女性は、興奮まじりにその感動を伝える。
「事前予約でパビリオンの予約が取れなかったんです。今日は混んでいるからなかなか当日に入れるパビリオンはないんですが、(外観を見るだけでも)建築好きにはたまらないようなデザインのパビリオンばかりで歩きまわっているだけでも楽しいですね」
「万博の華」海外パビリオン、一部閉館中も
特に「万博の華」と言われるのが、海外パビリオンだ。今回は史上最多となる160以上の国・地域、国際機関が参加しており、参加国が事前出展する「タイプA」の海外パビリオンは計42館。一方、インドやチリ、ネパールなどの数カ国のパビリオンは内装上の工事が完了していないなどの理由で、開幕日でも閉館中だった。
こうした状況に千葉県から早朝発の飛行機に乗って来場した30代の男性は不満を吐露した。
「事前予約の必要ない小さめの海外パビリオンだと、まだ展示物がそろってないのか、映像でまとめていたり、ショーケースも充実していない印象でした。愛知万博のときに万博にハマって最新技術に生で触れ合えることに期待してましたが、人気のパビリオンは予約が取れないとあきらめないといけない。
少し並んで入れるパビリオンは、映像と科学館の延長線上のような展示物ばかり。今日以外にも数枚チケットを買って来週にも万博に行く予定なので、第一希望の『大阪ヘルスケアパビリオン』に次こそは入りたいな」
今回、「並ばない万博」をうたっている日本博覧会協会だが、人気のパビリオンも完全事前予約制のため、並ばない代わりに予約を取れず、諦めざるを得ない状況になってしまう来場客も多数いた。また予約や支払いもスマホありきのため、不満の声も。
「今日は夫と来たからいいんですけど、次は家族全員で来たいねって話してて。でもうちのおじいちゃんとおばあちゃん、キャッシュレス決済が分からないと思うんですよね。スマホの操作すら曖昧で。お年寄りにはいちいちチケットのURLを出してってかなり難易度高いと思うんです」(奈良県在住、40代女性)
184日間の祭典がスタートを切ったが、始まりと同時に来場者から幾つかの改善点も指摘されている。全ての世代が安心安全に楽しめるよう、会期中さらにより良く進化する万博になることを期待したい。
取材・文・撮影/木下未希 集英社オンライン編集部