
4月13日に開幕した大阪・関西万博は、開幕前からメタンガスの発生や海外パビリオン開館遅延など、トラブルが続出。開幕してから大きな混乱は今のところないが、中国籍の人物による無許可ドローンの飛行、火災騒ぎ、そしてついに“逮捕者”まで…。
爆発の恐れがある夢洲で火災騒ぎも発生
4月13日の開幕日には11万9000人の来場者が訪れた大阪・関西万博だが、開幕前から不安視されていたのが、メタンガスの発生だ。
万博のリハーサル「テストラン」の最終日だった6日に、会場内の一角でメタンガスが検知されており、一時は着火すれば爆発の恐れがある濃度を超えていた。
万博会場の夢洲は人工島で、廃棄物などによる埋め立てが原因でメタンガスが発生しているのだ。
昨年3月に行われた会場内のトイレ工事で、溶接の火花がメタンガスに引火する爆発事故が発生。大阪府は小中学生を万博に無料招待する事業を始めているが、万が一の爆発を懸念して、直前に取りやめる学校も出てきているのが実情だ。
そんな危険性を抱えた万博。開幕初日には火災騒ぎも発生し、一時騒然とした。初日に万博を取材していた記者はこう語る。
「午後に会場内で『煙が出ている』と通報がありました。通報があったのは、万博グッズを販売しているオフィシャルストアのそばで、消防車や救急車など10台以上が駆けつける騒ぎとなりました。幸い、火や煙はなく、火災ではないと確認されました」
結果、火災ではなく誤通報だったため事なきを得たが、開幕前日にはブラジルのパビリオンで実際に火災が発生し、配線が焼ける被害も出ている。あわや大惨事になる危険性と隣り合わせなのだ。
天皇皇后両陛下の視察中に謎のドローン
万が一に備えて、会場には警察と消防の詰め所が存在し、24時間対応に当たっている。
「大阪市内から夢洲に駆けつけるのには20分くらいかかってしまうこともあって、会場には消防車や救急車が配備されています。万博は秋まで続きますから、夏の熱中症にも警戒しています」(消防関係者)
万博といえば、国内外から要人が訪れることもあり、警察と消防が一体となってテロ対策の訓練も実施している。そんななか、天皇皇后両陛下が万博を視察するさなか、許可されていない“謎”のドローンが会場上空を飛ぶ事件もあった。
「11日の夕方、会場内で警戒中の警察官が中国パビリオンのあたりでドローンの飛行を発見し、ドローンを操縦していたとみられる中国籍の男性を確保しました。ドローンは墜落することなく、パビリオンなどの施設や地上にいる人に被害はなかったとのことです。
また危険物などの積載もなかったようで、府警の調べでは悪質性はないとのことです。この日は天皇皇后両陛下が昼から万博会場を見学されており、報道機関の間で緊張が走りました」(社会部記者)
万博を巡っては、テロ対策などとして大阪府の条例により、会場の夢洲やその周辺約1キロ以内で無許可のドローンの飛行を禁じており、違反した場合は1年以下の拘禁または50万円以下の罰金が科せられる。
ドローンは万博テストラン中であり、なおかつ警察官がすぐに発見できたため、民間人への影響はなかった。
遊び半分の気持ちで言った発言で逮捕
だが、開幕後には来場者が避難する一幕も――。万博オープン2日目の4月14日には“爆発物騒ぎ”があり、逮捕者も出たのだ。
「荷物検査係の警備員に『リュックサックの中に爆弾があるんや』と話して手荷物検査を拒否した80歳の男が威力業務妨害の容疑で逮捕されました。手荷物検査の結果、爆発物は所持していませんでした。
逮捕された男は『楽しみにしていた万博にテンションが上がり、遊び半分の気持ちだった』などと話しているそうです。男が持っていた黒のリュックサックの中には、万博の通期パスが入っていたとのことです」(同前)
さらに“迷惑老人”の逮捕者が万博4日目の16日にも。
「午後13時ごろ会場内にある29か国が共同で出展する『コモンズA』で、キルギス館の展示品(6800円相当)のハチミツ瓶を盗んだとして、富田林市在住の83歳の男が逮捕されました。
男が持ち去ろうとしていたところを警備員が身柄を確保、ハチミツは売り物ではなく展示品として置かれていたものだったようです。男は確保時に海外製の食品を複数所持しており、警察は余罪がないか調べています」(同前)
期間中は2800万人を超える来場者が見込まれている万博。さらなるトラブルが起きないことを祈りたい。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班