〈麻生氏、河野氏も参戦〉鈴木法相が批判されても政治資金パーティーをホテルで開催、1000人が参加「政治資金調達目的ではありません」大臣規範に抵触せずと主張
〈麻生氏、河野氏も参戦〉鈴木法相が批判されても政治資金パーティーをホテルで開催、1000人が参加「政治資金調達目的ではありません」大臣規範に抵触せずと主張

鈴木馨祐法相(衆院比例南関東)が4月14日夜、横浜市内で政治資金パーティーを開催し、約1000人が参加したとみられる。2001年に閣議決定された「大臣規範」は「国民の疑惑を招きかねないような大規模なものの開催は自粛する」ことを申し合わせている。

パーティー開催が事前に公になって批判を浴びながらも鈴木氏は計画を敢行。鈴木氏の事務所は、パーティーは「政治資金の調達が目的ではない」と主張している。 

「部屋の使用料は3時間で59万円です」

東大から大蔵省(現財務省)に入り、2005年の総選挙で衆院議員に初当選した鈴木氏は48歳。これまで外務副大臣や財務副大臣を務めた。前回の衆院選では小選挙区で落選し、比例復活している。昨年11月に石破茂内閣の法相として初めて入閣している。

華々しいキャリアの一方で、法相就任後は問題が続いている。昨年11月以降、政治団体や都内のセキュリティ関連企業から受け取っていた顧問料を所得等報告書に記載していなかったことが報じられ、報告書の訂正を迫られた。

ことし2月には法務省本省の職員に中国菓子の月餅を配っていたことも報道で発覚。公職選挙法は政治家による選挙区内の有権者への寄付を禁じており、鈴木氏が復活当選した比例南関東ブロックの千葉、神奈川、山梨各県で選挙権を持つ法務省職員が月餅を受け取っていれば同法に抵触する疑いがあると指摘された。

「月餅問題発覚直後、鈴木氏は会見で、『職員への慰労、激励で、世間で言う差し入れだ』と弁解しました。結局、石破首相から厳重注意を受けています」(政治部記者)

今回、4月14日のパーティー開催を知らせる案内状は3月に支持者らに送られ、直後から問題視された。3月24日には参院法務委員会で「大臣規範を遵守し中止すべきだ」と鈴木氏に直接要求する声が出たが、鈴木氏は「大臣規範上も問題ない」と拒否している。

案内状では「恒例の『春の集い』を四月十四日に開催いたしたく存じます」と呼びかけており、会費は一口5千円。「この催しは政治資金規正法第8条の2に規定する政治資金パーティーです」とも書かれてある。

同法第8条の2とは、収入から経費を差し引いた残額を、選挙運動を含む政治活動に使うイベントを「政治資金パーティー」と規定し、その主催者を政治団体に限定することを定めた項目だ。

会場となった横浜市内のホテルの担当者によると「会場の部屋は、料理代別で音響などをつけた使用料は3時間で59万円です。立食パーティーなら600人から800人程度のご利用が適正です」という。

「財界からの寄付を禁止するという意見に、そうではない」

 パーティー当日、鈴木氏は開会30分前の午後6時に秘書官やSPら約10人を伴い会場入り。麻生太郎元首相と河野太郎前デジタル相も相次いで到着した。

「会場には1000人程度が顔を出しました。食事は、酒の他に焼きそばやフルーツ、サンドウィッチなどがありました。いつもより数も多かったように感じます。このパーティーのことは地元紙にも大きく掲載されていたけど…」(地元支援者)

地元支援者によると、麻生氏はあいさつで、企業・団体からの政治献金禁止を求める野党からの声に鈴木氏が立ち向かったと紹介。

「財界からの寄付を禁止するという意見に、そうではない、寄付の内容をきちんとすればいいんではないかと、先頭になって戦ったのは間違いなく鈴木馨祐です」と持ち上げた。

また河野氏は法務省が所管する外国人の出入国管理の問題を挙げ「特に外国人の問題について考えて。

これまでやっていた通りのことでは追いつかない、そろそろ新しくいろんなことをビシッと決めなければいけない時に、馨祐さんに法務省のトップになっていただいたのは非常にいいタイミングだった」と話した。

これを受けた鈴木氏はあいさつで、落選した小選挙区の議席を次は取り戻したいと訴えた。それに続けて、外国人対策に時間を割き、自身が考えるビジョンを語っている。

「まさに今、埼玉県川口市をはじめとして、日本の各地で集まって住んでいる外国の方との摩擦を心配する声が極めて大きくなってきております。日本の社会が10年後、20年後に安心、安全な社会に行くことができるのか、今まさに大きな分かれ道と思っております。

もちろん外国から素晴らしい人材の方々に来ていただくことは日本の国を力強く成長していくためには欠かすことができません。日本を開かれた自由な社会であり続けさせるためにも、私は、入管行政については、不法に在留しているような方々にはきちんと出ていっていただく、そうした対応をしっかりとスピーディーに進めていかなきゃいけないと確信をしております」(鈴木氏のあいさつ)

パーティーは開始から約45分後には参加者が帰り始め、鈴木氏は参加者を見送った後、到着時に使った表のエスカレーターを使わず、ホテルの裏から出て行ったとみられる。 

経費を差し引いても“黒字”になったとみられるが…

集英社オンラインはこのパーティーが大臣規範に抵触するのではないかとの指摘に対する鈴木氏の見解を、事務所を通じたずねた。

質問状に対し、鈴木氏の事務所は、大臣規範にある当該項目の全文は「政治資金の調達を目的とするパーティーで、国民の疑惑を招きかねないような大規模なものの開催は自粛する。」と書かれていると指摘。

その上で「そもそもこの催しは、政治資金を調達することを目的とするものではなく、有権者の方々等との意見交換のために法令及び大臣等規範に則って行っているものです。」と説明した。

政治資金規正法第8条の2に規定する政治資金パーティーを開いたが、政治資金集めが目的ではない、との主張だ。

事務所にはほかにも、パーティー参加者の正確な人数やパーティー券の販売枚数、麻生、河野両氏が参加した経緯もたずねたが、これらには回答はなかった。

パーティー券の販売が参加者の規模の1000人程度にとどまっていたとしても収入は500万円程度になり、パーティー開催は会場費や食事代など経費を差し引いても“黒字”になったとみられる。

政治資金規正法にのっとったパーティーならこの収益は政治資金として処理する以外にない。法務行政を担う機関のトップにいる政治家が「政治資金集めが目的ではない」と主張することは妥当なのだろうか。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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