〈巨人・坂本ついに2軍降格〉“NPB史上最高の遊撃手”はこのまま終わってしまうのか? 求められる「モデルチェンジ」とは?
〈巨人・坂本ついに2軍降格〉“NPB史上最高の遊撃手”はこのまま終わってしまうのか? 求められる「モデルチェンジ」とは?

打撃不振により2軍降格となった巨人・坂本勇人(36)。4月16日、2軍球場での練習後の囲み取材では「こんなところでゆっくりしてる場合じゃない」と早期復帰を誓ったが、体力面での衰えは隠せない。

球団生え抜きのスターは再び輝きを取り戻すことができるのか。

スイングスピードが落ち、打撃に迷いが…

31打数4安打、打率.129で長打は0。昨年に続き、ケガ以外での2軍降格を告げられた坂本勇人。

「このまま終わってしまうのか……。
いや、それでも坂本ならきっと復活してくれる」

そう思わせてくれるような成績を坂本はこれまで残してきた。

2008年、高卒2年目に遊撃手のレギュラーを奪うと、2012年に最多安打、2016年に首位打者、2019年には遊撃手で初となる3割40本を達成。遊撃手としての試合数、刺殺数、補殺数はいずれもNPB歴代最高を記録している。

巨人という大看板を背負い、かつ守備の負担の大きな遊撃手のポジションでこれだけの数字を残したのだから、坂本は「NPB史上最高の遊撃手」と称されても不思議ではない。

そんな彼でも年齢には勝てない。昨年、本格的に三塁手にコンバートされたが、開幕から打撃の調子が上がらず、ケガ以外で初となる2軍落ちを経験。100試合以上出場したシーズンではキャリアワーストの成績に終わった。

とはいえ、ディフェンス面ではかつての広い守備範囲やキレは見られないまでも、打球への反応速度や一歩目の鋭さで幾度も守備でチームを救い、三塁手として初めてゴールデングラブ賞を獲得した。

チームは4年ぶりのリーグ優勝。

数々の栄光を知る坂本が「個人的には苦しいシーズンでしたが、一番うれしい優勝でした」とこぼしたのは、打撃で悩んでいただけに本音だったのだろう。

そんな中で臨んだ今シーズンだったが、いまだ打撃不振から脱却できていない。

開幕スタメンを勝ち取り守備では貢献したものの、冒頭で紹介した成績ではさすがの阿部慎之助監督もこのまま1軍で使い続けるわけにはいかなかったか。

筆者の目から見ても、全盛期と比べてスイングスピードが落ちていて、打撃スタイルに迷いがあるように映った。長打が1本も出ていないことからも、状態は深刻なのだろう。

求められる打撃スタイルの変更

しかし、打撃面で衰えが隠せない坂本も、まだまだチームに欠かせない存在であることは間違いない。

昨季は優勝争いが激化する9、10月で勝負強さと、リーグ優勝や日本一を知るベテランとしてのリーダーシップを発揮した。

中でも印象的だったのは1ゲーム差で首位を走る9月23日、2位阪神との甲子園での直接対決だ。

終盤まで0‐0と互いに譲らぬ白熱の展開で、坂本は7回表に決勝打となるタイムリーを放って試合はそのまま1-0で勝利した。坂本も「あの打席で打てなかったら引退も考えないといけない」と語るほど、強い覚悟で臨んだ打席だった。

同年のクライマックスシリーズファイナルステージも胸が熱くなるシーンがあった。3位から勝ち上がってきたDeNAに3連敗を喫して崖っぷちで迎えた10月19日の第4戦。

7回裏1-1の場面で三塁ランナーだった坂本は岸田行倫のセーフティスクイズで本塁へ激走。気迫のヘッドスライディングで決勝点をもぎ取った。

このように、走攻守それぞれで苦戦しながらも、ここぞの場面で勝利に貢献する働きをする坂本はやはりチームに必要な選手だ。

何より、今でも球場では巨人ファンからの声援は坂本がもっとも大きく、そのなかで打てば球場の雰囲気は大きく変わる。夏場からシーズン終盤、流れを自軍に持っていきたいゲーム展開で、これほどチームに勢いをつける選手はいないはずだ。

とはいえ、今の打撃の状態では試合に使ってさえもらえないのもまた事実。坂本は自分の状態に応じて柔軟に打撃フォームやアプローチを変えて結果を残してきた。坂本といえば、沈み込むようにしてステップする打撃フォームでおなじみだが、このフォームは長打力がある反面、下半身への負担が大きく、年齢的にもリスクが伴う。

そのため、今後は長打を捨てたコンパクトなフォームに切り替え、打率や打点を重視するスタイルへとシフトできるかがカギになると見ている。

さらに、坂本は2023年は開幕から22打席ノーヒットでも、その後、復調して打率を.288でまとめた過去がある。このスランプから脱出し、攻守において機能し始めれば、巨人のリーグ連覇にも現実味が帯びてくるはずだ。

取材・文/ゴジキ

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