JR中央線に「不正乗車してますよね」と声をかけてくる素人の“グリーン車警察”が出没中…サービス開始から1ヶ月「赤ランプ=不正乗車」なのか?
JR中央線に「不正乗車してますよね」と声をかけてくる素人の“グリーン車警察”が出没中…サービス開始から1ヶ月「赤ランプ=不正乗車」なのか?

JR中央線快速・青梅線のグリーン車サービスが始まってから1ヶ月。新生活で忙しさに追われる中、通勤時などに利用してその快適さを味わったという人もいることだろう。

だがそんな中、SNSに「グリーン車で不審な行為をしている人物がいる」との声があがっている。何が起きているのだろうか。 

中央線グリーン車で不正乗車を“取り締まる”不審な人物が…

JR中央線快速・青梅線のグリーン車サービスが3月15日から始まり、およそ1ヶ月が経過した。通勤時や荷物が多いとき、体調不良のときなど、さまざまな状況で利用した人たちから「乗ってみたら快適だった」という声がSNSにあがっている。

一方で、Xにはこんな投稿が。

「『赤ランプ席へ着席』している旅客に対し、『不正乗車してますよね』と声を掛ける不審な人物が出没している」

グリーン車で赤ランプになっている席に座る乗客に対して、「不正乗車」との疑いをかけて声かけする行為が発生しているというのだ。

ここで改めて、中央線グリーン車の利用方法について確認してみたい。

中央線グリーン車に乗る際は、乗車券(または定期券)とは別に、「普通列車グリーン券」の購入が必要となる。

JR東日本のサイトによると、グリーン券の購入方法はふたつある。

1、モバイルSuicaやカードタイプのSuica等にチャージした残額からアプリや駅券売機で「Suicaグリーン券」を購入して、Suicaにグリーン券情報を記録する方法

2、駅券売機や車内等で紙のグリーン券を購入する方法

「Suicaグリーン券」を購入した場合は、グリーン券情報の入ったSuicaを座席上の「グリーン券情報読み取り部」にタッチすると、ランプが「赤(空席)」から「緑(着席)」に変わる、という仕組みになっている。

ただし、紙のグリーン券の場合は、グリーン車の座席に到着したら、グリーンアテンダントと呼ばれる乗務員に切符を確認してもらう車内改札(あるいは車内でグリーン券を購入)を行なったあと、赤ランプから緑ランプに変わるのだが、駅間によってはグリーンアテンダントが来ず、車内改札が行なわれないまま下車してしまうケースもある。

その場合は、赤ランプのついた席に座り続けることになるため、「周囲から不正乗車を疑われているのでは」「気まずい思いをした」という利用者も少なくないのではないだろうか。

そもそも紙の切符はどういうときに買うのか?

JR東日本によると、Suicaの発行枚数は1億枚を、モバイルSuicaの発行数は2000万枚を突破したというが、「Suicaが普及しているのに、いまどき紙の切符を買う人っているの?」と思う人もいるかもしれない。

そもそもどういう場合に紙のグリーン券を購入するのだろうか? SNSには以下のような声が見られた。

「純粋に紙の切符のほうが好き」

「Suicaを忘れた」

「モバイルSuicaが不具合で使えない」

「そもそもSuicaを持ってない」

ほかにも、「経費精算時にSuicaの利用履歴を見られたくないから、仕事で利用するときは必ず紙の切符を買う」(40代男性)という声もあった。

意外に思うかもしれないが、こういったさまざまな事情でSuicaを利用せず、グリーン車に乗るときには紙のグリーン券を買うケースがまだまだあるのだ。

上記以外にも、単純にタッチしてランプの色を変えるというグリーン車への乗車方法を知らないまま利用してしまっているケースもあるだろう。そういったケースもあるため、「赤ランプ=不正乗車」とは限らないのだ。

それにもかかわらず、正義感を振りかざして他者に制裁を加えるような行動に出てしまう人がいるのは、何とも嘆かわしい事態だといえよう。

JR東日本に対応を聞いたところ、「車内秩序の状況などについて実態把握は実施」しており、「現状では車内秩序が維持できなくなるような異常等の報告」はないとのこと。

また、グリーン車の利用方法については、「パンフレットや駅の掲示物でのご案内、駅や車内での放送」による案内を継続していくという。

不正乗車が許せない気持ちも分かるが、赤ランプ表示でも不正ではないケースもあることはもっと知られるべきだろう。対価を払ってグリーン車に乗る人がその快適な空間を満喫できるよう、さらなる周知が進むことを願うばかりだ。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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