〈西成・小学生7人重軽傷事故〉「子どもたちを塀に挟んでズルズルと引きずるように…」殺人未遂容疑で逮捕された“全てがイヤになった”男(28)、自宅は単身者用の古い公団住宅
〈西成・小学生7人重軽傷事故〉「子どもたちを塀に挟んでズルズルと引きずるように…」殺人未遂容疑で逮捕された“全てがイヤになった”男(28)、自宅は単身者用の古い公団住宅

大阪市西成区の路上で5月1日午後、下校中の小学生7人の列に車が突っ込む事件があり、大阪府警は車を運転していた東京都東村山市の無職・矢沢勇希容疑者(28)を殺人未遂の現行犯で逮捕した。「全てが嫌になったから、轢き殺そうと思って小学生の列に突っ込んだ」と容疑を認めており、府警は動機などを厳しく追及している。

「ここは高齢者が多く数年前に孤独死した方もいたので…」

被害にあったのは同区千本中の市立千本小学校の2年生と3年生の児童7人(男6女1)で、男児6人は軽傷だが、小2の女児は顔から血を流すなど重傷を負った。

「この日は4時限目までの短縮授業で、給食を食べ終えた児童が午後1時半ごろ下校しようと正門を出たところに車が突っ込んできた。猛スピードではなくてよろよろと幅寄せするような感じで子供たちを塀に挟んでズルズル引きずっていくように進み、停まった後も、容疑者は車からなかなか降りずに放心状態のように見えたと証言する子たちもいました。

学校からの通報で府警が駆けつけましたが、正確に言うと現場にいた学校支援員の70代の警察OBの方が容疑者を取り押さえて現行犯逮捕して府警に引き渡した。犯行に使われた白いSUV車はレンタカーで、東京在住の容疑者がなぜ大阪まで来て犯行に及んだのか、府警が調べを進めています」(大阪府警担当記者)

全てが嫌になり、500キロ離れた大阪まで出ばって子供たちを轢き殺そうとした矢沢容疑者が住んでいたのは、単身者専用の公団住宅。一帯は古くに開発された市営と公団の大型団地だ。矢沢容疑者と同じ号棟に住む60代の男性は取材にこう語った。

「この団地が出来たのが62年前ですよ。私はこのファミリー向け団地で生まれ育ち、いったんは離れたんですが母の介護もあって10年ほど前にこの単身向け団地に移ってきたんです。私も先ほどラジオで事件を聴いたばかりですが、逮捕された人どころか、20代の男性というのは見たことがない。

ここは高齢者が多く、数年前に孤独死した方もいたので、3年ほど前から1ヶ月に1回安否確認訓練を行なっているほどです。昨年までは理事長もいたんですが、その方が辞めてからは成り手がいなくて、団地で集会などをやることもないんですよ」

「保証人不要というのは住みやすかったのかもしれません」

今は別の号棟に住んでいるという、くだんの元理事長も容疑者に心当たりはないようだ。

「去年まで単身向け団地に住んでいまして理事長をしていましたけど、私の後は成り手がいないと聞きました。

入居者は女性の中高年の単身の方が多いかなという感じで、若い人はたまに入る程度。入れ替わりが早い印象でした。

そりゃ20年も30年も前はもっと隣同士声掛けあったり横のつながりはありましたけど、この10年くらいは誰がどの部屋に住んでるかなんて誰も気にしてませんよ」

階下の住人も含め、同じ号棟にも矢沢容疑者を認識している住人には行き当たらなかった。

「私の向かいの部屋の方は高齢男性だしここは高齢者が多いと思います。年収や貯蓄の審査はあるけど、保証人が必要ないというのがメリットでした。家賃は4万円弱です。犯人の男も身寄りがなかったりしたら、この保証人不要というのは住みやすかったのかもしれません」(住んで1年になる30代男性)

東京の郊外の団地で息を潜めるように誰にも知られず生きてきたのか。土地勘も含めて矢沢容疑者が「現場」になぜ大阪の小学校を選んだのか。被害児童の心身の傷が一日も早く癒えることを祈るしかない。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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