
また1人、アナウンサーが“消えた”――。沖縄のローカル局「琉球朝日放送(QAB)」に所属するある男性アナウンサーの痕跡が消え、視聴者のあいだに困惑が広がっている。
番組を含め出演した映像すべてが削除
「琉球朝日放送では4月30日にコンプライアンス委員会を開き、社員のコンプライアンス違反が疑われる事案を確認しましたので、今後調査を実施してまいります」
「コンプラインス委員会からのお知らせ」と題したこんな文言がQABのHPにアップされたのは、GWの中日に当たる5月1日。同時に同局に所属するある男性アナのプロフィールが閲覧できなくなった。
「処分されたのは入社して数年目の若手男性アナです。現在は同局制作のニュース番組のほか、甲子園出場を目指す球児の活躍を紹介する番組にも出演しています。HPでは、『ワクワクする放送になるよういつでも矢をつがえていますので、ご期待ください』と視聴者にアピールしていましたが、そのプロフィール欄も今は見えなくなっています。
『路線バス旅』を趣味に挙げている通り、バス好きとしても知られていたようで、昨年には県内の路線バスを紹介する特集番組にも出演していましたが、この番組も含め、出演した映像すべてが削除されており、文字通り画面から“消えた”格好になっています」(地元メディア関係者)
テレビ各局の「顔」ともいえる存在であるアナウンサーの多くは、XやインスタなどのSNSを活用して情報発信するのが常だが、くだんのQABアナも自身の出演番組の宣伝に余念がなかった。しかし、こちらのアカウントについても現在はそのすべてが削除されており、同局による処分の影響をうかがわせる。
QAB側は、「調査終了後、結果を公表する予定」としているが、いったい何があったのか。関係者の間で“問題視”されているのが、4月に発覚したある事件との関連だ。
「那覇地検が3月、『RBC(琉球放送)』の元女性アナウンサーである大坪彩織被告(24)を傷害罪で起訴した事件です。
被害に遭ったのは、彼女の同僚で、大坪被告から渡されたドリンクを飲むうちに意識がもうろうとなり、救急搬送されました。搬送先の病院では、薬物に含まれていた成分の影響とみられる『一過性意識障害』『急性薬物中毒』の診断を受け、今年2月になってから沖縄県警に被害申告したことで、事件が明るみに出ました」(同)
大坪被告が所属していたRBCはTBS系のローカル局で、今回、社員のコンプラ違反を発表した一方のQABはテレビ朝日系列。ライバル関係にあるはずの両局だが、耳を疑う犯行に手を染めた大坪被告と、すべての映像が消された男性アナウンサーとの間にどんな接点があったのか。
「RBCとQABはそれぞれ別のキー局の系列にはなってはいますが、1995年のQAB開局時には、RBCが出資金を一部負担するなど、両局は親密な関係にあります。那覇市内の同じビル内にそれぞれがオフィスを構えており、社員同士の交流も活発。処分されたとみられる男性アナウンサーと大坪被告は同じ東京の出身で、年齢も近い。そのために事件前に交流があったものとみられています。
大坪被告の事件での逮捕と起訴が報道で明らかになり、RBCとQABの両社が社内調査を実施。関係者の間では、調査の結果、大坪被告と以前から軽視できない男女トラブルが起きていたことが発覚しました」(前出のメディア関係者)
「事件を受けて対応に当たったことは間違いなさそうです」
同僚に薬物入りのドリンクを飲ませるという犯行の異様さがクローズアップされた大坪被告の事件だが、その後の余波の広がり方も異例のものとなっている。
今回のQABの社内処分が出る前には、RBCの「名物アナウンサー」が無期限謹慎となって公式HPから情報が削除され、一部メディアから大坪被告の事件との関連が指摘される騒動もあったからだ。
「処分されたのは、RBCで長年活躍してきた田久保諭アナです。
同社は『職場の雰囲気を悪くしているのが、常識を超えると判断した』というのを処分理由としましたが、具体的な内容にまでは触れませんでした。ただ、(大坪被告の事件の報道があった直後の)4月10日に外部からの情報提供を受けてから調査を実施したとも明らかにしており、大坪被告の事件を受けて対応に当たったことは間違いなさそうです」(同)
趣味は家庭菜園と自然浴、休日の過ごし方については「味噌や塩麹の世話をしている」と社内HP内で回答していた女性アナウンサーが犯した過ちは、沖縄の地で思わぬ混乱を呼び起こし続けている。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班