令和の癒し系お天気お姉さん・魚住茉由はNGなし⁉…ウェザーニュースがキャスターの魅力を打ち出すワケ
令和の癒し系お天気お姉さん・魚住茉由はNGなし⁉…ウェザーニュースがキャスターの魅力を打ち出すワケ

視聴者参加型のお天気番組「ウェザーニュースLiVE」のお天気キャスターたちが、SNSなどを中心に人気を集めている。
人気の背景には彼女たちのキャラクターや、視聴者とのコミュニケーションなど様々な要因がある。

そんなお天気キャスターの中で、2023年4月にデビューした魚住茉由さんにウェザーニュースにおける“お天気キャスターの役割”などについて、話を聞いた。(前後編の後編)

「ウェザーニュースLiVE」の癒し的存在に

――魚住さんは番組で見ているときと印象が全く変わらないですね。

魚住茉由(以下、同) 「裏表がない」とよく言われますね。カメラが回っていることを忘れていたみたいなこともけっこうあるので、私の今後の課題ですね。

――魚住さんはデビュー当初から自然体な雰囲気で、「ウェザーニュースLiVE」の癒しとの呼び声も高かったとのこと。お天気キャスターとして成長を実感することや未だに苦手なことはありますか?

時間配分はだいぶ慣れてきましたね。最初の頃はお天気情報を伝えるのに必死で、番組の時間管理があまりできなかったんですが、最近は話しながら時間の確認ができるようになりました。3時間、意外とあっという間に過ぎちゃいます。逆に苦手なことは多すぎて…。いろいろとやらかしている動画がたくさん切り抜かれてると思います。

――わりとグイグイ突っ込んでいくスタイルで予報士さんを困らせている印象もあるような。

予報士さん、困らせちゃっていますよね(笑)。先日も大好きなコナンくん(名探偵コナン)について、新作映画の舞台が長野県で劇中に国立天文台や未宝岳という山が出てくるという話を番組で熱っぽくしていたんですけど。

長野県にゆかりのある天文好きの予報士の方に「それは架空の山です」と言われてしまって…。

――ああいうのは、わざとじゃないんですか?

そんな悪意はないです(笑)。きっと気象に対する好奇心ゆえですね。私、予報士さんへのリスペクトと愛が強いんです!

ウェザーニュースのお天気キャスターは、予報士さんの専門的な情報を視聴者目線で質問しながら、橋渡しするという役割分担になっていて、それが「ウェザーニュースLiVE」という番組の醍醐味でもあるのかなと。

ウェザーニュースのお天気キャスターに求められる役割

――サポーター・リポーターと呼ばれる視聴者との双方向の番組づくり、かつキャスターが1人で3時間の番組を担当するとなると、地上波テレビ番組のお天気情報コーナーより各キャスターの個性が立ちやすいですよね。

アメダスで観測できない場所など、より局地的なお天気の情報も地域の皆さんに寄り添ったかたちでお伝えできますし、『100年天気予報』のような切り口の新番組も専門チャンネルならでは魅力・強みですね。『100年天気予報』では気候変動をずっと研究・分析されている専門家が、信頼性の高い情報を紹介してくれています。

――ウェザーニュースのお天気キャスターの1日の業務ってどんな感じなんですか?

「モーニング」は早朝5時からスタートするので深夜に出社しています。番組出演後もスタッフさんとのフィードバックの時間などがあり、TikTokのショート動画なども番組後に収録することが多いです。

――今年1月からキャスターのみなさんでTikTokを始められたんですよね。

おもしろいネタは大好きなので、楽しんでやっています。私のアカウントは会社の人には「カオス」と言われることもありますが。

――「エッホエッホ」動画で奇行種とか言われて。

先日、「ナダルさんのモノマネ撮りたいです」って相談したんですが、スタッフさんから却下されそうです。

――NGないんですか?

NGナシでやらせていただいています。

――魚住さんにとってのライバルや、憧れの存在とかいます?

ムツゴロウさんは、とても尊敬している憧れの存在です。

――また斜め上をいく回答を……。

動物好きで動物の話を番組でよくしているので、ムツゴロウさんをもじって“マユゴロウ”と呼んでいただくこともあるので。普段からいろんな動物や海外の動物保護団体についてよく調べているんです。

――なるほど。

泣きながらレンジャーのドキュメンタリーとか見て「私も力にならなきゃ!」って。シロサイを密猟者から守りたくて、いてもたってもいられない時もあります。実は『100年天気予報』にキャスティングされたのも、ラッコが好きという話を私が番組でよくしていたからなんです。誰もが知る動物や身近な生活の出来事から気候変動を考える番組に参加できたらなと。

――ラッコって気候変動の影響を受けやすいんですか?

野生のラッコは寝る時に海藻を体に巻いて流されないようにするのですが、海水温が上がるとその海藻が育たなくなってラッコも死んでしまうんです。

「魚住は青空で太陽を浴びたら元気になる」

大好きな動物を入り口に気候について学ぶことも多かったので、みなさんにも好きなことからお天気に関心を持ってもらえると嬉しいですね。ウェザーニュースは予報士の方がいつも近くにいて、お天気で気になることはすぐに聞ける職場なので、お天気好きにはたまらない環境です。

――天職ですか?

はい! あ、どうですかね? 自分で天職とか言っちゃって。落ち込むことも多いですけど。プロデューサーさんにも「魚住は青空で太陽を浴びたら元気になるからいいよね」と言われるので、けっこう向いているのかなと。

――落ち込むことも多いですか? 魚住さんの前向きでポジティブなイメージはファンの間ではあると思います。

ネットのコメントもいいものばかりじゃなくて、実際はネガティブなものもあるんですが、引きずりすぎず、上手くリセットできることはお天気キャスターとして必要なスキルだと思っています。否定的なコメントから得る学びも少なくないですし、私はどんなご指摘も次に活かすモチベーションにしていますね。

――アンチコメントに対して、イラっとしたりはしないんですか?

「この人が伝えてくれるなら耳を傾けよう」という姿勢になってもらえるような、そんなキャスターに将来なれたらいいなと思っているので。

――情報って誰が伝えるかが大切だったりしますもんね。

私たちはお天気を伝えることがお仕事で、いざという時にちゃんと伝わることが一番大切なので。そのために「誰からも好かれる存在は難しくても、誰からも嫌われない存在になることはできるかもしれない」という考えで、一丸となって番組づくりをしているという感じです。

こんなおっちょこちょいの私が言うのも変な話ですけど…。

――台風や地震といった非常時のために、天気が穏やかな日は全力でファンミーティングだってTikTokだって全力で頑張っていくんだと。なんか、とても良い話を聞けました。

ウェザーニュースを知っていただく入り口は「このキャスターさんおもしろいから見てみよう」でいいのかなと。いざという時に頼りになる、親近感を持っていただけるキャスターを目指してこれからも頑張ります!

取材・文/伊藤綾

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