
結成16年以上のプロのみで競う「THE SECOND~漫才トーナメント~2025」(フジテレビ系)のグランプリファイナルが5月17日に開催される。同大会3年連続ファイナリストとなった漫才師・金属バットの二人に、ファイナル進出までの道のりを振り返ってもらいつつ、大会への意気込みを聞いた。
金属バットによるTHE SECOND2025戦前予想
—まずはTHE SECONDグランプリファイナル3年連続進出おめでとうございます!
友保 いやいや……(初戦の対戦相手は)ぼんちですよ。
—この連載でもたびたびお名前があがる「ザ・ぼんち」さん。
友保 こんなことあるんですね。ほんまいらんこと言ったらあきまへんね。
—何か言ってたんですか?
友保 ぼんちダルいとか。そもそも「(THE SECONDに)出ろ」って言ってしまったし。
—言霊ですね(笑)。トップバッターのツートライブさんも勢いがありそう。
友保 ありますね。ツートライブは、ハマりゃ強い。ただツートライブがやりたい言ってたもう一本のネタがちょっとあかんみたいで、コンプラ的に。
小林 厳しいよな。
友保 でもツートライブはありそうですよ。
—金属バットも今年はひょっとするとひょっとするのでは……?
友保 いいえ、ないです。今年はない。もう囲碁将棋さんです、今年は。今年いいっすよね囲碁将さん、ネタが。
小林 初戦勝ち上がってもすぐ当たるんですよね。
—去年のガクテンソク戦を彷彿とさせる対戦。
友保 また負けるやんな(笑)。でもまあ、決勝決まった時点でわしらは来年また(劇場の)単価が上がるんで。
—3年連続なので、上がりまくりじゃないですか。
友保 もう毎年1000円ずつ上げていってます。もう、やることはやりました。
—すごい、THE SECONDドリームですね。
小林 ちっちゃいドリーム。
—あらためてグランプリファイナルまでの戦いを振り返りたいのですが、思えば「開幕戦ノックアウトステージ32→16」の対戦相手、エル・カブキさんから死闘の連続でした。
友保 まあまあまあなんでしょ、出番順が悪かった。寄席で考えて、トップがエル・カブキ、次が俺ら…そんな寄席ウケないですよ。
小林 ハズレ回やな(笑)。
友保 いや、危なかったですね。
—次に「ノックアウトステージ16→8」で対戦したリニアさんのことも相当警戒されていました。
友保 そうすね。組み合わせよかったですね。先攻イヤやなと思ったんですけど、やってみたら空気できる前に行けたんで。だから、ぼんちさんとやるときも、わしらが後攻だったらちっちゃい大人しい若者に映っちゃうから。
—確かに。グランプリファイナルでも1回戦のトリでザ・ぼんち師匠がいらっしゃると、大トリとして収まる感じあるかも。
友保 マジ寄席の出番やもんなあれ。ツートライブ、若手がトップで。
小林 最後、(桂)文珍師匠出てきそうやもんな。
友保 いや、最後は新喜劇やろ(笑)。
慕っているザ・ぼんち師匠への挑発
—下馬評では「囲碁将棋」「金属バット」が優勝候補という声が多いみたいです。
友保 いや今年は囲碁将さんめちゃめちゃ強いので。
小林 連載してるから贔屓目で言ってませんか(笑)。
—いえいえ、囲碁将棋さんといえば、大会初年度のときに「お前らTHE SECOND出るんだろ? 一緒に盛り上げようよ」とお二人を誘われてました。
友保 誘うなんて生やさしいもんじゃないですよ。「はい」って言わな殺されるんで、あのときは。
小林 しょうがないですよ。生きるために。
—囲碁将棋さん、空手されてたんですよね。
友保 強い。ケンカむっちゃ強いねん。
小林 背後からでも勝たれへん。
友保 無理無理。棒持ってても無理よ。しょうがないもんな、あれは。あんなん言われたら。出るしかないよ。まだ「THE SECONDに出ろ」でよかったですよ。
小林 そうやな。「二人で漫才しろ」で助かったな。
—組み合わせ抽選会と記者会見も盛り上がっていましたね。ザ・ぼんちさんと対戦することがわかったとき、まずどんなことを考えましたか。
友保 まず1個目に頭をよぎったのが「まさと師匠に、出ろなんか言わんかったらよかった」。なんであんなこと言ってしまったんやろうって。
—ザ・ぼんち師匠を引きずりだしたのは金属バットさんなんですね。
友保 わしが絡みまくったんですよ。「なにひよってんすか?」って。
—当初はそこまで出る感じではなかった。
友保 まさと師匠も「出えへん」って言ってたんですよ、ずっと。
—お二人がザ・ぼんち師匠を動かした。
友保 いや、小林は言ってない。わしだけやねん。これ毎回、金属バットがって言うんやけどちゃうねん。わしだけ絡んでんねん。わしだけ絡んで、わしだけ怒られて、コンビでお年玉もらえてんねん。お前ずるいぞ、小林! マジずるいぞ!
小林 (笑)。
—でも普通そんなこと言われたとしても、出ないと決めていたら出ないのでは?
友保 出たかったんですよ、絶対。あれ、ほんまに。で、それで去年出はって。今年はもう出えへん言うてはったから、オッケーもう去年懲りて出えへんのやな思て、むっちゃ言いまくったんですよ。「ひよって」とか「臆病もん」とか言うたら、また出てきやがって。決勝も残って。で、わしらとぶつかって。最悪やで。
小林 まあよかったですけどね、初戦ぼんち師匠で。
友保 ええ、ほんま?
—小林さん的にはどうですか。
小林 いやもう勝ったらラッキーすぎるんで。
友保 勝ったらな。
—元祖漫才ブームを倒すことになる。
友保 俺、約束してるから、まさと師匠と。とりあえず一戦でも勝ったら寄席で使ってる出囃子交換しようって。俺らがぼんちさんの出囃子で、ぼんちさんが俺らのあのキモい拍手の出囃子。優勝しようもんなら、もう西宮の家と車をもらえるんでねえ。約束つけたんで。
小林 これもし勝ったときに吉本興業が仲介入ってくれるんですかね(笑)。
「ザ・ぼんちvs金属バット」がつなぐ“昭和の漫才師”のバトン
—小林さんは記者会見で「大会が盛り上がるかどうかが大事」とおっしゃってましたよね。
小林 僕らのレギュラー番組ですから、当然の自覚ですよね。
友保 まあね、それが肝ですからね。
小林 視聴率30%取らな終わりますね。
友保 じゃあ終わるよ。
—THE SECONDは「改革」を掲げるフジテレビにとって、とてもいい番組だと思います。
小林 僕らのレギュラー番組ですから、その一助になればと。
友保 今年の楽屋のケータリングでフジのTHE SECONDに懸ける思いがわかるな。
—フジテレビで行なわれる組み合わせ抽選会と記者会見は毎年独特な雰囲気ですよね。
友保 みんなに言われるんですよ。「記者会見パイプ椅子なんや」って。
—あれは……あえてのパイプ椅子なんですか。
友保 あえてらしいですよね。そういう演出とは言ってましたけど、ほんまなんかな。
—「ザ・ぼんちvs金属バット」が決まったとき、SNSはめちゃめちゃ盛り上がってました。
友保 いやぁ、ぼんちさんは俺らよりネタ作ってますからね。めっちゃネタ作んねんな。
—以前、まさと師匠はなんばグランド花月(NGK)の会議室で黙々とネタを作っていらっしゃると話してましたよね。
友保 ストイック。そんで「種はできた」言うて帰るらしい。
—かっこいい。
小林 もうタイムオーバーもないやろうしな。すごい反省してたから。
—ぼんち師匠は「ノックアウトステージ16→8」でタイムオーバーのため10点減点されましたからね。それでも勝ち上がるのはすごいですけど、反省されてたんですか…。
小林 映像で見ただけなんですけど、もう勝ってんのにずっと悔しそうにしてましたね。「これは俺がやらなあかん仕事やねん」って。
—か、かっこいい…。
友保 まさと師匠が手綱を握らなな。おさむ師匠はスイッチ入ったらまわりの声聞こえへんもんな、動き出したら(笑)。ファイナルでも6分ぐらいオーバーしてほしいですね。ついでにネタもやりすぎてぐちゃぐちゃになって、まさと師匠も声出して二人でスタジオ出て、どっか行って最終的にはガチャピンとムックと2対2でケンカしてほしい。
—『オレたちひょうきん族』(フジテレビ系)の頃のテレビならあるかもですね。
友保 それで300点ついたけど、もろもろ差し引かれてマイナス300点にされてほしい。
小林 また、まさと師匠が反省する。
—大師匠になった今でも反省されたり、悔しがったりされるのがすごいです。
友保 いや、まさと師匠カマしてましたからね。選考会のとき、けっこうオーバーしたコンビが多かったらしいんですけど、まさと師匠それ袖で見てて「時間は守らなあかん」って言っていたと。やっとんねん我がで(笑)。
—会見の後には、ザ・ぼんち師匠のお二人と何かお話しされましたか?
友保 あの人たち光の速さで帰ったので。翌日名古屋で単独ライブある言うて。
小林 で、その次の日は帯広行ったらしいです。
—73歳と72歳の動きではないですね…。
友保 めちゃめちゃ売れっ子の若手。決勝当日も元気やろうね。あの人たちめっちゃ元気なんですよ。おさむ師匠とたまに昼飯行くんですけど、まだご飯おかわりするんですよね。で、定食に絶対コロッケ追加で一品つけるし。
真の優勝候補は「吉田たち」という説
—元気ですね。
小林 ジム行ってるしな。
友保 鍛えたがんねんな。
小林 仮にぼんち師匠が体調不良になったとしても、(欠場者が出た場合のリザーバー)ななまがりさん出てきますもんね。
友保 どっちもイヤやなぁ。そういや(組み合わせ)決まってから劇場行ったら、吉本の社員の人がなんや喜んでましたね。あれどういう喜びなんや。
小林 ……ちょっと待って。怪しいな。
—どういうことですか?
小林 フジテレビで4時間超の特番で、ザ・ぼんちという大御所が出てきて、吉本の社員が「金属さんと当たってください」って言ってて、実際に当たる。
—感慨深いですね。
小林 いや、ヤラセですね。
友保 いや、待て小林。その理論でいくと、もうヤラセどころじゃないわ。
小林 ええ?
友保 確実に……陰謀論や。俺1個、おかしなところ見た。(組み合わせ抽選会で)吉田たちがくじ引く前に「6番引きます」言うて、ホンマに6番引いてた。あれは運営の陰謀やな。
—でも、組み合わせ抽選会でお二人のくじを引いたのは(ガクテンソク)よじょうさんでしたが…。
友保 よじょうさんも前回王者でしょ。
小林 そうやな。ズブズブの運営側やな。
友保 やられたな俺ら……。
小林 あれ? え? じゃあ誰が勝つのこれ?
—運営は誰を推したいのでしょうか…いちばん若手のツートライブさんですか?
友保 ツートライブを推すのはちょっと考えられん。年齢で言ったら吉田たちになりますね。今、双子……東の双子のDタクがちょっと休んでるから。
小林 吉田たちを勝たせるんか……あ、上方漫才大賞奨励賞も取ってたしな。
友保 仕組まれてんのかあ。とんだピエロやでわしら。ぼんち師匠も。
—すごいですね。ぼんち師匠まで巻き込んでくるとは。
友保 いちばん怪しくないですからね。ぼんち師匠を使うっていうのが。
小林 まあ、それでも目の前のお客さんを笑わせるだけですけどね、我々は。
友保 小林はそうね、小林はね。
—友保さんはどうされるおつもりですか?
友保 わしはでっかい強い磁石持ってきてみんな壊します。バグらしたんねん、磁力で見たことない数字出したる。750点とか出したるからな!
取材・文/西澤千央 写真/石垣星児