〈石破首相“ヤミ献金3000万円告発者”が会見〉「年間600万円パー券を買った」「羊かんの袋にいれたことも…証人喚問に出てもいい」首相は「事実ない」と強気の答弁
〈石破首相“ヤミ献金3000万円告発者”が会見〉「年間600万円パー券を買った」「羊かんの袋にいれたことも…証人喚問に出てもいい」首相は「事実ない」と強気の答弁

石破茂首相の有力後援者だった男性が、パーティー券の購入や現金を直接渡す方式で石破氏側に約3000万円のヤミ献金を行なってきたと告発した。石破氏は国会答弁で完全否定している。

これに怒った男性が国会内で記者会見を開き、クリーンなイメージを売り物にしてきた石破氏を「断罪しなきゃいけない」と主張し、改めて告発は事実だと主張した。

「私自身全く覚えがございません」と石破首相

男性は石破氏の政治団体「石破茂政経懇話会」の代表を務めた下根貴弘氏(66)。5月8日発売の週刊文春で、2003年から14年までの間に父親の下根弘氏とともに、多いときは年間600万円分のパーティー券を引き受けてきたと暴露した。

さらに現金百万円を少なくとも5回、石破氏に手渡したとも証言。「闇献金以外のなにものでもありません」というこれらの提供総額は少なくとも3000万円に達すると証言したのだ。

週刊文春によれば、石破氏に関係する政治団体の政治資金収支報告書を過去20年にさかのぼって調べても、パーティー券購入者や寄付者として下根親子の名前が出てきたことは一度もないという。

約10年以上前のこととあって公訴時効が成立している可能性が高いが、貴弘氏の証言が事実なら、政治資金規正法違反に問われかねない金の動きだ。

これに石破首相は報道直後から疑惑を全面否定。5月12日の衆議院予算委員会でも、
「週刊誌報道にございますようなパーティー券の購入や寄付、実態に反する事務所等につきましては私自身全く覚えがございません。念のため秘書にも何度も確認をいたしましたがそのような事実はございません」

と言い切った。

「文春記事での証言は具体的ですが、時期が古いことと、金の流れを裏付ける証拠が示されていないことで石破さん側は強気ですね。石破さん側は完全に否定しているので、文春報道を後追いしているメディアも疑惑について両者の言い分は違っているというニュアンスが目立ちます」(政治部記者)

反社以上に反社の方との深い付き合いがある父を…

そこで貴弘氏は同日午後に国会内で記者会見を開き、自身の記憶を報道各社に直接説明した。場所は立憲民主党が用意した。

貴弘氏は冒頭で、「勇気と真心を持って真実を語る」という言葉を石破氏が好んで使っていることを挙げ、「今こそ本当に石破さんが自分の胸に手を当てて、この言葉通りに勇気と真心を持って真実を語ってほしいと思います」と強調。

「週刊文春さんが報じた内容は事実でございます。石破さんが嘘をついてるのか、私が嘘をついてるか、2択しかございません。下根が嘘をついてるということを、今日の午前中の予算委員会でもその前の委員会でも(石破氏が)答弁をしてます。私のプライドにかけてもここは徹底的に闘いたいと思います」

と述べて徹底抗戦の構えを見せた。

2014年以降は石破氏と距離を置いてきたという貴弘氏はなぜ今、告発を始めたのか。その背景には、父・弘氏との確執があるようだ。

週刊文春と貴弘氏の説明によると、東京・池袋に拠点を置く不動産会社の会長だった弘氏は2014年9月に、社長だった息子の貴弘氏を相手に東京地裁に訴訟を起こしている。会社経営に行き詰まった貴弘氏が会社資産を担保に借金の返済をしようとしたところ、父・弘氏が「息子は株主ではない」と訴えたという内容だ。

訴訟で貴弘氏は、会社経営が苦しくなったのは、政治家らのチケット(パーティー券など)を会社で大量に売りさばくよう会長の弘氏が命じたからだと主張。「チケットを完全に売りさばくのは無理で、売れ残りを会社の資金で買い取った。その都度、数百万円単位の赤字を負担させられてきた」との説明をしている。

そこで、石破氏については年間600万円分ものパーティー券を買い取っていた、との主張が続くのだ。

会見で貴弘氏は「パーティー券の購入に関しましては、確かにその(1枚2万円の券を)300枚という、1番多い時で300枚、これが2回、3回あったと思います」と発言。

こうしたことが積み重なった末、父と決別し、その旨を石破氏に電話で伝えたのだという。 その時石破氏は、父子のどちらにもつくつもりはないとの趣旨の反応を見せたという。それから3カ月ほどたち、貴弘氏は石破氏に電話で、父との関係を切るよう促したという。

「『(石破)先生が総裁や上を目指すのであれば、父との関係は切った方がいいですよ』と(言いました)。父は反社ではないですけど、反社以上に反社の方との深い付き合いがある。そういう人とこれ以上付き合ったらよくないんじゃないんですか、ってお話ししたところ、(石破氏は)ちょっと怒り気味に『会長を切ることはできません』と。じゃあ、私を切るのかという思いで私もカーっとなって汚い言葉で言い合って、一方的に電話を切られました」(貴弘氏)

証人喚問でも私は出る覚悟はある

こうして石破氏と袂を分かった貴弘氏は、その後は石破氏がクリーンさを売り物にするのを見るたびに「私の中では本当にストレスというか、嫌な思いはしておりましたね」と話す。そして自分自身が現金を直接、石破氏に届けてきたと語った。

「最初は石破さんが総裁選に出た時に、選対事務所で100万円を渡し、それを石破さんは秘書に『これ、下根さんから預かったお金だ』と言って渡していました。別の時には羊かんの袋に入れて渡したこともあります。

父、弘は鳥取出身で、銅像が建てられています。

(2009年4月の)銅像の除幕式に当時農林水産大臣だった石破さんが来ましたが、その際私が封筒に入れた現金を渡しました。石破さんは“イヤイヤ”とか遠慮されることもなく、当然のことくらいの感じで秒で受け取るというか、すぐ受け取っておられましたね」(貴弘氏)

会見では記者団から、こうした証言を裏付ける物証が何かないかとの質問が相次いだ。これに貴弘氏は、「10年以上前のことなんで、探せばどっかにあるのかもしれませんけど、今現在は私の手元にはそういうものはございません」と回答。

しかし続けて「私自身が物的というか証拠だと思っております。参考人承知でも、偽証罪が問われる証人喚問でも私は出る覚悟はできております」と強調。「皆様の力をいただいて、(石破氏に)引導を渡してあげるのがいいんじゃないかな。私もそういう覚悟でここに来ております」と、一歩も引く気はない考えを示した。

低い支持率とトランプ関税への対応に頭を悩ませる石破首相。参院選を前に自分自身の足元で起きた問題の影響はいかに――。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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