
『マジカル頭脳パワー!!』『THE 夜もヒッパレ』『特上!天声慎吾』『全日本仮装大賞』『異人たちとの夏』『速報!歌の大辞テン』──平成のレジェンド番組が返ってくる。日本テレビが突如発表したこの戦略の意図とはなんだろうか。
「人生史上一番好きだった」
日本テレビが5月24日から4夜連続で放送する特番企画『大進化!レジェンド番組祭り』が、にわかに話題を呼んでいる。
90年代を代表するクイズ番組『マジカル頭脳パワー!!』では、MCに山里亮太と永井美奈子アナウンサーを迎え、かつての常連解答者である所ジョージや間寛平らが再集結。そこに、なにわ男子の大橋和也といった新世代の出演者も加わり、往年の空気を残しつつ最新のクイズに挑戦する。
また、1995~2002年に放送されていた音楽番組『THE 夜もヒッパレ』では、三宅裕司、中山秀征、赤坂泰彦といったおなじみの顔ぶれに、King & Princeの永瀬廉が新たに加わる。
そのほかの番組もおおむね、懐かしいオリジナルメンバーと現在人気の若手タレントを織り交ぜた構成となっている。
発表直後から、SNS上では早くも番組復活に喜びの声があふれている。
〈昔のバラエティ復活するのは大変めでたい!〉
〈人生史上一番好きだったマジカル頭脳パワーが完全再現で復活してくれるぽくて非常に嬉しい!〉
〈『マジカル頭脳パワー!!』の前回(2001年)の復活特番は、セットだけではなく、パネラー、クイズの内容と質まで極めてクオリティの高い復活特番だった。24年ぶりの復活特番は果たして…〉
〈マジカル頭脳パワーが復活してくれるだけで泣くほど嬉しいぞ。子ども時代、番組終わるの知らなかった状態でいつも通り楽しくみてたら、坂東さんが「来週は最終回で~す」って言ってショックで大泣きしたんやぞ!〉
なぜここにきて、日テレは30年近くも前の番組の復活を決めたのだろうか。
「テレビ局にとって、過去の人気番組は単なる“懐かしの遺産”ではありません。むしろ、それこそが局の“財産”です。最近では“リバイバルブーム”が広がっており、玩具業界でもかつて一世を風靡した『たまごっち』『ハイパーヨーヨー』『ベイブレード』『ファービー』といったおもちゃが相次いで復活しています。
アニメや漫画作品においても、名作のリメイクや数十年越しの続編が続々と制作されていますよね。
平成の番組は令和世代にも刺さる?
事実、2023年にフジテレビでは40年ぶりに『オールナイトフジ』が『オールナイトフジコ』として復活、2024年にテレビ朝日では16年ぶり『内村プロデュース』が一夜限りの復活、2025年はTBSで8年ぶりに『ザ・イロモネア』が復活した。
現在放送中のフジテレビ月9ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』も、11年ぶりの続編だ。
「過去の人気番組の復活は、一定の“信頼性”と“固定ファン層”が見込めるため、新規番組に比べてリスクが低い。とはいえ、守りの姿勢だけというわけではなく、今の若者、Z世代に刺さる“再構築”を意識しているように見えます。平成の人気番組に令和のタレントを組み込むことで、SNSなどでの拡散を意識しているのです」
近年では、TikTokやX、InstagramなどSNS上で、テレビ番組の“切り取り動画”がバズることも多い。特に昭和・平成のバラエティ番組の名場面などは、Z世代からは「逆に新しい」として注目を集めている。
「“若者のテレビ離れ”という言葉がよく言われていますが、実は“テレビ番組をテレビで見る”、“フル尺で見る”という機会が減っただけで、コンテンツそのものへの関心はむしろ広がっているという見方も局内にはあります。ただし、視聴率は下がり続けているのも事実。
関心はあるのに視聴につながらない。このギャップを、過去の人気番組を復活させることで埋めようとしているのではないでしょうか。たとえば、親世代が懐かしんでテレビを観ていたら、隣で子どもが気になって一緒に観る──そういう“お茶の間”のシーンを、もう一度つくりたいのだと思います」
“平成レジェンド番組”の復活は、そうした時代の視聴スタイルに合わせた戦略とも言えるだろう。懐かしさを求める大人世代と、新しさとして受け取るZ世代。
取材・文/集英社オンライン編集部