
「黒焦げの男性の霊と毎日一緒にお風呂に入っています」––––そう語るのは、事故物件に住み続けて10年以上、幽霊との“同居生活”を発信する心霊アイドル・りゅうあさん。霊を「友達」と語り、心霊現象すら愛おしむその暮らしぶりは、常識を軽く飛び越えていた。
物件内見時に「スーツ姿の青白い男性がにらんでいた」
心霊番組やホラーイベントなどで「心霊アイドル」として活躍するりゅうあさんは、2013年から事故物件に暮らし続け、自らの心霊体験をSNSやYouTubeで発信している。
彼女はこれまでに、人気テレビ番組「有吉反省会」や「ビートたけしの超常現象マル秘XファイルSP」「ニノさん」など、数多くのメディアに出演。“幽霊と同居するアイドル”として話題になっている。
“黒焦げの男性霊”との風呂生活や、“腕枕”をしてくる霊との同棲、夜な夜な走る小さな足音……。彼女が語る“日常”は、私たちの想像を遥かに超えていた。
そんな異空間での暮らしぶりとは、いったいどんなものなのか。彼女の住む都内某所の事故物件にて話を聞いた。
――りゅうあさんは、なぜ事故物件に住み続けているのでしょう?
りゅうあ(以下、同) 私、もともと霊感が強くて、小さい頃から霊が見えていたんです。そのせいか幽霊が好きで、“友達”って感覚なので怖いと感じないんです。
事故物件には、もともと住もうと思っていたわけではなくて、たまたま不動産屋さんにこの部屋を紹介されたんです。それで内見したとき、35歳くらいのスーツ姿の青白い男性がすごい目で私のことをにらんでいたんですよ。
そのとき、「この人と仲良くなれたら、自分がもっと成長できるかも」って思って、住み始めました。
――「成長」ですか……。その男性の霊は、今でも部屋に現れるんですか?
はい。私は「かずさん」って呼んでいて、もう相思相愛で付き合っていると思っています。最初はドアが勝手にバタバタ開閉する音がうるさくて眠れなかったり、夜中にラップ音が鳴ったりなどいろいろありましたが、今は仲良く暮らしています。
多いときには「11人の霊」と同居
――この部屋には、「かずさん」以外にも霊がいるんですか?
今は4人ですね。かずさんと、焼け死んでしまった黒焦げの50歳くらいの男性、10歳くらいのゆうきくん、あと時々現れる女性の霊。なぜか、みんなお風呂場やサンルームに集まってくるんです。
多いときは11人くらいの幽霊と一緒に暮らしていたんですけど、私の好きな神社のお札を家に置いた途端、少なくなっちゃいましたね。
ゆうきくんは、もともと近所の緑道で偶然見かけて。すごく昔に病気で亡くなったそうで、「お父さんとお母さんを捜している」って言っていたので、「じゃあ、うちにおいでよ」って私がナンパして連れて帰って来ました。
――黒焦げの男性とは、どんなふうに現れるんですか?
いつもお風呂にいて、シャワーヘッドの下にずっと立っています。恋愛感情はないようですが、女の人が好きみたいで……私の裸を見たいだけかも(笑)。
いっぽうで、かずさんは明らかに私のことを恋愛対象として見ていて、腕枕してきたり、キスしようとしてきたりします。
――えっ、怖くはないんですか?
全然! むしろ愛おしいです(笑)。ここにいる幽霊は悪さをするわけではないですし、一緒にいるとシェアハウスみたいで毎日楽しいですよ。
子どもの足音を聞いたあと、高熱で死にかける
――まったく理解ができませんが、そもそもこの部屋は“本当に事故物件”だったんですか?
入居したとき、不動産屋さんからは何も説明されませんでした。でも、家賃が4万5000円と都内では激安で、しかも定期借家で「半年間限定」という条件だったんです。
住み始めて半年後、管理会社から突然電話がかかってきて、開口一番「住んでいて、何か変わったことありませんか?」って。
何も前置きがなくてびっくりしましたけど、私は引っ越したくなかったので「何もありません」と嘘をついたんです。そしたら「本当にないですか?」って、もう一回聞かれて、「はい」って答えたら、「じゃあ、そのまま住んでいて大丈夫です」って。そこから普通の2年契約になりました(笑)。
でも、家賃はそのタイミングで6万円に上がっちゃったんですよね。それでも、このアパートの中ではこの部屋だけが一番安いままなんです。
――では、これまでこの部屋で起きた心霊現象ベスト3を教えてください。
3位は、寝ている間にスマホで勝手に写真が撮られていたことです。
私、寝るときスマホを自分の横に置いているんですけど、朝起きたら知らない写真が1枚だけ保存されていて。しかも、どう考えても膝立ちしないと撮れない角度なんですよ。だから「これ、かずさんが2ショット撮ろうとして間違えて外カメにしちゃったのでは……?」って(笑)。
2位は、動画を撮っただけのはずなのに、スマホに216枚のスクリーンショットが勝手に保存されていたことです。
YouTube用に今の部屋で心霊ドラマを撮ったことがあったのですが、そのときの撮影は動画だけだったんです。でも翌朝スマホ見たら、なぜか同じシーンばかり216枚も静止画が保存されていて。寝ぼけて触ったにしては多すぎるし、角度もバラバラ。
これ、おそらく“赤いトレンチコートを着たベリーショートの中年女性の霊”の仕業なんじゃないかと。彼女は当時ずっと部屋にいて、いつも怒っている感じだったから、「アンタの演技気に入らない」って抗議だったのかもしれません(笑)。
――これが勝手に保存されていたらゾッとしますね……。では、第1位は?
1位は、心霊現象がきっかけで死にかけて1週間入院したことです。
ある夜、3時ごろに寝ようと横になった瞬間、布団のまわりを子どもくらいの小さな足が裸足でペタペタと走り回る音が聞こえてきたんです。
翌朝、「なんか首がめっちゃ痛い」と思って鏡を見たら、首の左側に三角形のアザができていて、そこから高熱が出て、息ができなくなってしまったんです。
病院に行ったら「君、これ死ぬからすぐ入院して」と医者に言われました。そこから1週間入院しましたけど、検査しても原因不明で。コロナでもありませんでした。
――そんな命に関わるようなことも起こっているのに、引っ越したいとは思わないんですか?
今のところ引っ越しを考えたことはないですし、これからも幽霊たちと仲良く暮らしていきたいです。発信を続けて、人間にとって幽霊は必ずしも悪い存在ではないではない、ということを伝えていきたいです。
「生きている人間のほうがよっぽど怖いですよ」–––そう語るりゅうあさんの驚きの暮らしは、異界と地続きの“日常”だった……。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班