“疲れ目”を放置すると深刻な症状に発展も…医師が教える目を休めるための「20-20-20ルール」とは?
“疲れ目”を放置すると深刻な症状に発展も…医師が教える目を休めるための「20-20-20ルール」とは?

スマホの普及、日々のPCワークの影響で、いまやビジネスパーソンにとって最大の敵が「疲れ目」と「ドライアイ」ともいえる。深刻化する前に食い止める方法ないものか。

 

 

現役医師が書いた『休養ベスト100 科学的根拠に基づく戦略的に休むスキル』から抜粋・再構成して解説する。 

疲れ目の原因は毛様体筋の緊張

現代のビジネスパーソンにとって、デスクワークといえばPCが必要不可欠。出先でもスマホの画面とにらめっこしている場面が多くなっています。ずっと画面を見続けることで、「疲れ目」に悩んでいる人も多いことでしょう。ときどき作業の手を止めて目を休めるのがいいといわれますが、仕事に集中しているとなかなか実行できないものです。

人間の目は、レンズのような形をした水晶体を通してものを見ています。その水晶体の厚さを調整して、遠近のピントを合わせているのが毛様体筋という筋肉です。遠くを見るときには毛様体筋が緩んで水晶体が薄くなり、近くを見るときには毛様体筋が縮んで水晶体が厚くなります。

ですから、デスクワークでPC画面や書類などを長時間見ていると、毛様体筋は緊張が続いてしまいます。それが、疲れ目の最大の原因です。適度に遠くを見て緩ませることが何よりも大切です。

私がおすすめしているのは、「20-20-20ルール」です。これは、20分ごとに、20フィート(約6メートル)先を20秒間見るシンプルな方法です。

仕事に集中して忘れそうなときは、スマホのタイマーを20分ごとに鳴らすようにセットするといいかもしれません。

疲れ目対策には、作業環境の工夫も効果的です。暗い部屋で明るい画面を見ていると、視点を変えるたびに明暗の変化に対応しなければならず、目が疲れる原因になります。PC作業をするときは部屋の照明を十分に明るくしましょう。

疲れ目を甘く見ていると、眼精疲労に進行していく恐れがあります。眼精疲労では、目がかすむ、目や目の奥が痛む、まぶしい、充血するなどの症状が出てきます。なるべく早い段階で対策をとることが大切です。

もし眼精疲労になったら、PCやスマホの画面はなるべく見ないに越したことはありませんが、現代社会ではそうもいきません。適度な休息を取りながら、最低限にとどめることが大切です。

眼精疲労は自律神経と密接に関係しています。自律神経の不調が眼精疲労の原因になるだけでなく、逆に目の酷使によって自律神経のバランスが崩れ、不眠、動悸、頭痛、疲労感などの全身症状が現れることもあります。その結果、悪循環をもたらしてしまうのです。

そのほかの眼精疲労の原因としては、度の合わない眼鏡の使用、白内障や緑内障、ドライアイなどの病気のほか、更年期障害や感染症などもあります。

眼精疲労を解消するには、原因を特定してそれに対処することが不可欠です。眼鏡が合わない場合は作り直し、目の疾患があるときはそれを治療します。

日常生活では、過労や睡眠不足を避けてストレスの少ない生活を送りましょう。目の酷使が原因の場合、休養や睡眠に加えて、ストレッチでこりかたまった筋肉をほぐしたり、有酸素運動によって自律神経を整えたりすると効果が期待できます。

眼精疲労に特効薬はありませんが、最近では眼精疲労対策をうたった点眼薬や内服薬が市販されています。休養や運動と組み合わせて使用するとよいでしょう。

ドライアイにも注意

目の表面が乾くことで生じるドライアイは、疲れ目、目の痛みや不快感、眼精疲労、コンタクトレンズのトラブルなど、さまざまな症状をもたらします。

本来、涙は目の表面に均一に広がっており、そのおかげでものがよく見えるのと同時に、眼球の表面にある角膜を保護しています。しかし、何かの理由で涙の分泌に異常が起きるのがドライアイです。

ドライアイには3つのタイプがあり、解消の方法も異なっています。

・蒸発亢進型 涙の蒸発が進むタイプ
・涙液減少型 涙の量が少ないタイプ
・水濡れ性低下型 目の表面で水をはじきやすくなるタイプ

このうち、最もポピュラーなのが、涙の蒸発が進むタイプのドライアイで、デスクワークでPC画面を長い時間にわたって見ている人に現れる症状です。

PC画面を集中して見つめていると、まばたきの数は通常の3分の1程度まで減少します。

そのため、長時間のPC作業によって涙の蒸発が進み、ドライアイになってしまうのです。エアコンの使用による室内の乾燥も原因となります。

ドライアイになると角膜の表面に細かな傷がつきやすくなり、かすみ目の原因になったり、細菌やウイルスに感染しやすくなってしまいます。いったん角膜に傷がつくと、修復までに1週間ほどかかります。

このタイプのドライアイを防止するには、集中して作業しているときにも意識的にまばたきの回数を増やすことが大切です。加湿器で室内が乾燥しないようにしたり、エアコンの風が直接目に当たらないようにすることも効果的です。

目の痛みや不快感を緩和するために、市販の目薬を使っている人も多いでしょう。ただし、目薬をさし過ぎると、涙の量が減ってドライアイを悪化させることがあります。用法を必ず守ってください。涙と同じ成分で、刺激の少ない防腐剤無添加の目薬がおすすめです。

なかなか症状が緩和されないときは、眼科医に相談してください。ドライアイの治療には、タイプに合った点眼薬が使われます。

水分を補うものや、目の表面で水分を保持するもの、目の表面から水分を分泌させるものなどがあります。

ドライアイの3つのタイプのうち、2つまたは3つが同時に発生しているケースもあります。さらに悪化する前に医師に相談しましょう。

文/加藤浩晃 

休養ベスト100 科学的根拠に基づく戦略的に休むスキル

加藤 浩晃
“疲れ目”を放置すると深刻な症状に発展も…医師が教える目を休めるための「20-20-20ルール」とは?
休養ベスト100 科学的根拠に基づく戦略的に休むスキル
2025年6月13日1760円(税込)296ページISBN: 978-4296208074現役医師のベンチャー経営者が明かす、最短で疲れを抜く休息法を1冊に! 令和のビジネスパーソンに必要なのは、戦略的に休んで心身を整えるスキルです。長時間働けば評価される時代ではなくなり、限られた時間の中で効率よく成果をあげることが、何より求められています。 20代であれば、多少ムチャな働き方をしてもなんとかなるでしょう。しかし、30代、40代になると、上手に休むことで仕事のパフォーマンスを上げていかなければなりません。 ・疲れがたまり、朝に目が覚めても体が重い ・仕事に行くだけでも疲れてしまう ・休みの日にはごろごろしてばかりいる ・時間がないと食事は簡単に済ませてしまう こうした悩みを持つ人は、ぜひ本書で紹介する「休養」を実践してみてください。 現役医師が自ら実践し、そして多くの経営者やビジネスパーソンが試して効果を実感した休養を、余すことなく紹介します。
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