
過去の不倫報道について追及を受ける2時間半の会見に臨んだものの、世論の反発を受け、国民民主の公認が見送りになった山尾志桜里氏。参院選の公示直前、東京選挙区(定数6人+1人〈任期3年〉)において無所属で立候補することを表明した。
たもとを分かった国民民主への苦言も、聴衆は10人ほど
「残念ながら国民民主党から公認の取り消しを受けましたが、中道政治をあきらめることがどうしてもできませんでした」
3日、東京・吉祥寺での第一声で、山尾氏がまず触れたのが、国民民主からの公認内定取り消しと、「リベラルから穏健保守までを統率していくと結党メンバーで誓い合った国民民主党ですら、選挙を前にして右旋回から逃れられない」という古巣への苦言だった。
その後、「女性の天皇を認めるということを選挙で訴えたい」とも語り、男系男子による皇位継承を掲げる国民民主との主張の違いをみせた。
ただ、山尾氏の第一声に集まった聴衆はマスコミを除くと10人ほど。演説が始まっても足を止める人は少なかった。演説が終わると、山尾氏は立ち止まっている人に積極的に近寄って握手。馴染みの支援者とは「あ、久しぶり~」「暑い中ありがとね」とフランクに話し、サインにも応じるなどサービス精神旺盛だったが、かつて民進党政調会長に抜擢され、一時は幹事長起用も内定していた山尾氏にとっては寂しい第一声となった。
支援者からは「不倫の件はかわいそう」との声も、世間の目は厳しく
それでも、数年前から山尾氏を支援しているという女性は、「当時、不倫の件が出た時はかわいそうだと思いました。政治家の仕事とは別問題じゃないですか? 本当のことは本人しかわからないでしょうし。国民民主党から公認を取り消されて離れることになってもなお頑張り続けているので、今回も変わらず応援したいなと思います」と語る。
ただ、山尾氏の不倫報道や、その後の対応について世間の目は相変わらず厳しく、今回の選挙戦にも大きく影響しそうだ。
山尾氏が1日に無所属での出馬を表明した会見では、事前の案内で、
「いわゆる過去の私生活に関する報道については、すでに6月10日の会見において質問が尽きるまで回答を重ねており、また、関係者のプライバシー等の侵害につながりかねない新たな発言は行えない旨を含め、本人の考え方を示させていただいております。
と、不倫報道に関する質問を“シャットアウト”。会見では、
「関係者のプライバシーを傷つけかねない発言はしないというのが私のスタンス。そのスタンスを含め、有権者の皆様にご判断いただきたい」
との姿勢を示したが、いまだに山尾氏への批判はやまない。
消えかかっていた山尾騒動が再び 団子状態の東京選挙区では影響大
無所属で出馬を表明した会見では、「(国民民主への)怒りを込めた出馬というのは、まったくありません」と、自身の公認内定を取り消した国民民主への“リベンジ”は否定したが、『山尾騒動』をめぐって支持率が下落した古巣が、山尾氏の出馬によってさらにダメージを負う可能性はありそうだ。
野党議員は「組織票がなく、知名度はあっても世論から厳しい目が注がれている山尾氏の当選は厳しいのでは」と語る一方、山尾氏が定数6人+1人(任期3年)の枠を奪い合う激戦となっている東京選挙区に参戦したことの影響はあるとみる。
「国民民主は支持率が高かったときに強気に2人擁立を決めたが、『山尾騒動』のあおりを受け、2人の当選に黄信号が灯っている。そこに山尾氏が出馬すると当落線上のわずかな票を争う戦いの中で、2人の票が山尾氏に一定数削られるのでは」(野党議員)
さらに、「山尾氏の公認内定取り消しがあった直後の6月の都議選で、国民民主は9議席を獲得し、なんとか踏みとどまった印象でした。ですが山尾氏の出馬でまた“山尾騒動”が思い出されてしまうのも、国民民主にとっては頭が痛いでしょう」(全国紙政治部記者)との見方も。
無所属で出馬し、吹っ切れたように、人権外交や憲法などのテーマで持論を訴える山尾氏。自身の公認をめぐりピンチに陥った古巣がさらに厳しい状況に置かれた様子に、何を思うのだろうか。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班