
浜松市中央区千歳町のガールズバーで7月6日午前1時ごろ、ガールズバーの店長と従業員が特殊なナイフで刺殺されるという残忍な事件が起きた。山下市郎容疑者(41)は従業員に好意を一方的に寄せていたという。
「あいつうざいです」などとLINEのメッセージを送っていた
浜松市のガールズバーで6日、女性2人が殺害された事件。殺人の容疑で逮捕された山下市郎容疑者は、同店で働く従業員の伊藤凜さん(26)に好意をもっていたという。好意の暴走だったのか、山下容疑者は伊藤さんを特殊な刃物で殺害した。
社会部記者が語る。
「事件の背景は、痴情のもつれではないかと言われています。店の常連客だった山下容疑者が犯行に及ぶ数日前、伊藤さんが店長に『あいつ(山下容疑者)うざいです』などとLINEのメッセージを送っており、それをなんらかの方法で山下容疑者が知ったとされています。
伊藤さんは事件当日、山下容疑者の車に乗せられ、脅される形で事件現場になった店内に入店しました。事件当日の2日前から伊藤さんは音信不通となっており、山下容疑者に連れ回されていたとされています」
山下容疑者は浜松市から電車で東へ30分ほどのところにある隣の市に住んでおり、浜松駅周辺の飲み屋街に毎週通っていたという。
彼は浜松市内にある常連の店で“山ちゃん””いっちゃん”と呼ばれていた。ボトルを入れた飲食店の店長は、山下容疑者の様子をこう語る。
「りん(伊藤さんの源氏名)とも数回ですが、ウチに来られていました。時間が深夜帯なのでアフターだったのかな。
山ちゃんは『りん』と呼んでいて、りんは『山下』と呼び捨てだった。りんから山下さんへのあたりは強く、『山下全然飲んでないじゃん!』『飲んでなくない?!』などと煽りコールをしていた。嬉しそうに、山ちゃんは飲んでいました」
北口のタクシー乗り場のベンチで山ちゃんと…
2人の関係性は店長が言うように“友達”に見えたものの、山下容疑者の思いは異なったようだ。
「山ちゃんは、りんに恋愛感情があったのかなと思ったことはある。店に来て酔い出すと、最初にいつもりんへ電話する。何回もかけて電話に出ないと『なんで出ねえんだよ』と笑いながらキレ始めるんですよ。気になっているのかなと思った。
あと一度だけ、『(電話に出ないから)包丁を持ってこい』と笑いながら、冗談半分のような感じで言われたことがあります。そのときは本気で言ってないと思ったから、聞き流していた」
店外では伊藤さんと親しげな様子も見られたという。
「一年前くらいかな。浜松駅北口のタクシー乗り場のベンチで、山ちゃんと、とても親しそうにしていたりんを目撃しています。最初は思わず『何やってんの』と聞いたら照れくさそうにはぐらかしていた。
別日でも同じように仲がよさそうな二人をみかけたので、気まずくて、ほかのタクシー乗り場へ行きました。ただ、りんの方に恋愛感情はないのは、お店にいる時の2人の様子から明らかだったのであくまで営業だったとは思いますが……」
伊藤さんはあくまで仕事上の“つきあい”をしてるように見えたという。
店長によれば、山下容疑者が会計をするとき、伊藤さんが勤めていたガールズバーの領収書が複数枚、山下容疑者の財布から落ちたことがあった。それぞれの領収書に記載されている額は2万円前後だったという。
#3でも詳報したように、山下容疑者は嫌なことがあると、『んだてめえ。喧嘩売ってんの?』と初対面の人にもキレ始めて、オラついていたという。こうした山下容疑者の態度は、この店でも垣間見られた。
「一度、山ちゃんを出禁にしましたから。イラついていたのかわからないけど、椅子を蹴っ飛ばし始めたから。いつかは具体的には覚えていないです。今年だったような気もする。それだけではなく、いろんなことがチリと積もったからです。
うちの女の子で、ある一人にだけに山ちゃんは、あたりがめっちゃ強かった。ウチではジムビームのハイボールを好んで飲んでました。でもボトルがないとき、なんで俺の酒を用意してないんだよと怒鳴り声をあげたりもしていて。
その子が、『山下がいるなら働きたくない』と相談を受けて、ウチはキャスト(その子)をとっただけです。でもその後、その子も店を辞めてしまい、もう二度としないと約束したので今年の4月ごろに出禁を解除した」
母と姉から「あまり関わりたくない」
山下容疑者は過去に“逮捕歴”があり、職場をクビになっている。過去の報道によると、23年4月、山下容疑者は、道交法違反(酒気帯び運転、安全運転義務違反)の疑いで逮捕された。
午前2時半ごろ、浜松市内で酒を飲んだ状態で乗用車を運転し、中央分離帯に衝突する事故を起こしたのだ。
事件の詳細を知る関係者によると、山下容疑者は罰金80万円を支払ったという。免許取り消し、または免許停止期間中は、約25キロメートルも離れている隣の市からどうやって飲みに来ていたのだろうか。前出の店長が語る。
「ウチに来るときは、車か電車です。車の場合は、自身の姉の旦那さんを呼んでいて、『おごるから』と送り迎えをさせていた。
聞くと、『母と姉からあまり関わりたくないと言われている』と笑いながら話をしていた」
次の記事では、山下容疑者がトラブルで家族に“縁を切られていた”こと、そして少年時代に起こした事件や、20代前半には残忍な暴行事件に関わっていたことを詳報する。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班