「記憶を飛ばして酒うつになることもある」超ポジティブギャル芸人・エルフ荒川の苦悩…みちょぱ、ゆうちゃみの逆をいく“反骨精神”の源とは
「記憶を飛ばして酒うつになることもある」超ポジティブギャル芸人・エルフ荒川の苦悩…みちょぱ、ゆうちゃみの逆をいく“反骨精神”の源とは

ギャル芸人として大ブレイク中のお笑いコンビ「エルフ」の荒川が、初のフォトエッセイ『人間合格』を刊行した。あまりのポジティブさに“逆太宰治”の異名を取る彼女だが、 “ギャル論”について話を聞いていると、意外とマジメで体育会系な一面が明らかに……⁉

ぱーてぃーちゃんは意識はするけど…

――先日、都内で行なわれた出版記念のサイン本お渡し会イベントではチケットが即完売、追加分もソールドアウトと、荒川さんの勢いがスゴイですね!

荒川(以下、同) アゲですね、完全にアゲです!

――“ギャル芸人”というジャンルを確立した荒川さんですが、いつからギャルなんですか?

マインドは生まれたときからですよ!

でも、NSCを卒業して3年目くらいまでは見た目はギャル系でも言動はフツーな感じ。

「面白い」と「カワイイ」を両立したいけど、どうしたらいいかわからず、めっちゃスベってましたね。

――今のようなギャル全開のノリは封印していたと。

メイクしないで人前に立つのは絶対イヤだったし、カワイイことはしたかった。でも女のコっぽくいることは、笑いで勝負してる他の芸人にもお客さんにも失礼やと思ってたんです。

それが3年目のあるライブで、いつもどおりギャルっぽくしゃべってみたら少しウケて。

それからメイクもノリも突き抜けてギャルをやっていったら、たまたま誰もやってなくてオンリーワンになれたって感じです。

――ギャル芸人といえば、「ぱーてぃーちゃん」の信子さんや金子きょんちぃさんもいますが、意識はする?

もちろんしてますけど、ネガティブな意識じゃないですよ。それに私はギャルマニアでもあるので芸人に限らず、モデルさんやインフルエンサーさんとか海外を含めた全ギャルを意識してます。

その子たちをいいライバルとするならば、その中で自分ができることは芸人としてネタをがんばること。私は、芸人がギャルをやっているのではなく、ギャルが芸人をやっているという感覚なんです。

でも、吉本芸人は賞レースにすごくシビア。私も芸人と名乗るからには「(面白いネタは)ギャルだからできない」とは言いたくないって思ってます!

――ギャルなのに意外とマジメ!(笑)

そりゃ28歳でもうアラサーですから(笑)。芸人の中では妹的存在だけど、ギャル界ではかなりお姉さん、お姉ギャルです!

ポジティブに見えて「酒うつにはしょっちゅうなります」

――荒川さんから見た、ギャルの魅力っていったい何なんでしょう?

一概にポジティブなわけじゃなくて、泣くときは泣くし全力で素直なところ。全部さらけ出して突っ走ってるってよくないですか?

――う~ん、ちょっとわかりませんが……(苦笑)。

浜崎あゆみさんの曲だって、自分の恋愛について楽しいことばかりじゃなくてつらい部分も赤裸々に歌ってて、それが世のギャルたちに刺さったんです。

だから私も嘘偽りなく生きたい!

――どこまでもポジティブに見える荒川さんですが、ネガティブな一面もあるんですか?

めっちゃありますよ! 私お酒が大好きですけど、しょっちゅう記憶を飛ばして酒うつになりますから。

――それも意外です。

舞台と違って、先輩芸人と飲むときは礼儀として「ウェーイ♪」っていう地元のギャルモードは絶対出さんて決めてるんです。でも飲み過ぎるとついつい出てしまい……。

この前芸人仲間で沖縄へ行ったときも、「紅しょうが」の稲田(美紀)さんにパリピモードで絡んじゃってたらしくて、「あんたってホンマにギャルやったんやな」と……。そのときは「あかんわ、もう消えてやろうかな」ってなりました。

――稲田さんは気にしてないと思いますけど、荒川さんは礼儀に関しては体育会系並に気をつかってるんですね。

小中学生で空手をやってたり、親が厳しかったりしたのもあるかも! その反動でギャルになった、みたいな。

――ちなみに、芸能界のギャルって「みちょぱ」とか「ゆうちゃみ」みたいな名前が多いなかで、どうしてストレートに「荒川」なんですか?

「荒川」って名前はギャルからしたら逆にトガってるんですよ。

きゃりーぱみゅぱみゅさんだって世間的には変わってるけど、ギャル的にはフツー。私は軸足がギャルなので、ギャルの中で逆を行きたいって思ったのかも。

ホントは「マミークリスマス」って芸名にしたかったんですけどね。

――それはなぜ?

お母さんとクリスマスが好きだから。でも画数が終わってるらしいからやめました。「荒川」の画数がいいかは知らんけど(笑)。

“ハチマキギャル”を確立させたい

――荒川さんの将来の野望は?

圧倒的な人になりたい!

――圧倒的……?

芸能界って何かの分野で圧倒的な人ばかりじゃないですか。だから、自分も圧倒的にテレビに出たり、圧倒的に(SNSの)フォロワーがいたり、何かで圧倒的になりたいです。とにかく死ぬほど売れたい!

――いまやインフルエンサーとしてかなり圧倒的な存在なのでは。

そんなことないですけど、でも他の方に負けたくない気持ちはたしかにあります。自分より上の人がいるなら、芸人でもインフルエンサーでも勝てるように食らいついていきたいって感じ。

――ギャルって気張らず生きているイメージが何となくありますが、荒川さんはけっこうガツガツしてますね。

大阪の私の育ったところ(和泉市)らへんは、「立ち上がれ! 前を向け!」って感じの気合い入ってるギャルが多かったからですかね。

私はこういうギラギラしたギャルを“ハチマキギャル”と呼ぶことにしました!

――対称的な2つの単語の組み合わせですね(笑)。

8月には代々木体育館で芸人を集めてドッヂボール大会(「エルフpresents 真夏のぶちアゲ運動会~本気でドッジボールします~」)があるんで、そこでガチでやってハチマキギャルの気合いを見せつけます!

――そのネイルはどうするんですか⁉

どうしよっかなー。取ったほうが安全だけど、ボールを受けて割れるのも面白いかも!(笑)お客さんが楽しんでくれるなら、いくらだって体を張れちゃうから!

――ハチマキギャル、恐るべし……。

取材・文/武松佑季
撮影/河村正和

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