
浜松市内のガールズバーで女性2人が刺され、店の常連客だった山下市郎容疑者が殺人の容疑で逮捕された事件から1週間が経った。11日には殺された女性1人の通夜が市内で行われた。
通夜には多くの人が参列し…
6日の未明、静岡県浜松市内のガールズバーで店長の竹内朋香さん(27)と店員の伊藤凜さん(26)が刃物で刺されて死亡した事件。11日に竹内さんの通夜が市内で行われた。
通夜には多くの人たちが駆けつけ、竹内さんとの最後の別れを惜しんだ。竹内さんの知人が重い口を開く。
「竹内さんのお通夜には、同業者のかただったり友達だったり50人以上のかたがご焼香の列に並んでいました。彼女の旦那さんと長く話す時間はありませんでしたが、無理して気丈に振る舞っているのは一目瞭然でした。
横たえられた彼女の姿を見て、友達の女の子はショックを受けて涙を流していましたし、彼女のご両親もひどく憔悴されて立っていられないのか無表情で椅子に腰掛けていました。
これまで彼女が夜働きに出ていたとき、こどもの面倒は旦那さんが見ているなど、2人で協力して子育てをしていたので、今後を思うと心苦しい気持ちになりました。あらためて事件に対してやるせない思いになりましたし、私もできることがあれば旦那さんに協力したいと思っています」
竹内さんと従業員の伊藤さんの人生を奪ったのは、殺人の容疑で逮捕された山下市郎容疑者。具体的な犯行の動機については話していないものの、事件の前に「あいつ(山下容疑者)うざいです」といった伊藤さんと竹内さんとの間で交わされたメッセージを、何らかの方法で見たことで“逆上”し犯行に及んだ可能性がある。
これまで集英社オンラインでは、山下容疑者の“過去”について詳報してきた。
さらに、山下容疑者の別の知人が「弱い者にだけとことん強い」という“ヘタレ”っぷりを新たに証言した。
「山へさらってバラバラにするからな」「払えねえならエンコつめろ」
「僕は一時期、山下から金をせびられていました。払わないと『エンコ(指)つめろ』って脅されて…」。そう2年前の“事件”を証言するのは山下容疑者のかつての飲み仲間だったAさんだ。
「山下との出会いは3年くらい前くらいかな。飲み屋で連れが山下と知り合い、一緒に飲むようになった。よく近所の川などでBBQもしていた。そして一年後、俺が無職のときがあって、生活が苦しく、10万円を借りた。
山下は『元金だけでいいよ』と言ってくれていたのに、後で『2倍の利子で払え』といきなり言ってきたんです。10万はもちろん返金しましたがその後も『倍の利子はちゃんと払え』『払わないとさらって(身体を)バラバラにするからな』などと脅されました」
怖くなったAさんは当時、浜松西警察署へ一度相談もしたが「それは民事だから」と言われ、相手にされなかった。Aさんがその後を語る。
「後に他の人にも同様のヤミ金のような手口をしていたことがわかりました。
山下はおまわりさんがきたら急に態度を変え、『身内のじゃれあいだから』などと説明していた。そしておまわりさんが帰ると『警察に相談したとか、お前ビビりだな』と吐き捨てるように言われた」
恐怖を感じたAさんは先輩のBさんに相談し、山下容疑者との間に入ってもらったという。Bさんが当時を証言する。
「確かに仲裁に入った。山下は元ヤクザで昔悪さをしていたなどと、周りに言いふらしているらしいから、本当だったら構えなければいけないから、俺も調べたわけ。そしたらあいつはどこの組にも所属していなかった。
てか、不良で名前が通ってるわけでもなくて、誰に聞いても山下なんて知らなかったんだ。それで山下に後輩づてで連絡を入れて、『3人で話そうよ』と提案しても、リスケを何度もされた。
たまたまある日、3ヶ月くらいたったあとかな、俺が浜松市内で飲んでいたら、友達から『山下が店で飲んでるよ』と連絡が入り、山下がいる店に行って、話をつけに行ったんだよ。
窓をトントンとして「お前、うるせよ」と怒鳴っていたり
Aさんはその後、山下容疑者と縁を切ったという。山下容疑者の人柄についてこう振り返る。
「俺は金を借りていた身であれですけど、とにかくお金への執着がすごい人だった。一緒にキャバクラやガールズバーへ行くと、『これ飲んでいないから払わない』『お前が勝手に飲んだのだから払え』などとよく言ってきた。
あと彼はやたら自分がどう周囲から見られているか気にしていて、僕が金のことで友人に相談してたのを知ると『陰口言うんじゃねえ』って30分説教された。小さいヤツなんです。
これは縁切った後の話なんですけど、友達が山下の車で一度BBQへ行ったときに、車内のカーペットが靴の裏についた土で汚れたと言われて、その場にいた3~4人くらいから1人3000円ずつ徴収をしていたそう。友達はドン引きしていました」
「上には媚びて、下には徹底的にオラつく人」…そう山下容疑者の印象を話すAさんは、こんな“小物エピソード”も証言した。
「スポーツカーとかでマフラーをふかしてうるさいヤツらっているじゃないですか。運転手のガタイがそこまで良くない人だと、窓をトントンとして『お前、うるせよ』と怒鳴ったりした。戻ってくると、『やってやったぜ』のドヤ顔がすごかった」
事件後、山下容疑者は店の関係者に「小馬鹿にされた」と話している。一方的に好意をもった女性に相手にされず、背後から女性に突然襲い襲い掛かった“ヘタレの刺青男”は、事件から一週間後の今、何を思うのか。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班