
和歌山市の自宅アパートで2歳の長女に食事を与えないなどの虐待の末、必要な治療を受けさせずに死亡させたとして保護責任者遺棄致死容疑で逮捕された平晴流(26)と妻の菜々美(26)両容疑者が、4ヶ月健診を最後に長女に乳幼児健診を受けさせていなかったことがわかった。夫婦は「虐待がバレると思って病院に連れていかなかった」と容疑を認めており、和歌山県警は虐待行為を強めていった経緯などを追及している。
児相が菜々美容疑者に電話しても出なくなった
社会部デスクがこう解説する。
「夫婦には4歳になる長男がいて、菜々美容疑者は2023年3月に妹で長女の流菜ちゃんを出産していますが、同9月の生後4ヶ月健診以降は乳幼児健診を受けていません。
このため和歌山市の母子保健担当者が2024年3月に自宅を訪問して母子に面会しています。しかし、この際には健康状態に異常は確認できず、生育状況にも問題はなかったようです。
しかし、今年になってからは担当者が菜々美容疑者に電話しても出なくなった。4人が暮らしていたアパートでも平夫婦が長男を連れて出かける姿などは住民が頻繁に見かけていたものの、流菜ちゃんに関しては存在を知らない住民がほとんどでした。
虐待は昨年の秋ごろからはじまったようで流菜ちゃんは7月10日に搬送先の病院で死亡が確認されたとき、2歳児の標準体重の半分程度の体重しかなく、県警は死亡に至るまでの育児放棄の流れの裏付けを急いでいます」
夫妻の親族や知人によると、2人は小学校時代からの幼なじみ。2人の同級生の保護者は取材にこう証言した。
「ウチの子は菜々美ちゃんとは昔から仲が良かったからね。ハルくんも知ってるしさ。だからニュースを見た時は最初、『えー!』ってとにかく驚いた。2人とも事件を起こすような子じゃなかったから。
中学はクラスが少なくて、みんな仲良しって感じの学校で、ハルくんはどちらかというとヤンチャな子。
YouTubeのことも当時話題になっていて、中学の先生から聞きましたよ。ウチにも一度遊びに来たことあるけど『お邪魔します』とか挨拶はしっかりできたし、帰り際に『ジュースでも持っていきな』って渡すとちゃんと『ありがとうございます』と丁寧にお礼も言ってくれた」
「おとなしく、普通の家族でしたよ」
菜々美容疑者も礼儀正しいタイプだったという。
「10代の頃は菜々美ちゃんはウチにちょこちょこ遊びにきてたからよく知ってますよ。いつも礼儀正しく挨拶する本当にいい子。真面目だししっかりもしている。だから事件の事が本当に残念でならない。誰か手を差し伸べられなかったのかなって。
ハルくんと結婚したことは何となく聞いてたんだけど、最初は『えらい近くで結婚したんだな』って思ったくらいでしたね。いつから付き合ってたのかは知らないけど、結婚したのはハタチくらいのころじゃなかったかな。
3、4年前にファミレスで菜々美ちゃんとバッタリ会ってね。
本当こんなことになるなんてね。きっと何か事情があったのだと思う。もちろん一番かわいそうなのは亡くなった子なんだけど……。ウチの子どももはっきり口には出さないですが2人と同級生だったし仲良い子たちだったからショックを受けています」
8年前から晴流容疑者が通っていたという飲食店の店主も、意外そうにこう語った。
「初めて来た頃はまだ高校生くらいでしたよ。それ以来、お母さんと兄弟と家族でたまに食事に来ていました。平容疑者の印象としてはおとなしい感じで口数も少なく、あまり会話した記憶もないですね。
ウチに来るのも頻繁というわけではなく、たまに来るぐらいの感じでしたし。そのうちに奥さんと来るようになって、お子さんも連れてくるようになったって感じです。
お子さんはお兄ちゃんも下の子も両方連れてきていましたが、夫婦ともに怒ったりとかするのは見たことないですね。平容疑者とお母さんと奥さんという組み合わせで食べに来ることもありましたね。いずれにせよ、どちらかというとおとなしく普通の家族でしたよ」
幼なじみの夫婦が起こした壮絶な虐待事件。今年12月に第三子の出産を控えている菜々美容疑者と晴流容疑者は「虐待が疑われるかもしれないので病院に連れて行かなかった」などと供述しているという。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班