アニメ『ドラゴンボール超』が留まることを知りません。
現在放送されている「宇宙サバイバル編」では、全宇宙の神の王“全王”が主催する色んな宇宙の代表選手対抗の「力の大会」なる武道大会が開催されています。


筆者含め、90年代に少年時代を過ごした男性にとって『ドラゴンボール』という作品は、個人の趣味・嗜好を超えた一般常識でした。主要キャラの顔と名前が一致して当たり前だったし、水曜日に放送されていたアニメも観ていて当然。でなければ、クラスメートとの話題に付いていけなかったものです。

1995年に原作が終了している以上、ドラゴンボールのストーリーに関しては少年期に知り得た情報がすべてであり、このまま同世代の共通言語であり続けるかと思われました。
しかし、いつの間にか続編がスタートし、気が付いたときにはとんでもない超進化を見せているというこの現状に、戸惑うオールドファンはきっと多いに違いありません。

さて、ドラゴンボールにおけるアニメオリジナルの続編として思い出されるのが、1996年2月7日から1997年11月19日にかけて放送された『ドラゴンボールGT』です。
放送開始当初は、原作が終わった喪失感を癒してくれる作品として、ファンから大いに期待されたものです。

とてつもない人気だったドラゴンボール


コミックスの発行部数は全世界累計2億5000万部、アニメの視聴率は平均20%超え、ドラゴンボールカードダスは20億枚以上販売……。言うまでもなく、ドラゴンボールは空前絶後のドル箱コンテンツです。
鳥山先生にはできることなら、人気がなくなるまで半永久的にドラゴンボールを書き続けてもらいたい……。それが、関係者各位の本音であったことでしょう。

このような事情もあって、アニメシリーズが放送されていたフジテレビ・水曜夜7時のゴールデンタイム枠では、テレビ局・スポンサーたっての希望により、ドラゴンボールの新シリーズが開始されることになります。それが『ドラゴンボールGT』です。


“GT”の意味は?


GTとは「Grand Touring」の略であり、物語は原作最終話のアフターストーリー。「究極のドラゴンボール」により、子どもの姿となってしまった悟空が、孫のパンとベジータの息子・トランクスと共に、宇宙に散ったそのドラゴンボールを探しに旅へ出るという内容になっていました。
なお、鳥山明は主要キャラのデザインと簡単なプロットチェックを務めた程度で、ほとんど本作にノータッチだったといいます。

最終回の評判は良かったが……


序盤こそスターウォーズのようなSFオペラの様相を呈し、期待感いっぱいにスタートした本作でしたが、その展開もしばらくすると頭打ちに。後半に入ると、地球を舞台とした激しくクドイパワーインフレとマンネリ気味なバトルの連続に終始したため、全編を通しての評判は、決して芳しいものではありませんでした。

後に「“GT”というのは、“ごめんね鳥山先生”の略だ」などという都市伝説が語られるようになったのも、否定的見解が多く、黒歴史扱いされていることに由来していると考えて間違いないでしょう。

しかし、唯一万人に高評価されたのが最終回。
これまでのドラゴンボールの歴史の重みを感じさせるような、とっておきの一話になっており、ファンの涙を誘ったのです。このラスト一話のおかげで、かろうじてGTは評価されているといっても過言ではありません。

あれから20年。GTの反省を活かしてなのか、ガッツリと鳥山先生に監修を任せている『ドラゴンボール超』は今後どんな展開を見せ、そして、どんなラストを迎えるのか……。注目していきたいところです。
(こじへい)

※文中の画像はamazonよりDRAGON BALL GT #4 [DVD]