ウン十万円もする「盆栽」は誰が買うのか
で、これがウチの“盆栽”。ごぞんじ『マン盆栽』のおもちゃです。これを買う人が、錦鯉を飼っているかどうかは知りません。
「盆栽」もいまや、ネットで1,000円くらいからでも買える時代。
それでも、依然としてウン十万円もする盆栽もある。
芸術などと同じで、「わかる人にはわかる」世界なのだろうけど、いったい「わかる人」はどこにいるのか。どんな人たちが買っているのか。

そんな疑問を某専門誌の記者Aさんにぶつけたところ、こんな意外な話を聞いた。
「何十万円もするような盆栽を買うのは、100人ぐらいの固定の“上得意”の人たちだけなんですよ。完全に顧客リストの人たちの間で動いている商品です」
その、顧客リストにのっている“上得意”はどんな人たちなのか、と聞くと、
「ある特定の場所を狙って営業するんです。どこかわかります? 」
と、もったいつけた口調で言う。お金持ちの集まりそうな場所……。あ、また、ITの人たちが夜な夜な集うという「異業種交流会」とかですか? でも、ITと盆栽、ぜんぜん似合わねー!
そんな私の妄想をよそに、Aさんは言った。
「錦鯉の品評会ですよ」
錦鯉!? 盆栽と同じで、なんとなく裕福そうなイメージはあるけど、それにしても錦鯉ですか?
「錦鯉品評会に来る人は、錦鯉を飼っている場合が多い→錦鯉がいれば、庭や池がある→庭や池があれば、盆栽がある、あるいは盆栽に興味がある、となるわけですよ」
なるほど。

でも、そんなにカモネギみたいに、うまくいくもんかなぁ? と疑問に思っていると、Aさんはキッパリ言った。
「そんな単純なもんかと思うでしょ? それが案外、単純なんです」
(田幸和歌子)
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