動物も鼻血を出すのか
スコッティシュ・フォールドという種類で9カ月の猫ちゃん
「猫がクチャミといっしょに鼻血を出した」という話を先日友人に聞いた。
「えっ! 猫が鼻血!」とびっくりしたと同時に谷岡ヤスジの「鼻血ブー!」の漫画が頭に浮かんだ。

友人の猫はスコッティシュ・フォールドという種類で耳が折れていて鼻がちょこっとつぶれているタイプの猫。鼻の粘膜が弱いらしくたまに鼻血を出すとのことだった。以前、うちでも犬を飼っていたが鼻水は出しても鼻血は出したことがなかったので、動物が人間のように鼻血を出すということに思いが及ばなかった。

そこでさっそく専門家の方に「動物の鼻血」について問い合わせをしてみた。まずは犬や猫をはじめ小鳥やウサギなど小動物を扱う福生動物病院で話をうかがった。
「健康であれば、ほとんど鼻血は出しません。
猫では鼻が扁平な種類で鼻粘膜が若干弱いというのはありますが、種類によって鼻血を出しやすいというのはないと思いますよ。外傷性でない場合、腫瘍が原因ということもあるので、頻繁に出るとかその後元気がないとか心配であればきちんと検査をした方がいいかもしれませんね。でも鼻血を出しても猫ちゃんが元気であれば大丈夫かと思います」と阿部先生。

ちなみに、猫が鼻血を出した時は人間のように綿をつめたりしてはいけない。鼻腔が小さいので詰めたものが奥に入ってとれなくなる危険性もあるので、清潔なガーゼや布を当てがって止血するまでしっかり押さえておくのがよいそうだ。
また、猫と犬を比べると犬の方はほどんと鼻血を出さないとのこと。


では、野生の動物はどうなのか、やはり鼻血を出すのだろうか? 動物園にも聞いてみた。
いきなりの質問に「えっ鼻血ですか? そ、そうですねぇ」とちょっと脱力気味の声が返ってきた。
「全くないとは言えませんが……。ケンカをしたり顔面を強打したり、物理的な外傷があった場合にはやはり出ると思いますよ。でも、少なくとも私は見たことがありません。ゾウも鼻水は出しますからケガをすれば鼻血も出すでしょうね」と上野動物園の動物相談係の方。

多摩動物園に問い合わせると、「出します。鼻血というか、鼻出血ですね。鼻の構造は人間と同じですから鼻粘膜に損傷があったりすれば出ます」ときっぱり。

ケガや病気以外でも出すことがあるのかも聞いてみた。
サルとかヒトに近い種類では人間のように自分で鼻をほじって鼻血を出したり、のぼせて鼻血を出すということはあるのだろうか。
「サルが鼻をほじって鼻血を出したというのは見たことも聞いたこともないので分かりません。
が、サルの場合は出血などを自分ですぐに舐めて隠そうとするので、普段からよくサルを観察している研究者の方でないと、たとえあったとしても実際に確認するのは難しいと思いますよ。人間のように血をダラダラさせるというのはまずないと思います」

さらに長野県動物愛護センターにも聞いてみた。
「健康な状態であれば、ほとんど鼻血は出ません。病気によって粘膜が充血して出血しやすい状態になったりすればあり得ます。以前、ブタの鼻血は見たことはあります。サルが鼻をほじって鼻血を出したとしても、サルが鼻をいじるのには鼻腔内に炎症があるとか、刺激物があるとか他に直接の原因があると思いますね」と小山先生。


猫の鼻血から話がどんどんそれてしまったが、動物だって人間と同じ。病気にもなるし出血もする。鼻血だって同じこと。頻度が少ないからといって全くないということではない。その後友人の猫も元気とのことなので安心した。(こや)