「プチすいぼく」ってなに?
「プチすいぼく」というキャッチーなネーミングも魅力。<a href="http://item.excite.co.jp/detail/ASIN_4331512320/">「プチすいぼく―やさしい水墨画入門」</a>は税込1575円也
か、かわいい……。
どこか懐かしい味わいが感じられるクマ、犬、そしてプリンアラモードに車。


そんなイラストが表紙の「プチすいぼく―やさしい水墨画入門」(廣済堂出版)は、水墨画をやさしく教えてくれる入門書。

水墨画というと、山水や花鳥、風景などを描くのが主流で、正直なところ、個人的にちょっと地味で古くさいイメージを持っていたのだが、この本では、例えばスイーツや果物、小動物、花、乗り物などなど、ごく身近にあるものがモチーフとして紹介されている。しかもどれもかわいい。そんなわけで、自分でも描けるかもしれない、描いてみたいと思えるほど、すっかり水墨画のイメージが変わってしまった。

実は、この本のデザインを手がけているのは、知り合いのデザイナーであるS氏なのだが、「古くてだれも注目していない分野だから逆におもしろそう」と、カルチャーセンターで水墨画を習いはじめたのがきっかけで、小林東雲氏を著書に、S氏自らこの本を企画、提案して実現。タイトルの「プチすいぼく」という造語も考え出したのだそう。


ちなみに、そんなS氏が水墨画を習っているスクールには、6つぐらいのクラスがあり、ひとつのクラスに約7〜9人ほどの生徒がいるらしく、生徒といえば、やはり大半がおばあちゃんの世代。でも最近、大学生の男の子が一人入ったそうで、徐々に若い層にも広まりつつあるのかも? この本をきっかけに習いたいと思う人も増えるのではないだろうか。

ここのところ、「えんぴつで奥の細道」(ポプラ社)といった、えんぴつでなぞるシリーズ本が爆発的に売れているけれど、この「プチすいぼく」をみたとき、なんだか同じにおいを感じた。もちろん、「えんぴつで奥の細道」は、そのままえんぴつでなぞるのものなので、自分で描く水墨画とはまったく別かもしれないが、古き良き伝統的なものを、新たなかたちで提案しているからだろうか? もしかしたら「プチすいぼく」も大ヒットの予感?!

でも、シンプルなモノクロでの表現だからこそ、奥が深く難しそうな水墨画。S氏によると、「やはりけっこう難しいので、すぐ描けるというものではないけれど、『プチすいぼく』には比較的、簡単なモチーフも紹介されているので、がんばれば描けるようになるのでは」とのこと。

たしかに上手くなるには根気は必要だと思うけれど、「プチすいぼく」には、基本的テクニックから、さまざまな表現方法の実践的なテクニックがわかりやすく紹介されているので、マスターして、いつかすらすら〜っと、しかも今風のモチーフで水墨画が描けたらカッコいい! 上手になったら好きなキャラクターを描いてみたり、年賀状に生かしたり、可能性もいろいろと広がりそうだ。


古くて新しい水墨画=「プチすいぼく」、これから要注目です!
(田辺 香)