大人の飲みサークル(!?)「ムジン」って知ってる?
大河ドラマ『風林火山』の影響もあって観光客も増えている山梨。ムジンの言葉を知っていれば、山梨ツウ度は確実にアップ!
「今夜はムジンだよ」
「友達とムジンをやってるの。入らない?」
こんなセリフが理解できるあなたは、もしかして山梨県民では?

山梨県では、「知らない人はいない!」と言っても過言ではないほど、一般的な言葉である「ムジン」。
漢字で書くと「無尽」。ひとことでいえば、大学によくある飲みサークルの大人版。

山梨に長く住んでいれば、誰でもひとつやふたつ入っているもの、それが無尽。山梨出身の私にとっては、幼いころから慣れ親しんだワードだ。親が「無尽に行ってくるから」と出かけるのはしょっちゅうだったし、飲み屋では「無尽会、ご予約うけたまわります」などのポスターもよく見かけた。

もともと無尽とは、「一定の口数と給付金額を定め、加入者を集めて定期に掛け金を払い込ませ、抽選や入札により金品を給付すること」(三省堂提供「大辞林 第二版」より)という庶民のための金融システム。
その目的や形態は時代とともに形を変え、山梨以外をはじめ、全国のいくつかの地域にその風習が残っている。

知らない人にとっては、かなり未知の世界である「無尽」。そこで現在の山梨の無尽事情について、山梨在住の友人・知人に訊いてみた。まず無尽の定義については、
「特定のメンバーで定期的に集まって飲んだり食べたりすることを“無尽”と呼んでいる」
という人が圧倒的。なかでも若い人たちは、やはり飲みがメイン。一方、年輩の人のなかには、定期的な会合のほかに、毎月定額を積み立てて一年に一度旅行に行く「旅行無尽」などをしている人も多いという。


ほかにもユニークなところでは、
「月に一度、無尽で集まってボーリングをやっている」
なんて本当にサークル活動のような無尽をしている人もいれば、
「近所のスーパー銭湯でお風呂に入って、ゴハンを食べる」
といった近所の主婦の無尽ならではの内容も。メンバーは、会社や近所の人たちで行うことが多く、なかには友人同士で始める人もいるという。その大きさは大小さまざまだ。一人で3つも4つも無尽に入っていることもよくある話。

でもよく考えたら、こうしたことって「無尽」という名で呼んでいないだけで、みんなやっていることでは? とも思ったのだが、
「月1回など、定期的にそれなりの数のメンバーが集まるには、無尽がないと意外に面倒難しい」
という言葉に、なるほどと納得。確かに、毎月集まる日が決まっていたり、幹事が持ち回りになっていれば、だいぶ集まりやすいはずだ。


娯楽でもあり、人との縁をつなぐ好機でもある「無尽」。現代の忙しい暮らしのなかでは、それなりに便利なシステムかも。あなたも仲間と一緒にはじめてみませんか?
(古屋江美子)