夏休みで、家族で出かける機会も増える時期。
ところで、「公共の場で騒ぎ、走り回る子どもと、注意しない親」ということが、よくネット上などで話題になる。

こうした親の特徴として、よく挙げられるのは「ヤンママ集団」で、もちろん当てはまる例も多々あるが、誤解や偏見もあるということを、自分が親になると痛感することがある。
「行儀の悪い子ども」に関して、幼児~中学生を持つ親や、保育士などから挙げられたケースをいくつかご紹介したい。

■親同士の盛り上がりのほうがうるさい
子どもを走り回らせておいて、お母さんたちは知らん顔で自分たちの会話に夢中。決してヤンママばかりじゃなく、貫録あるベテランお母さん集団にも多く見られる傾向で、態度の大きさ・迫力に、店員もなかなか注意できない、注意しても流されたり、無視されたりするケースがある。

■子どもに怒鳴る親の声がいちばんうるさい
「オラァっ! うるせーんだよっ!」「迷惑だろっ!」などと公共の場で子どもにキレまくり、ときには手をあげる親もいるが、親の怒鳴り声のほうが余程うるさいことがある。また、ただ怒鳴り、子どもが泣き喚く→さらに怒鳴るという悪循環になりがち。


■物静かな年配夫婦のほうが注意しないケースも
高齢で子どもを授かった「目に入れても痛くない」溺愛状態の両親が、子どもが何をしても全く注意しないケースもある。また、子どもをあまり外に連れ出さず、家の中で過ごすことが多い子は、「公共の場」での行動に慣れていないため、ハイテンションになって騒いだり、窓のほうを向いて靴を脱がずに電車の椅子に座ったりしてしまうことも。

■父親が非協力的な家庭ではやりたい放題の子も
走りまわり、騒ぎまくる子どもを母親一人が必死で追いかけ、傍らで父親は目を向けず涼しい顔でビジネス書や趣味の本を読んでいるような家庭もある。

余談だが、我が家は夫婦で同業のため、子どもが幼い頃に保育園に預けられないときには、打ち合わせや取材を時間差で入れるようにして、ときには「駅で子守り交代」などの綱渡り状態になることもあった。
混雑する時間帯に電車やバスに乗らなければいけないことも多々あったが、蒸し暑く窮屈な車内は赤ちゃんにとって不快で、泣き出すようなこともあった。
そういった場合、「周りの迷惑にならないように」と、途中の駅でおりたり、ときには目的地よりだいぶ手前のバス停で降りて延々と歩いたりすることもあったが、そうした環境にあったためか、子どもは非常にラクな子に育ち、今は親をさまざまな場面で助けてくれている。

とはいえ、後になって思えば、子どもが泣き喚いたりするのは、育児においてわずかな期間。周りの目を気にしすぎて、神経質すぎたかも……という反省がないわけでもない。

周りに気を配り、迷惑をかけないことはもちろん大切だが、おおらかな気持ちで育児を楽しむこともお忘れなく。
(田幸和歌子)