秋は紅葉が楽しめるシーズン。色づいた葉っぱが敷きつめられた道も情緒がありますよね。
そんな落ち葉を自分で作るっていう考えもあるのか! と気付かされたのが、この11月に発売されたばかりの書籍「落ち葉切り紙」(Killigraph・著/誠文堂新光社・刊)。
160種類もの葉っぱのモチーフを収録! アイデア次第で用途も広がる「落ち葉切り紙」

著者のKilligraphこと瀬川卓司さんは、以前コネタでも紹介したことがあるけれど、これまでさまざまな切り絵を制作し、著者も多数。そんな瀬川さんの切り絵はこれまで人物や動物モチーフが多かったのだが、最新テーマが落ち葉とは、またユニーク。早速、本書について瀬川さんに取材することに。

――まず、「落ち葉切り紙」の本を企画した経緯を教えていただけますか?
企画自体は数年前に思いついたものです。落ち葉を切り紙にしたらかわいいんじゃないかと、少し温めていて。
それから誠文堂新光社に、まずはふせんを使った別の切り絵の企画を持ち込んだところ、そちらは通らなかったのですが、落ち葉の切り紙の話をしたら盛り上がったんです。そこから、自然の形をモチーフにすれば、何年たっても廃れず普遍的で、長く親しんでもらえる本になるのではないかという話になり、制作することになりました。

本書に収録されている葉っぱのモチーフは、いちょう、楓、けやき、白樺など、なんと160種類。単純に切り紙といっても、作り方もさまざま。まず紹介されているのが、紙をふたつに折ってハサミで切る最も簡単なバージョン。2つ折りのため、形は左右対称になるというもの。

160種類もの葉っぱのモチーフを収録! アイデア次第で用途も広がる「落ち葉切り紙」

瀬川さんいわく、数冊の図鑑をもとになるべく数多く収録できるように作ったそうだが、かえでの葉っぱひとつとっても、本当にたくさんの種類が! さらに、さまざまな色、質感の違う紙を使うことで、それぞれ違う風合いに。本書では紙の種類についても紹介されていて、かなり参考になる。また巻末にはコピーして使用できる型紙もついているので手軽に始められそう。それにしても、掲載されている切り紙の数がとても多くて驚くのだが、もちろん、すべて瀬川さんの手によるものだという。

――本書に掲載されている切り紙を全部作るのに一体、どれくらい時間がかかったのでしょう?
型紙は仕事の合間にちょっとずつ作りながら、半年ほどかかりました。実際、本格的に制作作業を始めて2カ月ほどで、アレンジアイテムなど本書の目玉になるアイテムも含め制作しました。
ただ葉っぱの切り紙はわりと簡単なので、サクサク作れましたね。特にこの2つ折りにしてハサミで切るタイプは、どんどん作れました。

簡単バージョン以外にも、リアルバージョンも紹介されているのだが、こちらはカッターやデザインナイフを使って、細かい葉っぱの形状まで再現。葉脈の筋を入れることで、さらにリアリティが出せるというもの。
160種類もの葉っぱのモチーフを収録! アイデア次第で用途も広がる「落ち葉切り紙」

また、本書では単純に切り絵を楽しむだけでなく、その切り絵を飾ったり、別のものとして使ったりと、数々のアイデアも紹介されている。
160種類もの葉っぱのモチーフを収録! アイデア次第で用途も広がる「落ち葉切り紙」

色違い、形違いの落ち葉切り絵をそのままコースターとして使うだけでも、こんなに可愛いなんて。
しかも右上のコースター、ちゃんとフェルトを使用しているので何度も使えるのがいい! 他にも、ガーランドやウォールステッカー、メッセージカードなど魅力的なものばかり。瀬川さんに聞いたところ、周りで特に評判がよかったのはモビールだそう。
160種類もの葉っぱのモチーフを収録! アイデア次第で用途も広がる「落ち葉切り紙」

たしかに、これもオシャレでかわいい! せっかくなので、誠文堂新光社で本書の編集を担当した、古池日香留さんにも聞いてみた。

――古池さんの周りで評判が良かったものは何ですか?
「リースがかわいい」という声を聞きました。クリスマスはもちろんですが、季節を問わず年間を通して飾れるところが魅力だと思います。あとはメッセージカードも好評で「気軽に作れるのに手が込んでいそうでいい」といってくれる人が多かったです。
ぜひ自分なりにアレンジして、いろいろな作品を作ってもらいたいです。
160種類もの葉っぱのモチーフを収録! アイデア次第で用途も広がる「落ち葉切り紙」

リースはこれからの時期にぴったりだし、色合いや形を自分なりに変えてみる楽しみもありそう。

――瀬川さんはこれまで人型を中心にさまざまな切り絵や切り紙をされていますが、今回、今までとの違いを感じたり、新しい発見などはありましたか?
ハサミで簡単にサクサクできるのは、ふせんの切り絵より無心になって作れますね。切り絵に色をつけるというのも今回初めてやったことなのですが、これが結構楽しいです。スタンプ用のインクをペタペタして色をつけるのも、虫食いの穴を、線香を使って空けるのも楽しいですね。
160種類もの葉っぱのモチーフを収録! アイデア次第で用途も広がる「落ち葉切り紙」

既にかなり盛りだくさんの内容だが、最後に、紙や切り方を変えて作るアレンジバージョンの紹介もあり。
こんなふうに緑色の常緑種の葉っぱも新鮮。
160種類もの葉っぱのモチーフを収録! アイデア次第で用途も広がる「落ち葉切り紙」

葉脈部分だけを残して切った、レースのように繊細な葉脈切り絵は、難易度が高そうだけれど印象的。この葉脈切り絵を使って、ステンシルでペイントする方法も!
160種類もの葉っぱのモチーフを収録! アイデア次第で用途も広がる「落ち葉切り紙」

それにしても、落ち葉というモチーフひとつで、こんなに幅広く楽しめるとは!本書は眺めているだけでもきれいで楽しいけれど、まずは簡単バージョンから挑戦してみようかな。
(田辺 香)