毛先が球状の歯ブラシが流行った時代があった。
1987年に、ヘアブラシを応用して誕生したというこの商品。
歯ぐきを傷つけずに刺激でき、歯垢を引っ掛けて掻き出せるとして、またたく間にヒットした。
あれから約20年、主流は「極細毛」に変わってきている。その先駆者ともいえるのが、93年に独自の加工技術で生まれた商品“デンターシステマライオンハブラシ”。今、各メーカー形状は違えど、“極細”を売りにしている商品は多い。

移り変わる歯ブラシの毛先。デンターシステマなどの歯ブラシを開発しているライオン株式会社の、財団法人ライオン歯科衛生研究所に、極細毛が多い理由を伺った。
「歯周病の予防と改善には、歯周ポケットのプラークの除去が必須です。歯みがきの指導では、歯ブラシを45度の角度で当ててみがく方法が指導されていますが、実際のところ、上手く歯ブラシを当てられる方ばかりではないかと思います。そこで45度に傾けなくても歯周ポケットに毛先が入り込めるよう、超極細毛のデンターシステマを開発しました。つまり極細毛を使うことで、簡単に歯周ポケットのプラークを除去できるようにしたんです」

本当に正しい歯みがきをしようとしたら、それなりの技術と神経が必要になる。45度に傾けてみがく、巧みな歯ブラシコントロール。それが極細毛だったら、垂直に毛を当てれば、うまいことみがけちゃうってわけだ。


むし歯を持つ子どもは、昔よりも減っているとされる。親の意識が向上したことや、歯みがき剤にフッ素が入るようになったことが大きな理由。ライオンによると、歯みがき剤のシェアの88.6%<2007年年間販売量 (株)インテージSRI調べ ※フッ素配合商品については歯磨工業会定義による>は、フッ素が入ってるものだという。
ところが親元を離れた年齢あたりから、むし歯を持つ人は増加する。歯周病になる人も、年齢とともに多くなる。

「20代の方の70%は、歯のどこかが歯周病になっているのが現状です。早く気付くことが大切ですので、20代の方は特に気をつけていただきたいと思います」(財団法人ライオン歯科衛生研究所)

ちなみに歯ブラシや持つとこ(ハンドル)の形にも、いろんな種類がある。これは、使う人に合ったものを選べばオッケー。ブラシ部分の大きさや形は口の形や歯並びに合ったものを、ハンドルは好みで選べばいいという。
ただ毛のかたさには注意が必要で、よく歯医者から言われるように“かため”の歯ブラシを使って強い力でみがくと、歯ぐきを傷つけちゃう恐れがある。絶妙で繊細な歯ブラシコントロールができる人じゃなければ、“ふつう”や“やわらかめ”がいいそうだ。

45度の技術がなくても、歯周ポケットをキレイにしてくれる極細毛。

だからって適当にみがけばいいってわけじゃないので、細かく歯ブラシを動かすみがき方で、歯を大切にしていきたいものです。
(イチカワ)
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