ジェットコースターなどの絶叫マシンが苦手な人が、ときどき言うことに、「あの落ちる直前の“間”が嫌!」というものがある。

これ、先日、深夜番組でさまぁ~ずの二人も盛り上がっていた話題なのだが、ただでさえ落ちるのは怖いのに、徐々に上っていくときの恐怖感ときたら! さらに、いちばん高い場所、落ちる直前の頂点で、一瞬、「止まった?」みたいな静寂が訪れる。


その都度、思うのは、「わざと止めてない?」ということ。

本当は技術的にはスムーズに通過できるのに、「溜め」「間」をつくることで、緊張感・恐怖感をさらに盛り上げてるんじゃないか。稲川淳二の怪談みたいな手法だったり……?

様々な遊園地に遊戯機械を納入している三精輸送機械株式会社に聞いた。
「『頂点で止まる』というのには2つあって、1つは機構的にわざわざ止めているもの。リフトなどでブレーキをつけて、チェーンで巻き上げるタイプや、傾斜で落ちそうなとき、駆動をかけて落とすというものも、海外にはありますね。ただ、そういったものは日本にはほとんどなく、2つ目の理由『速度が落ちて止まりそうになるから』で、スピードの緩急によって、心理的に長く止まっているように感じるだけというのがほとんどだと思いますよ」(遊戯部隊の担当者)

そもそもジェットコースターの宿命として、「動力を積んでいない」という構造があるという。
「車のようにエンジンを積んでない、モーターなどもない。物理的に『位置エネルギー』を『運動エネルギー』に変換させるだけ。傾斜地から箱を落とすだけなんですから」

つまり、傾斜の角度と距離次第で、あの頂点での嫌~な怖い「間」をさらに長くするのも自由自在ということ?
「そうですねぇ。ただ、あんまりやっちゃうと、止まってバックしちゃうこともある。特に、遊園地などは、繁忙期、閑散期によって、お客さんの乗ってる量も変わるので、回転する抵抗が違ってきちゃうんですよ」
たとえば、冬場の寒い時期には、風が吹いたらバックしてしまう……なんてことも、ありうるそうだ。ひえ~!
「そのため、バックしたり止まってしまわないギリギリのところで、安定して運行できる角度・長さを計算しているわけです。
あんまりギリギリ過ぎると、怖くはできるけど、天気や積載量の影響を受けてしまいますので」

当然、ちゃんとした計算のもとに「安定した運行」がされているわけだけど……ますます絶叫マシンが怖くなってきました。
(田幸和歌子)
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