成田スカイアクセスの開通、上海まで片道4000円の航空券、そして21日の羽田空港国際線ターミナルのオープン。最近の若い人はあまり海外へ行かない、なんて言われる一方で、海外へのアクセス性はどんどん増している。


海外旅行のひとつの楽しみは飛行機に乗ること。パスポートに「出国」スタンプが押された後、搭乗ゲートに向かうまでのエリアは、日本でもない、外国でもない不思議なエリア。もちろんこの「制限エリア」に立ち入るにはパスポートが必要なのだが、ここで働く人たちは、毎日、パスポートを持ってくるのだろうか。

成田国際空港株式会社に聞いた。
「パスポートは持ちません。成田空港の場合、職員は各機関の承認を受けて発行される『成田国際空港IDカード』を所持し、ICカード化されたIDシステムで厳しく入退管理を受けています」
働く人の場合、パスポートはいらないのだ。
制限エリアには免税店もたくさん並んでいるが、残念ながら、職員が制限エリアで物を買うことはできないのだという。

ところで、制限エリアで雑誌を買うと、消費税がかからないことをご存知だろうか。300円の週刊誌が286円で買えるのだ。出国審査はもう終わっている。ここは「日本じゃない」から、消費税がかからないのだろうか。東京税関に聞いた。

「物品の販売は、消費税法の『資産の譲渡』に該当し、課税対象となります。消費税がかからないのは、同法第7条の規定を適用される場合だけであり、場所を指定して免税にする規定はありません。事実、制限エリア内でも、課税で販売されているものがあります」
詳しいことは国税庁に問い合わせを……ということで、国税庁に聞いた。
「消費税法第7条第1項第1号の規定によります。出国審査後、(旅行者が)国内に戻ってくることはありえませんので、雑誌のように外国へ持ってゆくことが明らかな物は非課税になります。一方、飲食物はそうではない(=そこで消費されると考えられる)ので、課税されていると思います」

消費税は、国内で消費される物やサービスにかかる税金。
制限エリアであっても、そこで消費される場合は消費税がかかるのだ。同じ飲食物でも、免税店で売られている高級なお菓子やお酒は、そのまま外国へ持ち出されると考えられるので、非課税ということに。たまーに待ちくたびれたのか、免税店で買ったお菓子を開けて食べちゃってる人もいるが、そのへんはご愛嬌というところか。

その後、酒税法を調べてみたら、「制限エリア内で飲んだお酒については、飲んだ人が酒税を払う」みたいなことが書いてあった。制限エリアは、パスポート上は「日本国外」でも、税金の面では「日本国内」ということになるようです。
(R&S)