私は料理をしないのに、料理器具を見るのは大好き。合羽橋なんか、はっきり言ってパラダイス。
この楽しさは、まさに文房具屋にいる時と同種のものと言っていいだろう。見てるだけで湧き上がる、不思議なワクワク感。

実は、料理器具マニアにとって見逃せない包丁があるのだ。岐阜県多治見市のセラミックスメーカー「TYK」が発売する、その名も『美濃刃(ミノバ)』が新しい。

画像を見ていただきたい。包丁の刃(セラミック)に彩られた、見事な和柄たち。見事すぎて、逆に切るのが憚られるような。

こんな包丁を製作した理由を、デザイナーである川合辰弥さんに伺ってみた。
「白いだけの従来のセラミックス包丁では面白くないので、キッチンをミュージアムに変えてしまうような楽しい包丁をつくろうと思いました」

そこで利用されたのは、多治見市の地場産業である「美濃焼」。これは、800度という高温で焼き物に絵柄を焼きつける“転写絵付け”の技術。通常の焼き物では出せない赤や青も鮮やかに出せ、色の再現性が高いことが特長と言われている。

そんな技術を用いた『美濃刃』には4種類の絵柄があり、どれも“クールジャパン”を連想させるモダン和柄に仕上げられた。
海外需要を見込んで、ポップでありつつ和を感じさせるデザインを施したのだ。
また、現在は川合さんと京友禅の職人が共同で絵柄を製作中。「加賀友禅」など日本の工芸が、『美濃刃』を通じて世界に広まっていくことになるだろう。
実際、今は香港・ロシア・ドイツ等の業者から引き合いがあり、交渉が行われている真っ只中。

では、『美濃刃』を購入した人達からは、どんな反響が届いているのだろうか?
「見た目から『切れるのか、使えるのか?』という声が上がるのも事実です。しかし、『美濃刃』には刃物職人の技術とこだわりが詰まっており、使用された方からは“切れ味”と“切り心地”に関する驚きの声が寄せられております」
刃付けを担当しているのは、岐阜県関市の刃物職人。絵柄の耐久性も高いので、実用面でもデザイン面でも、日常使いに何ら問題はナシ!

この『美濃刃』は、オフィシャルサイト多治見市PRセンターで、9月1日より発売されている。価格は、文化包丁が19,800円で、ペティーナイフが12,800円。

従来の「美濃焼」にはマグカップや茶碗などがある。それが、いよいよ包丁にまで波及した今回。
「見た目がとてもキレイ!」なんて反響が届けられる包丁は、恐らく『美濃刃』が初めてじゃないだろうか?
(寺西ジャジューカ)
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