以前、コネタで「バナナの自動販売機」について取材したことがある。あの自販機は、確かに有意義だった。


そして、新たに有意義な自動販売機が登場! 東京メトロ丸ノ内線・霞ケ関駅のB1a出口付近に、1月19日より「リンゴの自動販売機」が設置されているそうなのだ。

実はコレ、日本初となるカットりんご専用の自動販売機。現在、同駅に1台のみしか設置されていない代物だという。
そして、販売されているリンゴも“青森県産”と本格的なもの。

実に、大胆な自販機ではないか。そこで、この自動販売機を製造した「エム・ヴイ・エム商事株式会社」(兵庫)に、このような試みを始めたきっかけを伺ってみた。

「まず、この自動販売機は屋内型なんです。それを踏まえ、一番お客さんが集まる所といえば“地下鉄の駅構内”ではないかと考えました。駅の構内に設置すれば、皆さんも安心されると思いまして、当社からメトロさんに提案させていただきました」

駅だからこそのメリットは、実は高い。たとえば、朝ごはんを食べ損ねて家を出た人にはありがたいだろう。駅周辺に通勤しているサラリーマンにとっては、昼食後のデザートとしても最適。駅の利便性向上に、この自動販売機が一役買っているわけだ。


ただ、どうしても一つ気になる点がある。この自販機で販売されているのは、“カットりんご”。……大丈夫か? 変色しないか、そこが不安なのだ。
「リンゴにはビタミンCとカルシウムを含んだ溶液を塗布し、表面をコーティングしております。これで、リンゴの変色を防ぐことができます」(担当者)

それなら安心だ。心置きなく、実際に私もリンゴを買いに行ってきました。

まず霞ケ関駅に到着して、自販機があるといわれる場所に行ってみる。……見つからない。アレ、この辺じゃなかったっけ? なんて迷っていたら、あった。ジュースや新聞の自動販売機と一緒にあまりにも自然に佇んでいるから、ちっとも気がつかなかったのです。馴染みすぎ!

そして値段を見てみると、リンゴは1袋190円。“皮つき”と“皮なし”の2種類から選ぶことができるようだが、どうせだから両方買ってみました。

お金を入れてリンゴを手にとってみると……。おー、リンゴ! そのつもりで買いに来ているのに、実際に手にとって目にしてみると、新鮮な感動が。今、俺は自販機でリンゴを買った。

コレを持ち帰って、自宅でいただきました。袋の中には、カットした約半分の大きさのリンゴが。手にとってみると、可愛いひと口サイズ。
まさにお母さんが切ってくれたみたいな、懐かしの!
早速、食べてみた。う~ん、リンゴ! リンゴです。“皮なし”の方を食べてみると、実家にいた頃のまったりした日々が思わずフラッシュバック。こたつに座ってテレビを観ながら、何となく過ごしていたあの頃の自分の姿が。
そして、“皮つき”もイイ。かじった瞬間に、皮が“パリッ!”と言うのがキモチいい。
新鮮なのだろう。

ちなみに、販売されているリンゴの品種は時期によって異なるそう。その時期に適したリンゴが、自販機に入れられる。現在(2月23日現在)販売されているのは「サンフジ」という品種で、一年の間に約6種類の品種が替わりばんこでお目見えする。

そんな、新登場のこの自販機。売れ行きも上々だという。
「予想以上の反響があります。一日で平均150個くらいのリンゴが売れているでしょうか」(東京メトロ・担当者)
霞ケ関駅だけに、お客さんとして想定されているのは近隣のビジネスマンたち。あと、日比谷公園に訪れる方々の散歩のお供としてもマッチしているだろう。

「今は状況を見ておりますが、反響次第では他駅での設置の可能性もあります」(東京メトロ・担当者)
自動販売機で手に入るリンゴも、オツなものです。
(寺西ジャジューカ)